12 / 70
1章:魔法学園入学
パパとの約束
しおりを挟む
それからしばらくパパは家にいたが、王都行きの船が来る明日でまた仕事に戻ってしまう。
今日はパパの好きなママのロールキャベツでお見送り会。
でも…本音を言うとパパにずっとそばにいてほしい。
そのせいで私はずっと笑顔になれなかった。
「もーリンちゃん。そんな顔しないの。お仕事なんだからしかたないでしょう?」
「うん…」
「リン、またしばらくしたら帰ってくるから。そしたら…」
「パパは…」
「ん?」
「パパは…特殊属性魔力の人の研究をしてるの…?」
私の言う事にパパとママは驚いていた。
あの時パパの部屋で見た資料から察するにパパはおそらく特殊属性の魔力の人達の研究をしている。
「あぁ、そうだ。特殊属性の魔力はまだまだ謎が多い。それを解明すれば…」
「じゃあ…じゃあ私を…私を研究して…?そうすれば…パパはずっとこの家に…」
「リン!」
パパが急に怒っているような声で私の名前を呼ぶ。
それに驚いてか、パパに怒られたことに対してなのか、私の目からはまた涙がポロポロと止まらかった。
「だって…ひっく……パパとずっと…ひっく……いたい…から…私…」
泣きじゃくる私をパパは優しく抱いてくれた。
「ごめんな…リン。パパもリンやリーネと一緒にいたい…。でもこの研究はパパの小さな頃からの夢なんだ」
「ゆ…め?」
「あぁ、特殊属性の魔力は絶対にたくさんの人達を幸せにできる。それを証明したいんだ。」
「パパ…」
「でもな、リンにはリンの夢を叶えるために生きてほしいんだ。だから、自分を犠牲にするようなことをしちゃダメだ。パパと約束してくれ」
「……ごめん…なさい。約束…する」
「わかってくれたか?リンやリーネには寂しい思いをさせて悪いと思ってる」
「うん…」
落ち込む私を見てパパは何か思いついたような顔をした。
「そうだな…もしパパに研究してほしいと言うなら、魔法学園でものすごい成績を出すといい」
「え…?」
「リンちゃん、パパは王都魔法学園で特殊属性魔法の特別顧問っていう、いわゆる特殊魔法使いの先生みたいなのもしているの。でも特別顧問の人は見込みのある、それこそ研究してでもその人の力を解明したいってくらい強くならないと学園にくることはないの」
「じゃあ…私が強くなったらパパ…会いにきてくれる…?」
「もちろんだ!自分の娘が研究対象になるほど強くなってくれるんだ。そんな嬉しいことはない!」
パパは笑って私の頭を撫でてくれた。
「じゃあ…私…強くなる。学園で1位になれるくらい…勉強して、魔法もたくさん…覚える…それで…絶対パパに会う…約束」
「あぁ、楽しみにしてる。約束するよ。大丈夫、リンはパパとリーネの子だからな!」
「……うん!」
「さて、それじゃあママのご飯を食べようか!パパはお腹ぺこぺこだ」
「はーい、できたわよー」
ママのロールキャベツが出てきて私達は最後の夕食を楽しんだ。
そして次の日…。
港にはまたたくさんの人達と大きな船がきていた。
「リン、リーネ。ありがとうな、久しぶりに楽しい休暇だった」
「私こそ、あなたといられて楽しかったわ。次はもっと早く帰ってきてね」
ママの言葉にパパは少し困ったような笑顔を浮かべて返事をする。
「善処するよ。リン」
「うん…」
「リンにこれを渡しておくよ」
そう言ってパパは私に肩にかけるカバンをくれた。
「これ…は?」
「前にパパが会った特殊属性の魔力の人に貰ったんだ。これにはその人の固有魔法がかかっていてな、ほらここ」
パパが指差す所をみるとたしかに式が書かれていた。
「これには空間拡張魔法って言うのがかかっててな、この中は通常のカバンの500倍の量の物が入れられて重さがないんだ」
「そ、そんなすごいの…貰え…ない」
「いいんだ、パパも自分の特殊魔法の応用で似たようなものを作れたからな」
「そう…なの?パパ…すごい」
「いやぁそうだろうそうだろう!っとそろそろ時間だな」
そう言ってパパは立ち上がる。
「あなた、気をつけてね」
「あぁ…いってくるよ。リーネ」
パパは帰ってきた時のようにママにキスをした。
だからだいたんだよ…パパ…。
「それじゃあな。リン、試験頑張れよ!」
ん……?試験?
パパはそのまま船に乗り込み、船は大きな汽笛の音をならして港を後にした。
今日はパパの好きなママのロールキャベツでお見送り会。
でも…本音を言うとパパにずっとそばにいてほしい。
そのせいで私はずっと笑顔になれなかった。
「もーリンちゃん。そんな顔しないの。お仕事なんだからしかたないでしょう?」
「うん…」
「リン、またしばらくしたら帰ってくるから。そしたら…」
「パパは…」
「ん?」
「パパは…特殊属性魔力の人の研究をしてるの…?」
私の言う事にパパとママは驚いていた。
あの時パパの部屋で見た資料から察するにパパはおそらく特殊属性の魔力の人達の研究をしている。
「あぁ、そうだ。特殊属性の魔力はまだまだ謎が多い。それを解明すれば…」
「じゃあ…じゃあ私を…私を研究して…?そうすれば…パパはずっとこの家に…」
「リン!」
パパが急に怒っているような声で私の名前を呼ぶ。
それに驚いてか、パパに怒られたことに対してなのか、私の目からはまた涙がポロポロと止まらかった。
「だって…ひっく……パパとずっと…ひっく……いたい…から…私…」
泣きじゃくる私をパパは優しく抱いてくれた。
「ごめんな…リン。パパもリンやリーネと一緒にいたい…。でもこの研究はパパの小さな頃からの夢なんだ」
「ゆ…め?」
「あぁ、特殊属性の魔力は絶対にたくさんの人達を幸せにできる。それを証明したいんだ。」
「パパ…」
「でもな、リンにはリンの夢を叶えるために生きてほしいんだ。だから、自分を犠牲にするようなことをしちゃダメだ。パパと約束してくれ」
「……ごめん…なさい。約束…する」
「わかってくれたか?リンやリーネには寂しい思いをさせて悪いと思ってる」
「うん…」
落ち込む私を見てパパは何か思いついたような顔をした。
「そうだな…もしパパに研究してほしいと言うなら、魔法学園でものすごい成績を出すといい」
「え…?」
「リンちゃん、パパは王都魔法学園で特殊属性魔法の特別顧問っていう、いわゆる特殊魔法使いの先生みたいなのもしているの。でも特別顧問の人は見込みのある、それこそ研究してでもその人の力を解明したいってくらい強くならないと学園にくることはないの」
「じゃあ…私が強くなったらパパ…会いにきてくれる…?」
「もちろんだ!自分の娘が研究対象になるほど強くなってくれるんだ。そんな嬉しいことはない!」
パパは笑って私の頭を撫でてくれた。
「じゃあ…私…強くなる。学園で1位になれるくらい…勉強して、魔法もたくさん…覚える…それで…絶対パパに会う…約束」
「あぁ、楽しみにしてる。約束するよ。大丈夫、リンはパパとリーネの子だからな!」
「……うん!」
「さて、それじゃあママのご飯を食べようか!パパはお腹ぺこぺこだ」
「はーい、できたわよー」
ママのロールキャベツが出てきて私達は最後の夕食を楽しんだ。
そして次の日…。
港にはまたたくさんの人達と大きな船がきていた。
「リン、リーネ。ありがとうな、久しぶりに楽しい休暇だった」
「私こそ、あなたといられて楽しかったわ。次はもっと早く帰ってきてね」
ママの言葉にパパは少し困ったような笑顔を浮かべて返事をする。
「善処するよ。リン」
「うん…」
「リンにこれを渡しておくよ」
そう言ってパパは私に肩にかけるカバンをくれた。
「これ…は?」
「前にパパが会った特殊属性の魔力の人に貰ったんだ。これにはその人の固有魔法がかかっていてな、ほらここ」
パパが指差す所をみるとたしかに式が書かれていた。
「これには空間拡張魔法って言うのがかかっててな、この中は通常のカバンの500倍の量の物が入れられて重さがないんだ」
「そ、そんなすごいの…貰え…ない」
「いいんだ、パパも自分の特殊魔法の応用で似たようなものを作れたからな」
「そう…なの?パパ…すごい」
「いやぁそうだろうそうだろう!っとそろそろ時間だな」
そう言ってパパは立ち上がる。
「あなた、気をつけてね」
「あぁ…いってくるよ。リーネ」
パパは帰ってきた時のようにママにキスをした。
だからだいたんだよ…パパ…。
「それじゃあな。リン、試験頑張れよ!」
ん……?試験?
パパはそのまま船に乗り込み、船は大きな汽笛の音をならして港を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
スキル【ファミレス】を使っていたら伝説になりました。
キンモクセイ
ファンタジー
スキル「ファミレス」を手にした。
ハズレスキルかと思い、主人公の思うがまま行動している。
そんな時に1人の少女と出会い、運命が変わる。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる