魔法の数字

初昔 茶ノ介

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1章:魔法学園入学

パパとの約束

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それからしばらくパパは家にいたが、王都行きの船が来る明日でまた仕事に戻ってしまう。
今日はパパの好きなママのロールキャベツでお見送り会。

でも…本音を言うとパパにずっとそばにいてほしい。
そのせいで私はずっと笑顔になれなかった。

「もーリンちゃん。そんな顔しないの。お仕事なんだからしかたないでしょう?」

「うん…」

「リン、またしばらくしたら帰ってくるから。そしたら…」

「パパは…」

「ん?」

「パパは…特殊属性魔力の人の研究をしてるの…?」

私の言う事にパパとママは驚いていた。
あの時パパの部屋で見た資料から察するにパパはおそらく特殊属性の魔力の人達の研究をしている。

「あぁ、そうだ。特殊属性の魔力はまだまだ謎が多い。それを解明すれば…」

「じゃあ…じゃあ私を…私を研究して…?そうすれば…パパはずっとこの家に…」

「リン!」

パパが急に怒っているような声で私の名前を呼ぶ。
それに驚いてか、パパに怒られたことに対してなのか、私の目からはまた涙がポロポロと止まらかった。

「だって…ひっく……パパとずっと…ひっく……いたい…から…私…」

泣きじゃくる私をパパは優しく抱いてくれた。

「ごめんな…リン。パパもリンやリーネと一緒にいたい…。でもこの研究はパパの小さな頃からの夢なんだ」

「ゆ…め?」

「あぁ、特殊属性の魔力は絶対にたくさんの人達を幸せにできる。それを証明したいんだ。」

「パパ…」

「でもな、リンにはリンの夢を叶えるために生きてほしいんだ。だから、自分を犠牲にするようなことをしちゃダメだ。パパと約束してくれ」

「……ごめん…なさい。約束…する」

「わかってくれたか?リンやリーネには寂しい思いをさせて悪いと思ってる」

「うん…」

落ち込む私を見てパパは何か思いついたような顔をした。

「そうだな…もしパパに研究してほしいと言うなら、魔法学園でものすごい成績を出すといい」

「え…?」

「リンちゃん、パパは王都魔法学園で特殊属性魔法の特別顧問っていう、いわゆる特殊魔法使いの先生みたいなのもしているの。でも特別顧問の人は見込みのある、それこそ研究してでもその人の力を解明したいってくらい強くならないと学園にくることはないの」

「じゃあ…私が強くなったらパパ…会いにきてくれる…?」

「もちろんだ!自分の娘が研究対象になるほど強くなってくれるんだ。そんな嬉しいことはない!」

パパは笑って私の頭を撫でてくれた。

「じゃあ…私…強くなる。学園で1位になれるくらい…勉強して、魔法もたくさん…覚える…それで…絶対パパに会う…約束」

「あぁ、楽しみにしてる。約束するよ。大丈夫、リンはパパとリーネの子だからな!」

「……うん!」

「さて、それじゃあママのご飯を食べようか!パパはお腹ぺこぺこだ」

「はーい、できたわよー」

ママのロールキャベツが出てきて私達は最後の夕食を楽しんだ。

そして次の日…。
港にはまたたくさんの人達と大きな船がきていた。

「リン、リーネ。ありがとうな、久しぶりに楽しい休暇だった」

「私こそ、あなたといられて楽しかったわ。次はもっと早く帰ってきてね」

ママの言葉にパパは少し困ったような笑顔を浮かべて返事をする。

「善処するよ。リン」

「うん…」

「リンにこれを渡しておくよ」

そう言ってパパは私に肩にかけるカバンをくれた。

「これ…は?」

「前にパパが会った特殊属性の魔力の人に貰ったんだ。これにはその人の固有魔法がかかっていてな、ほらここ」

パパが指差す所をみるとたしかに式が書かれていた。

「これには空間拡張魔法って言うのがかかっててな、この中は通常のカバンの500倍の量の物が入れられて重さがないんだ」

「そ、そんなすごいの…貰え…ない」

「いいんだ、パパも自分の特殊魔法の応用で似たようなものを作れたからな」

「そう…なの?パパ…すごい」

「いやぁそうだろうそうだろう!っとそろそろ時間だな」

そう言ってパパは立ち上がる。

「あなた、気をつけてね」

「あぁ…いってくるよ。リーネ」

パパは帰ってきた時のようにママにキスをした。
だからだいたんだよ…パパ…。

「それじゃあな。リン、試験頑張れよ!」

ん……?試験?

パパはそのまま船に乗り込み、船は大きな汽笛の音をならして港を後にした。





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