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英雄は二度死ぬ
最後の真相2
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「そして、今、私たちは革命軍を助けています」。
アグネッタは続けて話す。
「革命の指導者ナタンソーンが二年以上も街で発見されないように助けていたのも私たちです。無論、本人はそのことを知りません。うまく潜伏しているとでも思っているでしょう」。
「君らとしては、帝国は崩壊した方が良いと?」
「軍事力を拠り所にする帝国は崩壊し、新たに平和的な政府ができるのを私たちは望んでいます。民衆の力が強まった今がチャンスでしょう。隣国のブラウグルン共和国は再興され民主的な政府が樹立されましたが、そこでは軍事力を強化する様子はありません。私達の望んだとおりに」。
「もともと共和国は平和的な国だったからな」。
ユルゲンは質問を続ける。
「君たちが干渉しているのはいつからだ?」
「ヴィット王国としては何十年も前からですが、アーランドソンの一件以降、以前にも増して積極的に干渉しています」。
「まさか、アーランドソンも君たちが仕組んだことか?」
「いえ、彼は、本当に悪意を持った魔術師でした。我々の意思とは違います」。
ユルゲンは少し考えてから、再び質問をした。
「君たちは帝国を崩壊させるというが、陛下はどうなった?」
「あなたが囮になったので、皇帝は逃げ延びることができました。今、彼女はプリブレジヌイに居ます。そこに帝国軍も六千人ほどおりますが、私たちの予想では革命軍の攻撃で遅かれ早かれ敗退するでしょう」。
「陛下の命は?」
「それはどうなるかわかりません。国外へ逃げ伸びるようなことがあれば助かるでしょう」。
「君たちが陛下の命を取ることはないのか?」
「私たちは間接的に干渉するだけで、直接的に誰かを暗殺するようなことはしません。皇帝や残りの帝国軍は、もう帝国を以前の様に取り戻す力はないでしょう。帝国が崩壊した場合は、私たちとしてはそれ以上の事はしません。その後の新たな政府が誕生するのを見守るだけです。その政府が軍事力を必要以上に増強することが無ければ、後は、その政府を監視するだけです。これで、特に軍事力が強い国は大陸から無くなり、国家間のパワーバランスは均衡となり、大陸から戦争の脅威が無くなります。結果、ヴィット王国が他国から侵略される危険も当面は無くなるということです」。
「なるほど、君たちの任務についてはわかった」。ユルゲンはため息をひとつついてから尋ねた。「それで、質問を戻すが、なぜ私を助けた?」
「今後も私たちは大陸の各国の監視を続けていきます。そこで、クリーガーさんにも協力をしてほしいのです。そのために助けました」。
「協力?」
「今後、あなたにはナタンソーンによって樹立されるであろう政府内に入ってもらい、そこで私たちの大陸でのパワーバランスを保つ仕事を手伝ってほしいのです」。
「手伝う?」
政府内に入り、そこで彼女たちを“手伝う”というのは…、婉曲的な表現だな。
「それは、スパイをしろ、ということか?」。
「そういう事です」。
「なぜ、私なんだ?」
「傭兵部隊で一年間、あなたの事を見ていました」。アグネッタは微笑んだ。「あなたのような人物はそうはいません。剣に秀でて、魔術もでき、機転が利き、人望が厚く、そして、信頼ができる」。
「過大評価だよ」。
「最近では用兵も出来るようですね」。
「ここ二年で上官のルツコイに、しごかれたからね。しかし、他にも私より適任者がるのではないか?」。
「いるのかもしれませんが、私が一番良く知っているのはあなたです。傭兵部隊での一年間は、よく見させてもらいました」。
「なるほどね」。
ユルゲンは、そう答えたが、さほど納得はしていなかった。
「君は、ナタンソーンの政府内に入れと簡単に言うが、どうやって?」
「情報だと、革命軍は部隊の指揮を取れる人物を積極的に登用を始めたようです。つい先日、キーシンが牢から出され、革命軍の指揮官になりました。元帝国軍の者でも構わない方針のようです。あなたも希望すれば指揮官として登用されるでしょう」。
そうなのか。キーシンが革命軍に加わったのか。追っ手から推測すると、彼らは統率が取れていない寄せ集めの印象だった。しかし、もし、革命軍に統率が取れれば、帝国軍も危ういかもしれない。
アグネッタは続けて話す。
「革命の指導者ナタンソーンが二年以上も街で発見されないように助けていたのも私たちです。無論、本人はそのことを知りません。うまく潜伏しているとでも思っているでしょう」。
「君らとしては、帝国は崩壊した方が良いと?」
「軍事力を拠り所にする帝国は崩壊し、新たに平和的な政府ができるのを私たちは望んでいます。民衆の力が強まった今がチャンスでしょう。隣国のブラウグルン共和国は再興され民主的な政府が樹立されましたが、そこでは軍事力を強化する様子はありません。私達の望んだとおりに」。
「もともと共和国は平和的な国だったからな」。
ユルゲンは質問を続ける。
「君たちが干渉しているのはいつからだ?」
「ヴィット王国としては何十年も前からですが、アーランドソンの一件以降、以前にも増して積極的に干渉しています」。
「まさか、アーランドソンも君たちが仕組んだことか?」
「いえ、彼は、本当に悪意を持った魔術師でした。我々の意思とは違います」。
ユルゲンは少し考えてから、再び質問をした。
「君たちは帝国を崩壊させるというが、陛下はどうなった?」
「あなたが囮になったので、皇帝は逃げ延びることができました。今、彼女はプリブレジヌイに居ます。そこに帝国軍も六千人ほどおりますが、私たちの予想では革命軍の攻撃で遅かれ早かれ敗退するでしょう」。
「陛下の命は?」
「それはどうなるかわかりません。国外へ逃げ伸びるようなことがあれば助かるでしょう」。
「君たちが陛下の命を取ることはないのか?」
「私たちは間接的に干渉するだけで、直接的に誰かを暗殺するようなことはしません。皇帝や残りの帝国軍は、もう帝国を以前の様に取り戻す力はないでしょう。帝国が崩壊した場合は、私たちとしてはそれ以上の事はしません。その後の新たな政府が誕生するのを見守るだけです。その政府が軍事力を必要以上に増強することが無ければ、後は、その政府を監視するだけです。これで、特に軍事力が強い国は大陸から無くなり、国家間のパワーバランスは均衡となり、大陸から戦争の脅威が無くなります。結果、ヴィット王国が他国から侵略される危険も当面は無くなるということです」。
「なるほど、君たちの任務についてはわかった」。ユルゲンはため息をひとつついてから尋ねた。「それで、質問を戻すが、なぜ私を助けた?」
「今後も私たちは大陸の各国の監視を続けていきます。そこで、クリーガーさんにも協力をしてほしいのです。そのために助けました」。
「協力?」
「今後、あなたにはナタンソーンによって樹立されるであろう政府内に入ってもらい、そこで私たちの大陸でのパワーバランスを保つ仕事を手伝ってほしいのです」。
「手伝う?」
政府内に入り、そこで彼女たちを“手伝う”というのは…、婉曲的な表現だな。
「それは、スパイをしろ、ということか?」。
「そういう事です」。
「なぜ、私なんだ?」
「傭兵部隊で一年間、あなたの事を見ていました」。アグネッタは微笑んだ。「あなたのような人物はそうはいません。剣に秀でて、魔術もでき、機転が利き、人望が厚く、そして、信頼ができる」。
「過大評価だよ」。
「最近では用兵も出来るようですね」。
「ここ二年で上官のルツコイに、しごかれたからね。しかし、他にも私より適任者がるのではないか?」。
「いるのかもしれませんが、私が一番良く知っているのはあなたです。傭兵部隊での一年間は、よく見させてもらいました」。
「なるほどね」。
ユルゲンは、そう答えたが、さほど納得はしていなかった。
「君は、ナタンソーンの政府内に入れと簡単に言うが、どうやって?」
「情報だと、革命軍は部隊の指揮を取れる人物を積極的に登用を始めたようです。つい先日、キーシンが牢から出され、革命軍の指揮官になりました。元帝国軍の者でも構わない方針のようです。あなたも希望すれば指揮官として登用されるでしょう」。
そうなのか。キーシンが革命軍に加わったのか。追っ手から推測すると、彼らは統率が取れていない寄せ集めの印象だった。しかし、もし、革命軍に統率が取れれば、帝国軍も危ういかもしれない。
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