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第1章:別れと出会い
38.進捗報告
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「えぇ!? 土竜ですか!?」
俺がムー爺さんのことを紹介すると、早速ミラさんが驚きの声を上げた。ガルドさんも、声は出さないものの驚いている顔をしている。
薬草のことやムー爺さんのこと、ロネットの目のことを話すために、リオネルたちには一旦俺の部屋に集まってもらった。子供達にはみんなに食べてもらうお昼ご飯を作ってもらった。
「ほっほっほ。まぁ、そう肩肘を張らんでも良いよ」
「そうは言われましても……」
「ここでの生活を楽しませてもらっておるわい。子供たちはいい子じゃしの」
「そうおっしゃるなら……」
「なんでそんなにかしこまってるんだ?」
「シノ、竜っていうのはいわば国の守り神なんだよ。そんな存在が目の前にいたらそりゃこうなるよ」
「それは真面目な竜たちじゃ。わしはもう隠居の身じゃよ」
「ですが、土竜ノームートといえば勇者を育てたという伝説で……」
「ほっほっほ。それももう遠い昔のことじゃ」
「勇者?」
「土竜ノームートは昔、勇者を育て、その勇者は旅に出て魔王を討伐したっていう伝説があるんだよ。その勇者は魔王討伐後、討伐した北の地に残って、国を立ち上げた。子孫が今は北の国、セレーヌの王族だよ」
「じゃあ、ムー爺さんは王様の恩人ってわけか」
「ほっほっほ。そんな偉いもんじゃない。教えてくれと言われたから色々教えてやっただけじゃ。それこそシノのようにの」
「規模感というか、なんというか……」
「それよりも、ロネットのことだ。そのスキルというのは、体には悪影響はないのか?」
ガルドさんが心配そうにムー爺さんに尋ねる。
「悪影響?」
「スキルの中には代償が伴うものもあるんだ。過去には魂を削ったり、使用するたびに体が傷ついたりするものもな」
「そうなのか!? ムー爺さん、ロネットは大丈夫なんだろ!?」
そんな話を聞いたこともないし、俺自身もスキルを使っていて何も影響がなかったから考えたこともなかった。
「四葉の瞳にそのような代償があったということは聞いたことがないの」
ムー爺さんの情報とロネットが今も何事もなさそうにしていたことを考えると大丈夫なんだろうとみんなでホッとする。
「じゃが……」
「?」
「……いや、ここに居れば問題はなかろうて」
ムー爺さんが何か言いかけたように見えたが、俺の顔を見ていうのをやめたようだ。
「薬草の栽培については順調そうかい?」
「あぁ、ムー爺さんのおかげでかなり進展があったと思ってる」
「ほっほっほ。いやいや、皆が真面目に取り組んでおるからじゃよ」
「それはよかった。資料なんかもあるのかい? あったら見せてくれ」
俺はリオネルに、ルッテと一緒にまとめた薬草の観察記録と、ムー爺さんからの教えをまとめた資料を渡した。
三人はその資料を順に見ていく。
「なるほど……魔力濃度か……」
「それは確かに、試しようがありませんからね」
「それに、これならシノが持ってた薬草が僕が見たことあるものより大きかったのもうなづける」
三人は資料を読んでお互いの考察が飛ぶ中で俺が声を挟んだ。
「そうだ、三人とも今日は泊まっていけないか?」
資料を見て考える三人に俺が提案する。
「構わないけど、何かあるのかい?」
「ムー爺さん曰く、今日の夜、面白いものが観れるらしいんだ」
「おぉ、そうじゃのう」
俺も何が見れるか知らないから楽しみだ。
あらかたの報告を終えて、みんなが作る昼食を食べている時、三人が泊まっていくことを伝えると、子供たちはとても喜んでいた。
俺がムー爺さんのことを紹介すると、早速ミラさんが驚きの声を上げた。ガルドさんも、声は出さないものの驚いている顔をしている。
薬草のことやムー爺さんのこと、ロネットの目のことを話すために、リオネルたちには一旦俺の部屋に集まってもらった。子供達にはみんなに食べてもらうお昼ご飯を作ってもらった。
「ほっほっほ。まぁ、そう肩肘を張らんでも良いよ」
「そうは言われましても……」
「ここでの生活を楽しませてもらっておるわい。子供たちはいい子じゃしの」
「そうおっしゃるなら……」
「なんでそんなにかしこまってるんだ?」
「シノ、竜っていうのはいわば国の守り神なんだよ。そんな存在が目の前にいたらそりゃこうなるよ」
「それは真面目な竜たちじゃ。わしはもう隠居の身じゃよ」
「ですが、土竜ノームートといえば勇者を育てたという伝説で……」
「ほっほっほ。それももう遠い昔のことじゃ」
「勇者?」
「土竜ノームートは昔、勇者を育て、その勇者は旅に出て魔王を討伐したっていう伝説があるんだよ。その勇者は魔王討伐後、討伐した北の地に残って、国を立ち上げた。子孫が今は北の国、セレーヌの王族だよ」
「じゃあ、ムー爺さんは王様の恩人ってわけか」
「ほっほっほ。そんな偉いもんじゃない。教えてくれと言われたから色々教えてやっただけじゃ。それこそシノのようにの」
「規模感というか、なんというか……」
「それよりも、ロネットのことだ。そのスキルというのは、体には悪影響はないのか?」
ガルドさんが心配そうにムー爺さんに尋ねる。
「悪影響?」
「スキルの中には代償が伴うものもあるんだ。過去には魂を削ったり、使用するたびに体が傷ついたりするものもな」
「そうなのか!? ムー爺さん、ロネットは大丈夫なんだろ!?」
そんな話を聞いたこともないし、俺自身もスキルを使っていて何も影響がなかったから考えたこともなかった。
「四葉の瞳にそのような代償があったということは聞いたことがないの」
ムー爺さんの情報とロネットが今も何事もなさそうにしていたことを考えると大丈夫なんだろうとみんなでホッとする。
「じゃが……」
「?」
「……いや、ここに居れば問題はなかろうて」
ムー爺さんが何か言いかけたように見えたが、俺の顔を見ていうのをやめたようだ。
「薬草の栽培については順調そうかい?」
「あぁ、ムー爺さんのおかげでかなり進展があったと思ってる」
「ほっほっほ。いやいや、皆が真面目に取り組んでおるからじゃよ」
「それはよかった。資料なんかもあるのかい? あったら見せてくれ」
俺はリオネルに、ルッテと一緒にまとめた薬草の観察記録と、ムー爺さんからの教えをまとめた資料を渡した。
三人はその資料を順に見ていく。
「なるほど……魔力濃度か……」
「それは確かに、試しようがありませんからね」
「それに、これならシノが持ってた薬草が僕が見たことあるものより大きかったのもうなづける」
三人は資料を読んでお互いの考察が飛ぶ中で俺が声を挟んだ。
「そうだ、三人とも今日は泊まっていけないか?」
資料を見て考える三人に俺が提案する。
「構わないけど、何かあるのかい?」
「ムー爺さん曰く、今日の夜、面白いものが観れるらしいんだ」
「おぉ、そうじゃのう」
俺も何が見れるか知らないから楽しみだ。
あらかたの報告を終えて、みんなが作る昼食を食べている時、三人が泊まっていくことを伝えると、子供たちはとても喜んでいた。
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