6回殺された第二王子がさらにループして報われるための話

さんかく

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1章

20(リュカside)

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リュカside

「ジルベール様、急にこのような話をしてしまい申し訳ございません。ですが、少しでも症状を良くするために、検査や治療が必要になります。どうか、ご協力をお願い致します」
ノア先生が深く頭を下げてジルベール様に言うと、ジルベール様はいつもと変わらぬ様子で、わかりました、と頷く。

どうして……?
どうして、ジルベール様ばかり……!
神様は、どうしてこのお方ばかりに、重荷を背負わせるのですか。
ついこの間に死にかけて、やっと、まともな食事と寝床を手に入れて、普通の生活を送り始めたばかりなのに。
なんで、どうして、と知識も経験もない俺にはどうすることも出来なくて、もどかしさからノア先生に詰め寄ってしまう。
ノア先生だってジルベールの病気をなんとかしたいと、俺達よりずっと知識がある分、悔しさも強いだろうに、ノア先生はアレクと同じようにただ拳をキツく握り締めている。
ただ一人、この場でジルベール様だけが淡々としていた。
何故、そんなに落ち着いていられるのだろうと不思議に思ったが、ジルベール様の横顔を見て俺はハッとした。
(……もしかして、生きることを諦めている?)
そう考えた瞬間、俺は背筋が凍るような感覚を覚えた。
そんなのは嫌だ!
「諦めないでください!!」
俺は思わずそう叫んでいた。
そんな俺を驚いたようにジルベール様が見ている事にも気付かず、俺はそのまま言葉を続けた。
「まだ分からないじゃないですか!治療法だって今はまだ見つかってないだけで……きっとあるはずです!」
根拠のない、希望的観測だ。
もし叶わなかったら、より一層ジルベール様を傷つけることになるかもしれない。
そう思っても、言わずにはいられなかった。
諦めてほしくなかった。

「そうですよ!ジルベール様には俺達がついてますから!ぜ、絶対っ、そんな訳わかんない病気になんか負けません!!」
「初めから諦めてたら叶うもんも叶わねぇって言いますし、抗いましょうよ、ね?」
叫ぶように訴えた俺に続いて、サロモンもアレクもジルベール様に言葉を掛ける。

そんな俺達を見ていたノア先生は緊張を弛めて少しだけ嬉しそうに微笑んでいた。
「そうですよ、ジルベール様」
「ノア、せんせ……?」
ノア先生の言葉にジルベール様が首を傾げると、ノア先生はジルベール様を安心させるように優しく微笑みながら口を開いた。
「まだ諦めるのは早いですよ。それに、貴方がどれだけ辛くても、諦めてしまわれても……私は、いえ、私達は、ですね。私達は最後まで貴方が生きられる道を探し続けるつもりです」

そんなノア先生の言葉を聞いてジルベール様は、やっぱり少しだけ驚いた表情をして、その後で小さく笑ってみせた。
小さな花が咲いたような可憐な笑みを、きっと俺は忘れないだろう。
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