特技泥棒、異世界に行くと最強スキルになりまして

初昔 茶ノ介

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第1章:別れと出会い

41.薬草の評価/気にしない胸騒ぎ

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「これは……素晴らしい薬草だ」

 あの森から戻ってくる時に持ってきた薬草をラゼル様に見せた。

「大きさ、色、艶、どれを見ても今までのものと一線を画す」

 私の知る限り、この街で最も薬草に詳しい魔術師であるラゼル様がこうまで言うのだ。私の考えは正しかった!
 そもそもあのフェルネス商会の息子が利益にもならない無茶を起こすわけがないのだ。

「このクオリティの薬草を入れられるのなら、いつもの倍だそう」

「……! 倍ですか!?」

「あぁ。むしろ安いくらいだ。これよりもさらに良くなるならさらに増やそう」

「それは……ありがたきことです」

「あぁ、頼んだぞ」

 私は頭を下げてラゼル様の研究室を後にした。
 こうなったらなんとしてもあの薬草の情報を手に入れねばな。
 私は企みを思い浮かべながらつい先日手に入れた魔道具を力強く握りしめた。







「だから、これはもう少し配置を変えましょうって!」

 薬草の栽培法がわかってから一ヶ月が経った。
 俺たちは薬草の量産体制に入って、色々とわかってきたことがある。
 薬草は魔力が満たされれば短時間で栽培が可能なこと。
 そのために効率のいい方法で育成する必要性があるわけだが……。

「でもこっちの方が他の野菜にいい影響が出るだろ!」

 それで薬草を育てるための配置でルッテとトニーの意見が真っ向からぶつかった。
 研究者気質のルッテが出す薬草の種子散布の段階で収穫を楽にする配置と、トニーが出す野菜を美味しくする配置だ。
 ムー爺さん曰く、薬草を育てるための魔力が周りの植物にもいい影響を与えて、美味しくなるらしい。
 だから俺が薬草を取っていたところも綺麗な花畑になっていたということらしい。

「薬草を採る時に野菜を避けながらは邪魔でしょう!」

「でも子供たちのことを考えたら美味しい野菜の方がいいだろ!」

 トニーはトニーで、料理が好きなだけあって野菜が美味しく育つのは嬉しいんだろう。毎日俺も食べていてわかるが、薬草を育て始めてからの料理が明らかに美味しくなっているのは良くわかる。

 お互いの言い分がぶつかるのを俺とロネットで眺めているが、俺もロネットもどっちの言い分も大事なことがわかるから何もいえずにいた。

「とりあえず、二人とも落ち着けよ」

「でもシノさん!」
「でもシノ兄!」

 俺が止めに入ったところで二人ともフンッと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

「ほっほっほ。毎日賑やかじゃのぉ」

 2階からムー爺さんがいつもの警戒な笑い声をあげて降りてきた。

「ムー爺さん、珍しく部屋の中にこもってたな。何してたんだ?」

「うむ、実はしばらく出かけさせてもらおうかと思っての。その準備じゃ」

「出かけるのは全然大丈夫だが、どこにいくんだ?」

「ほっほっほ。ガルドと一緒に街の酒蔵巡りじゃよ」

 ガルドさんと酒を飲んでからすっかり酒好きになったムー爺さん。ガルドさんともめちゃくちゃ仲良くなってんな……。

「数日は戻らんが、大丈夫かの?」

「あぁ、楽しんできてくれ」

「そう言ってもらえるとありがたいのう。では行ってくるの」

 ムー爺さんが出ていくのを見て、ほんの少しだけ胸騒ぎがした。
 でも、それはムー爺さんがいることが当たり前になったんだなと思って、気にしないことにした。
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