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英雄は二度死ぬ
軍法会議の真実
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イリーナとクララはそのメモを驚きをもって読んだ。
軍法会議自体がユルゲンを帝国に留まるようにさせるためのニセの裁判だったというのだ。
ムラブイェフの屋敷で、いくら探しても軍法会議の資料が無かったはずだ。そうなると、それは当然といえば当然だ。
「ブユネケンさん! 謎が解けました!」
クララは思わず声を上げた。
イリーナがその言葉を継ぐ。
「ユルゲンさんを裁いたはずの軍法会議は、本当は無かったんです」。
二人は嬉しそうに飛び跳ねている。
それを見て不思議そうにブユネケンは尋ねた。
「無かった? ということは恩赦とはどういう事だろう? 裁判が無ければ罪もなく、恩赦もないことになるが」。
「お爺様を帝国に留めるためのウソだったんです」。
イリーナが言い、クララがそれに付け加えた。
「偽の裁判で有罪になったということにして、お爺様に恩を売るために恩赦をすると言い、罪を赦したと」。
「それで、帝国に留まるようにさせたのか。なるほどね、考えたね」。
ブユネケンは納得したようだ。
「それを考え付いたのは、パーベル・ムラブイェフだったそうです」。
イリーナが答える。
「ムラブイェフのところには、そのことについては、何も資料を残していなかったのかい?」。
「はい。私たちが先日、ムラブイェフさんの屋敷で遺品の軍法会議の資料を調べさせてもらったんですが、無かったんです。それもそのはずで、お爺様を裁いた軍法会議自体が偽のものだったからです、だから正式な軍法会議の資料として残っていなかったんでしょう」。
「そういうことか。でも、ここで見つかってよかったね」。
「はい、来た甲斐がありました」。
イリーナは元気よく答えた。
その言葉を聞いて、ブユネケンは微笑んだ。
「そういえば、このメモは本を出版するためのものなんですよね。本は出版されたんですか?」
「いや、実は出版間際で政府からストップがかかってね。やはり、元皇帝の半生を出すとなると、現体制に悪影響があると思ったんだろう」。
「そうなんですね」。
「もう、何年も前の事だけどね」。
イリーナとクララは、ブユネケンとしばらく話をしてから礼を言って、ブユネケンの屋敷を後にした。
イリーナとクララは新たに知った事実に興奮冷めやらない状態だ。
宿屋の部屋に戻ると、召使いのナターシャが待っていた。部屋の中に洗濯してきたのであろう服を干してあった。
「街の洗濯場で服を洗ってきました。部屋が狭くなって申し訳ありません」。
「いいよー」。
クララが明るく返事をする。
「貸衣装も返却しておきました」
「ありがとう」。
「ところで、皇帝の遺品の首尾はどうでしたか?」
「いいものが見つかったわ。お爺様がなぜ帝国にとどまったかの秘密がわかった」。
「それは、どういうものですか?」
イリーナが説明を始める。
「お爺様が反逆罪で捕まったあと、軍法会議が開かれたんだけど、この軍法会議自体が偽物だったんです。その偽の軍法会議で死刑を宣告され、帝国に留まることを条件に恩赦されたのよ」。
「そうだったのですね。おめでとうございます」。
ナターシャは感心したように祝福の言葉を伝えた。
「これで、ほとんどの謎がわかったことになるわ」。
「私たち、すごいね」。
クララは満足そうに微笑んだ。
イリーナは付け加えた。
「後は、革命の時にプリブレジヌイの戦いでオレガさんに斬られたのに生きていたことぐらいね」。
「それは、これからヴィット王国へ向かうから、そこでわかるといいよね」。
イリーナとクララはこれまでに分かったことを新ためて書き出して整理した。
【分かったこと】
●“チューリン事件”
・ブラミア帝国の皇帝スタニスラフ四世が殺され魔術師アーランドソンに体を乗っ取られていたこと。
・その魔術師アーランドソンを倒したのはユルゲン・クリーガーであったこと。
・“チューリン事件”のチューリンや怪物はアーランドソンに魔術で操られた傀儡だったこと。
●“ソローキン反乱”
・“ソローキン反乱”は皇帝がソローキンを排除するための謀略であったこと
・ソローキンを倒したのはユルゲンだった。
●“共和国再独立”
・ユルゲンが率いる遊撃部隊が共和国の反乱に加担してモルデンを掌握したこと。
・そもそもユルゲンは、かなり前から共和国の独立派と内通していたこと。
●人民革命
・ユルゲン・クリーガーの屋敷にいた召使いナターシャ・ストルヴァは、革命軍の仲間だった。
・モルデン掌握が秘密にされている理由=共和国ではコフの功績にするため。
・モルデン掌握が秘密にされている理由=帝国ではユルゲンが帝国を裏切って共和国についていたのでそれを隠すため。
・ユルゲンは一人で降伏し、軍法会議で反逆罪で死刑宣告を受けるが恩赦されたこと。
・ユルゲンが裁かれたこの軍法会議がそもそも偽だったので公的な記録は残っていない。
・死刑宣告と恩赦について秘密にされている理由は、ユルゲンを帝国に留まらせるための策略だったので、そもそも公にされていない。
【謎】
・ユルゲンがオレガに斬られて死亡したはずなのに、数か月後生きて現れたこと。
・ユルゲンが革命軍の追っ手から逃げ延びたこと。
翌日、イリーナ、クララ、ナターシャの三人は、プリブレジヌイを後にして、テレ・ダ・ズール公国の首都ソントルヴィレへ向けて出発した。
軍法会議自体がユルゲンを帝国に留まるようにさせるためのニセの裁判だったというのだ。
ムラブイェフの屋敷で、いくら探しても軍法会議の資料が無かったはずだ。そうなると、それは当然といえば当然だ。
「ブユネケンさん! 謎が解けました!」
クララは思わず声を上げた。
イリーナがその言葉を継ぐ。
「ユルゲンさんを裁いたはずの軍法会議は、本当は無かったんです」。
二人は嬉しそうに飛び跳ねている。
それを見て不思議そうにブユネケンは尋ねた。
「無かった? ということは恩赦とはどういう事だろう? 裁判が無ければ罪もなく、恩赦もないことになるが」。
「お爺様を帝国に留めるためのウソだったんです」。
イリーナが言い、クララがそれに付け加えた。
「偽の裁判で有罪になったということにして、お爺様に恩を売るために恩赦をすると言い、罪を赦したと」。
「それで、帝国に留まるようにさせたのか。なるほどね、考えたね」。
ブユネケンは納得したようだ。
「それを考え付いたのは、パーベル・ムラブイェフだったそうです」。
イリーナが答える。
「ムラブイェフのところには、そのことについては、何も資料を残していなかったのかい?」。
「はい。私たちが先日、ムラブイェフさんの屋敷で遺品の軍法会議の資料を調べさせてもらったんですが、無かったんです。それもそのはずで、お爺様を裁いた軍法会議自体が偽のものだったからです、だから正式な軍法会議の資料として残っていなかったんでしょう」。
「そういうことか。でも、ここで見つかってよかったね」。
「はい、来た甲斐がありました」。
イリーナは元気よく答えた。
その言葉を聞いて、ブユネケンは微笑んだ。
「そういえば、このメモは本を出版するためのものなんですよね。本は出版されたんですか?」
「いや、実は出版間際で政府からストップがかかってね。やはり、元皇帝の半生を出すとなると、現体制に悪影響があると思ったんだろう」。
「そうなんですね」。
「もう、何年も前の事だけどね」。
イリーナとクララは、ブユネケンとしばらく話をしてから礼を言って、ブユネケンの屋敷を後にした。
イリーナとクララは新たに知った事実に興奮冷めやらない状態だ。
宿屋の部屋に戻ると、召使いのナターシャが待っていた。部屋の中に洗濯してきたのであろう服を干してあった。
「街の洗濯場で服を洗ってきました。部屋が狭くなって申し訳ありません」。
「いいよー」。
クララが明るく返事をする。
「貸衣装も返却しておきました」
「ありがとう」。
「ところで、皇帝の遺品の首尾はどうでしたか?」
「いいものが見つかったわ。お爺様がなぜ帝国にとどまったかの秘密がわかった」。
「それは、どういうものですか?」
イリーナが説明を始める。
「お爺様が反逆罪で捕まったあと、軍法会議が開かれたんだけど、この軍法会議自体が偽物だったんです。その偽の軍法会議で死刑を宣告され、帝国に留まることを条件に恩赦されたのよ」。
「そうだったのですね。おめでとうございます」。
ナターシャは感心したように祝福の言葉を伝えた。
「これで、ほとんどの謎がわかったことになるわ」。
「私たち、すごいね」。
クララは満足そうに微笑んだ。
イリーナは付け加えた。
「後は、革命の時にプリブレジヌイの戦いでオレガさんに斬られたのに生きていたことぐらいね」。
「それは、これからヴィット王国へ向かうから、そこでわかるといいよね」。
イリーナとクララはこれまでに分かったことを新ためて書き出して整理した。
【分かったこと】
●“チューリン事件”
・ブラミア帝国の皇帝スタニスラフ四世が殺され魔術師アーランドソンに体を乗っ取られていたこと。
・その魔術師アーランドソンを倒したのはユルゲン・クリーガーであったこと。
・“チューリン事件”のチューリンや怪物はアーランドソンに魔術で操られた傀儡だったこと。
●“ソローキン反乱”
・“ソローキン反乱”は皇帝がソローキンを排除するための謀略であったこと
・ソローキンを倒したのはユルゲンだった。
●“共和国再独立”
・ユルゲンが率いる遊撃部隊が共和国の反乱に加担してモルデンを掌握したこと。
・そもそもユルゲンは、かなり前から共和国の独立派と内通していたこと。
●人民革命
・ユルゲン・クリーガーの屋敷にいた召使いナターシャ・ストルヴァは、革命軍の仲間だった。
・モルデン掌握が秘密にされている理由=共和国ではコフの功績にするため。
・モルデン掌握が秘密にされている理由=帝国ではユルゲンが帝国を裏切って共和国についていたのでそれを隠すため。
・ユルゲンは一人で降伏し、軍法会議で反逆罪で死刑宣告を受けるが恩赦されたこと。
・ユルゲンが裁かれたこの軍法会議がそもそも偽だったので公的な記録は残っていない。
・死刑宣告と恩赦について秘密にされている理由は、ユルゲンを帝国に留まらせるための策略だったので、そもそも公にされていない。
【謎】
・ユルゲンがオレガに斬られて死亡したはずなのに、数か月後生きて現れたこと。
・ユルゲンが革命軍の追っ手から逃げ延びたこと。
翌日、イリーナ、クララ、ナターシャの三人は、プリブレジヌイを後にして、テレ・ダ・ズール公国の首都ソントルヴィレへ向けて出発した。
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