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傭兵部隊設立
第1話・隊員募集
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反乱鎮圧の翌日、ブラミア帝国とブラウブルン共和国との無条件降伏の文書に調印が無事行われた。
ブラミア帝国からはソローキン総司令官、ブラウブルン共和国からは暫定的に就任している最後の首相が調印式に参加した。この調印でブランブルン共和国は事実上消滅し、ブラミア帝国の一部となった。
帝国軍はボリス・ルツコイという指揮官が元々率いていた第五旅団の約八千人の兵力を残して、早々に撤退していった。今後はこのルツコイがズーデハーフェンシュタットを取り仕切ることとなったそうだ。行政組織の大部分は共和国の者が引き続き運営するという。しかし、主要ポストはおそらく帝国の者で徐々に入れ替えていくのであろう。
一方、旧共和国軍であった我々は再び兵舎での待機が数日が続いた。
その間に、政府および軍の上層部、上級士官の多くが収容所に移動させられたらしい。反乱兵の鎮圧を指揮した、首都防衛隊隊長で “深蒼の騎士” の騎士団長だったカール・ブロンベルクもその中に入っているという。
そして、今日、新しい通達があった。
帝国軍が旧共和国軍の中から人員を二百名ばかり募っているという。
ここズーデハーフェンシュタットで治安維持などの仕事を任せたいという。
これはつまり“傭兵”というわけだ。
旧共和国軍に任せたい理由として、当然、ここでは帝国軍の者より地の利があるため、帝国軍の補助をさせたいということだそうだ。また、帝国軍は共和国軍との最終決戦となった “グロースアーテッヒ川の戦い” での被害が予想より大きく、人員不足となっているそうだ。
しかし、元共和国軍で帝国軍に仕えるのは快く思っていない者が多く、手を上げる者は少ないようだ。無理もないことだが。
私は少し考えて、この傭兵部隊に応募しようと思った。その理由は二つあった。
今後、この街では武器所有禁止令が施行されるという。傭兵部隊に所属していないと剣を持つことは許可されないようだ。武器所有禁止令は先日のような反乱を恐れてのことだろう、それは当然のことだと思った。しかし、私は剣や魔術の腕を鈍らせたくなった。引き続き剣を持ちたければ傭兵部隊へ参加するしかない。
また、私は帝国軍の内情を知りたいと思っていた。傭兵部隊に居ればおのずとそういった情報を得られると考えた。将来、共和国の再興のための情報収集と言ってよい。
先日のクラウス・ルーデルの反乱に加わらなかったのは、共和国の再興に反対であったり、興味がないわけではない。今は、住民の多くに危害が及ぶ可能性があったからだ。多数の帝国軍が街の外に待機していた。このタイミングの反乱は得策ではないと思ったからだ。
私は兵舎でやることもなく、ベッドに横たわって考え事をしていると、ふと、火傷の薬をもらうため医療室に向かう約束があったのを思い出した。
医務室に向かうと、昨日と違い、数名の軍医と看護師、そして治療を受けているけが人が複数いた。昨日の反乱兵との戦いの負傷兵だろう。
私は忙しくしているザービンコワに声を掛けた。
ザービンコワはこちらも見ずに、「棚に薬があるから自分で塗って」。とだけ言う。仕方ない。言われたとおりに自分で火傷の薬を探し、それを塗って医療室を出た。
しばらくは医務室に通うのが日課になった。
ブラミア帝国からはソローキン総司令官、ブラウブルン共和国からは暫定的に就任している最後の首相が調印式に参加した。この調印でブランブルン共和国は事実上消滅し、ブラミア帝国の一部となった。
帝国軍はボリス・ルツコイという指揮官が元々率いていた第五旅団の約八千人の兵力を残して、早々に撤退していった。今後はこのルツコイがズーデハーフェンシュタットを取り仕切ることとなったそうだ。行政組織の大部分は共和国の者が引き続き運営するという。しかし、主要ポストはおそらく帝国の者で徐々に入れ替えていくのであろう。
一方、旧共和国軍であった我々は再び兵舎での待機が数日が続いた。
その間に、政府および軍の上層部、上級士官の多くが収容所に移動させられたらしい。反乱兵の鎮圧を指揮した、首都防衛隊隊長で “深蒼の騎士” の騎士団長だったカール・ブロンベルクもその中に入っているという。
そして、今日、新しい通達があった。
帝国軍が旧共和国軍の中から人員を二百名ばかり募っているという。
ここズーデハーフェンシュタットで治安維持などの仕事を任せたいという。
これはつまり“傭兵”というわけだ。
旧共和国軍に任せたい理由として、当然、ここでは帝国軍の者より地の利があるため、帝国軍の補助をさせたいということだそうだ。また、帝国軍は共和国軍との最終決戦となった “グロースアーテッヒ川の戦い” での被害が予想より大きく、人員不足となっているそうだ。
しかし、元共和国軍で帝国軍に仕えるのは快く思っていない者が多く、手を上げる者は少ないようだ。無理もないことだが。
私は少し考えて、この傭兵部隊に応募しようと思った。その理由は二つあった。
今後、この街では武器所有禁止令が施行されるという。傭兵部隊に所属していないと剣を持つことは許可されないようだ。武器所有禁止令は先日のような反乱を恐れてのことだろう、それは当然のことだと思った。しかし、私は剣や魔術の腕を鈍らせたくなった。引き続き剣を持ちたければ傭兵部隊へ参加するしかない。
また、私は帝国軍の内情を知りたいと思っていた。傭兵部隊に居ればおのずとそういった情報を得られると考えた。将来、共和国の再興のための情報収集と言ってよい。
先日のクラウス・ルーデルの反乱に加わらなかったのは、共和国の再興に反対であったり、興味がないわけではない。今は、住民の多くに危害が及ぶ可能性があったからだ。多数の帝国軍が街の外に待機していた。このタイミングの反乱は得策ではないと思ったからだ。
私は兵舎でやることもなく、ベッドに横たわって考え事をしていると、ふと、火傷の薬をもらうため医療室に向かう約束があったのを思い出した。
医務室に向かうと、昨日と違い、数名の軍医と看護師、そして治療を受けているけが人が複数いた。昨日の反乱兵との戦いの負傷兵だろう。
私は忙しくしているザービンコワに声を掛けた。
ザービンコワはこちらも見ずに、「棚に薬があるから自分で塗って」。とだけ言う。仕方ない。言われたとおりに自分で火傷の薬を探し、それを塗って医療室を出た。
しばらくは医務室に通うのが日課になった。
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