雑司ヶ谷高校 歴史研究部!!

谷島修一

文字の大きさ
472 / 497
混乱の修学旅行編

死活問題

しおりを挟む
 新幹線は2時間あまりで京都に到着した。
 クラス委員である僕はホームで改めて点呼を取り、新幹線に取り残された者がいないかを確認する。
 無事、全員そろっているようなので、ホームから駅の出口へと向かった。

 京都駅は中も外も観光客らしき人々であふれていた。
 外国語を話すインバウンド客も多い。
 今さらだが、なぜ修学旅行の行き先は京都なのだろう。
 もっと人の少ないところにすればいいのに――などと考えつつ歩く。

 京都駅からしばらく歩かされ、宿泊先のホテルに到着。
 まずは大広間に通され、教師から注意事項を聞いたあと、やや遅めの昼食をホテルでとった。
 今日はこのままホテルで過ごすことになっている。

 昼食後、部屋割りが行われる。もちろん男女は別。
 僕は六角君を含む男子8人と同じ部屋になった。
 決められた3階の部屋へ移動し、各自ジャージに着替えるなどしてくつろぐ。

 しばらくすると、男子たちの話題は当然のように「夜に女子の部屋へ遊びに行こう」というものになった。
 ただし男子と女子の部屋は建物自体が別棟で、男子の棟から女子の棟へ行くには必ずロビーを通らなければならない。
 夜になれば、ロビーには教師が立って監視しているのは想像に難くない。
 その監視をどうすり抜けるか、男子たちは盛り上がっていた。
 ボッチの僕は、部屋の隅で黙って聞いている。

 やがて「ロビーを通らず、建物を回り込んで女子の棟に行き、窓から入ろう」という無謀な案が出た。
 女子の部屋も2階以上のはずだが……壁をよじ登るつもりなのか?

「武田、なにかいい案ない?」
 突然、六角君が僕に振ってきた。

 少し考えてから答える。
「大浴場が1階の奥にあって、男湯と女湯は隣同士だから、その前の廊下なら女子と会いやすいんじゃないかな」

「それじゃ、立ち話しかできないだろ」
 六角君は不満そうに言う。

「明日からの班行動は男女混合なんだから、わざわざ夜に会わなくてもいいと思うけど」

「何言ってんの? 夜に会うから意味があるんだろ?」

 うーん……。
 僕には理解できない。

 六角君は続ける。
「武田はいつも女子と一緒だから、わざわざ夜に会わなくてもいいんだろうけど、俺たちにとっては死活問題なんだよ」

 死活問題って、大げさな……。

「そういえば、新幹線でも女子に囲まれてたよな」
 別の男子が茶々を入れる。

「彼女たちは同じ班だから仕方ないよ」
 僕は弁解したが、その後もしばらく男子たちに嫌味を言われ続けた。
 男子からも女子からも文句を言われるなんて……つくづく僕は損な役回りだ。

 夕食までの数時間は、皆でトランプやゲームをして過ごす。
 おかげで今までほとんど話したことのない男子とも、少しは打ち解けられた気がした。

 時間になると再び大広間に集合し、夕食をとる。
 その後は入浴の時間だ。

 正直、大浴場はあまり得意ではない。
 本来なら一人でゆっくり入りたい性分だ。
 歴史研究部の旅行でも大浴場に入ったことがあるので全く無理ではないが……気は進まない。

 それでも同室の男子が皆行くというので、僕も仕方なくついていった。
 大浴場は案の定、うちの生徒でごった返している。
 僕は入浴するも早々に切り上げ、廊下へ出た。

 そこでばったり毛利さんに出会った。
 彼女も風呂上がりらしく、髪が少し濡れている。

「や、やあ」
 僕は軽く声をかけた。

「うん……」
 毛利さんは短く返すと、そのまま足早に去っていった。

 なんだよ、なんかよそよそしいな。
 少し気になったが、明日もあるので部屋に戻り、ゆっくり休むことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

普段高校生ゲーム実況者として活動している俺だが、最近仲良くなりつつあるVTuberが3人とも幼馴染だった件について。

水鳥川倫理
青春
主人公、目黒碧(めぐろあお)は、学校では始業時間になっても現れない遅刻常習犯でありながら、テストでは常に学年トップの高得点を叩き出す「何とも言えないクズ」として教師たちから扱いにくい存在とされている。しかし、彼には誰にも明かせない二つの大きな秘密があった。 一つ目の秘密は、碧が顔を隠し、声を変えて活動する登録者数158万人を誇るカリスマゲーム実況者「椎崎(しいざき)」であること。配信中の彼は、圧倒的なゲームスキルと軽妙なトークでファンを熱狂させ、学校での「クズ」な自分とは真逆の「カリスマ」として存在していた。 二つ目の秘密は、彼が三人の超絶可愛い幼馴染に囲まれて育ったこと。彼らは全員が同じ誕生日で、血の繋がりにも似た特別な絆で結ばれている。 習志野七瀬(ならしのななせ): 陽光のような明るい笑顔が魅力のツンデレ少女。碧には強い独占欲を見せる。 幕張椎名(まくはりしいな): 誰もが息をのむ美貌を持つ生徒会副会長で、完璧な優等生。碧への愛情は深く、重いメンヘラ気質を秘めている。 検見川浜美波(けみがわはまみなみ): クールな外見ながら、碧の前では甘えん坊になるヤンデレ気質の少女。 だが、碧が知らない三重目の秘密として、この三人の幼馴染たちもまた、それぞれが人気VTuberとして活動していたのだ。 七瀬は元気いっぱいのVTuber「神志名鈴香」。 椎名は知的な毒舌VTuber「神楽坂遥」。 美波はクールで真摯なVTuber「雲雀川美桜」。 学校では周囲の視線を気にしながらも、家では遠慮なく甘え、碧の作った料理を囲む四人。彼らは、互いがカリスマ実況者、あるいは人気VTuberという四重の秘密を知らないまま、最も親密で甘い日常を謳歌している。 幼馴染たちは碧の「椎崎」としての姿を尊敬し、美波に至っては碧の声が「椎崎」の声に似ていると感づき始める。この甘くも危険な関係は、一つの些細なきっかけで秘密が交錯した時、一体どのような結末を迎えるのだろうか。

処理中です...