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第1章

この世界にないものができてしまった

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「石が…銃になった…?」

「そいつぁ『じゅう』っていうのか。そんな形の武器は初めて見た」

え?じゃあこの世界にないものができちゃった?
どうしよう…これ、女神様に怒られるやつじゃ…。

「よし、解析しよう。その武器を貸しな」

「解析?」

「武器の名前や使い方なんかを紙に転写する魔法だ。ドワーフは女神様によって武具の解析なんかの魔力を授かってるからな。この選定もその一種だ」

「そ、そうなんですね」

私は恐る恐る銃を親父さんに渡した。
親父さんは魔法陣の書いてある紙を机に置いて、その上に私の銃を置いた。

「解析の魔力を捧げ、この武器を説き明かせ。アナライズ」

親父さんが武器に手を当てて魔法を使うと、武器と紙が光り出して紙に文字が浮かんできた。

「ほれ」

「え?私にですか?」

親父さんが私に紙を渡した。

「そりゃあ嬢ちゃんの武器だからな。その武器はこれから形は変われどずっと嬢ちゃんといるんだ。だから、最初に見てやりな」

まるで武器が生きているかのような言い方だ。
職人というのはそういうものなのだろうか。

私は紙を受け取って読んでいく。

「魔銃…ハウンド」

魔銃ハウンド。持ち主の魔力を弾丸として放つ武器。
放たれた魔力は実態を持たず、当たったものに魔力の効果を与える。

魔力の効果を与える…じゃあ私、けっきょく攻撃できないじゃん!?
回復も変化も結界も、どれも攻撃ができるものじゃないし!
実態がないならどうしようもないし…どうなるのかな。

紙の続きをさらに読んでいく。

この銃はハンド、スナイプ、ショットの3種の形が存在し、使い分けることができる。

うー…銃の種類とか言われても…妹の趣味に付き合って何度かサバゲーに参加したことはあるけど、銃の種類とかよくわかんないし。妹に渡されたものを使ってたし。
まぁいいや。使って覚えていこう。

「武器はこれからこの紙を見せれば、ドワーフなら手入れや改良ができる。しかし俺はこんな形の武器を初めて見たからなぁ…まぁやるだけやってみるさ」

「はい…すいません…」

「なんで嬢ちゃんが謝ってんだ?」

「いえ…まぁ私のせいというか…なんというか」

「まぁいい。金はほかの4人からもらってるからな。大事にしろよ」

「はい」

私はハウンドと紙を鞄にしまって、ガラムさんたちの元へ戻った。

「あ、モモちゃんおかえりー。どんな武器になった?杖?剣?それとも癒してのモモちゃんなら腕輪とか?」

「えっと……これ」

私はハウンドを4人に見せると、4人とも首を傾げた。

「何だこれ?」

「銃…」

「銃?」

「簡単に言うと、私の魔力を飛ばす道具…らしい?」

「そうなのか…まぁ、ドワーフの魔法が選んだ武器だ。モモには向いているんだろう」

ガラムさんにそう言われたけど…うーん…向いてるのかな。

私達は武器屋を出て、ギルドに戻った。
再び注目の的になったが、気にしないことにした。

ギルドの中の紙がたくさん貼ってある壁の前に到着した。
おー…アニメとかのギルドって感じ。

「ここで自分の受ける依頼を探すんだ。左から順にEから難易度が上がっていく。俺たちは普段DかCのランクを受けているんだが、モモのために今回はEランクを受けよう」

「すみません…」

「いいや、誰だって最初の依頼は怖い。まぁ、ギガンテスと戦ったモモなら物足りないかもしれないけどな」

ガラムさんはそう言って軽く笑った。

「モモはカードが明日受け取りだろうから、明日出発にしよう。依頼は…これなんかどうだ?」

ガラムさんは紙をとって私たちに見せる。

「街周辺のゴブリン5体の討伐…」

おーゴブリン…。異世界~って感じだ。
ちょっとテンションが上がるかも。

「いいんじゃないですか?モモさんは初めての依頼なわけですし」

「えーもっと燃えるやつにしようぜ」

「最初の依頼でウルフ相手に泣きべそかいてたやつが何言ってんのよ」

「泣いてねーよ!」

「よし、じゃあこれを俺のパーティで受けてくる。モモ、依頼の受け方を教えるからついてきてくれ」

私は騒いでいるエルとカイルを残してガラムさんについていった。
依頼の紙の持っていく場所や、必要なことなどを教えてもらった。

依頼を受けて、今日は明日の依頼に備えるとこになった。

「ねーガラム、今日はモモちゃんどこに泊まるの?」

「そうだな…モモ、どうする?ギルドカードがないと銀行使えないからギガンテスの素材料も入らないからな…」

なるほど…ギルドカードはキャッシュカードにもなるのか…。
つまり、今の私は無一文ってわけか。

「えっと…どうしましょう?」

「それじゃあ私のところに泊まりますか?」

「アイシアさんのところですか?」

「はい、私は構いませんよ」

「ちょっとまったぁ!それなら私の家でもいいよ!」

「いや、それはやめたほうがいい」

「たしかに…」

エルさんが勢いよくきたが、ガラムさんとカイルが止めた。

「ちょっと!なんでよ!」

「いや、ベッド以外に足の踏み場作ってから言えよ」

え?そんなひどいの?

「失礼ね!今はもう大丈夫よ!」

「ほう…じゃあこれから少し見にいくか」

「いいわよ!それでみんながいいって言えばモモちゃんは私のものよ!」

いや、エルさんのものにはならんけども。
私達はギルドから10分ほどというエルさんの家に向かった。
エルさんの家は集合住宅の一部屋を借りていて、元の世界でいうアパート暮らしというやつだ。
エルさんの家について、エルさんは扉の鍵を開けた。

「ふっふっふ…昨日の掃除の成果を見なさい!」

扉が開くとなんというか…足の踏み場はあるけど…床には本やよくわからない草などが落ちていたり、服が落ちていたりした。

「どう!?これでモモちゃんは…」

「アイシアさん、お世話になります」

「はい、大丈夫ですよ」

「なんでよ!?」

「いや、逆に掃除してこれってやばいだろ」

「うっさいわね!カイルは黙ってなさいよ!」

私はパーティメンバー満場一致でアイシアさんの家に泊まることとなった。
ちなみに、アイシアさんの家は綺麗に掃除されていて、ゆっくり休むことができた。
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