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第1章
9話:暴れる力
オルテンシア様のお屋敷から戻ってから一週間が過ぎた。
「ミリム、あれからどう?」
「はい、理解してるのかしてないのか、本をペラペラめくってます」
私は唯一できたひとり遊び以外の暇つぶしに夢中だった。
まず文字。これがとても面白い。前の世界でも私はお客様のために会話ができる程度に5ヶ国語は覚えられた。どの国の言語とも違うパターンに形。難しさよりも新鮮さが勝ってとっても楽しい。普通の文字は三日で覚えた。今はオルテンシア様の魔術文字の本を読んでいる。これがどういう仕組みなのか、魔力を通すと意味が理解できるのだ。
書いてある魔術文字の上を、指の先端に魔力を集めてなぞるとまるで指先から吸収しているみたいに頭の中に意味が流れてくるのだ。
すごい……これは文字という言葉で表すにはあまりにも神秘的すぎる。それに、意味が理解できる時とできない時の違いがまだ理解できてない。
私の魔力の通し方が悪いの? それとも何か魔力を操る上で違う方法がある? 考えて、実践して、成功でも失敗でも結果を得てまた考える。この思考の繰り返しがとても心地い。新しいお茶の淹れ方や茶葉を手に入れた時のような試行錯誤という楽しみを、お茶以外から得られているのは自分でも驚いている。
「さぁ、リリー。昼食の時間ですよ」
そう言ってお母様が私の読んでいる本を閉じようとする。
あ、もう少しでキリがいいところなのに……。
そう思って本を閉じようとする手を止めるが、お母様は私の手を本から離す。
「リリー、食事の時はしっかり守らないといけないわ。食べ終わってから遊びなさい」
お母様の言うことはごもっとも。
そう思って私も諦めてお母様と昼食をとる。
「リリーはすっかり本の虫ね。泣くことも少なくなったし、これが成長なのかしら。レーンやシャルはまだたくさん泣いていたと思うのだけれど……」
ギクっ……。さすがに最近、本に夢中になり過ぎたかな。前の世界でも全然泣かない赤ちゃんが発達障害の可能性とかニュースで見たことがあるし……。
「きっと将来は賢い子になるわね」
よかった……気にしてなさそう……。しっかりしてるようでお母様も大概親ばか寄りだ。
そんなことを考えながらミリムさんに最後の一口の離乳食を食べさせてもらう。
ミリムさんは私の食べ終わった食器をワゴンに乗せ、ティーポットを持ってお母様の方を向く。
「奥様、お茶のおかわりはいかがですか?」
「えぇ、ありがとうミリム。いただくわ」
ミリムさんは紅茶をお母様のカップに注ぎ、周囲に紅茶のいい匂いが広がった。
いいなぁ……私もお茶が飲みたい……。
「あっ……」
紅茶を飲もうとしたお母様が手を滑らせたのか、ティーカップを落とした。
そして、カップがカシャンと高い音を立てて割れた時、紅茶が一滴、私の手に飛んできた。
その瞬間、私の体から光が放たれた。
「な、なに!?」
「リーリフィア様!?」
私のことを呼ばれて、私が異常事態になっていることを自覚した。
何!? この光!? 痛いとかはないけど、体が熱い……。魔力が沸騰して私の体の中を暴れてるみたい……。
「う、あああぁぁぁん!」
私はあまりの衝撃に泣き出してしまった。感情をコントロールできるほど、今の私に余裕はない。
苦しい……無理やり体の中のエネルギーを何かに食べられているみたい……。
「これは……魔力暴走!? どうして突然……」
「そんなことを気にしている場合じゃないわ! リリー!」
お母様が私の元に駆け寄ってくるが何かに阻まれるようにお母様は弾き飛ばされた。
「奥様!」
「魔力密度が高すぎるわ……」
「エレナ!」
扉をバンっと開けて入ってきたのはお父様だった。
「ミリム、あれからどう?」
「はい、理解してるのかしてないのか、本をペラペラめくってます」
私は唯一できたひとり遊び以外の暇つぶしに夢中だった。
まず文字。これがとても面白い。前の世界でも私はお客様のために会話ができる程度に5ヶ国語は覚えられた。どの国の言語とも違うパターンに形。難しさよりも新鮮さが勝ってとっても楽しい。普通の文字は三日で覚えた。今はオルテンシア様の魔術文字の本を読んでいる。これがどういう仕組みなのか、魔力を通すと意味が理解できるのだ。
書いてある魔術文字の上を、指の先端に魔力を集めてなぞるとまるで指先から吸収しているみたいに頭の中に意味が流れてくるのだ。
すごい……これは文字という言葉で表すにはあまりにも神秘的すぎる。それに、意味が理解できる時とできない時の違いがまだ理解できてない。
私の魔力の通し方が悪いの? それとも何か魔力を操る上で違う方法がある? 考えて、実践して、成功でも失敗でも結果を得てまた考える。この思考の繰り返しがとても心地い。新しいお茶の淹れ方や茶葉を手に入れた時のような試行錯誤という楽しみを、お茶以外から得られているのは自分でも驚いている。
「さぁ、リリー。昼食の時間ですよ」
そう言ってお母様が私の読んでいる本を閉じようとする。
あ、もう少しでキリがいいところなのに……。
そう思って本を閉じようとする手を止めるが、お母様は私の手を本から離す。
「リリー、食事の時はしっかり守らないといけないわ。食べ終わってから遊びなさい」
お母様の言うことはごもっとも。
そう思って私も諦めてお母様と昼食をとる。
「リリーはすっかり本の虫ね。泣くことも少なくなったし、これが成長なのかしら。レーンやシャルはまだたくさん泣いていたと思うのだけれど……」
ギクっ……。さすがに最近、本に夢中になり過ぎたかな。前の世界でも全然泣かない赤ちゃんが発達障害の可能性とかニュースで見たことがあるし……。
「きっと将来は賢い子になるわね」
よかった……気にしてなさそう……。しっかりしてるようでお母様も大概親ばか寄りだ。
そんなことを考えながらミリムさんに最後の一口の離乳食を食べさせてもらう。
ミリムさんは私の食べ終わった食器をワゴンに乗せ、ティーポットを持ってお母様の方を向く。
「奥様、お茶のおかわりはいかがですか?」
「えぇ、ありがとうミリム。いただくわ」
ミリムさんは紅茶をお母様のカップに注ぎ、周囲に紅茶のいい匂いが広がった。
いいなぁ……私もお茶が飲みたい……。
「あっ……」
紅茶を飲もうとしたお母様が手を滑らせたのか、ティーカップを落とした。
そして、カップがカシャンと高い音を立てて割れた時、紅茶が一滴、私の手に飛んできた。
その瞬間、私の体から光が放たれた。
「な、なに!?」
「リーリフィア様!?」
私のことを呼ばれて、私が異常事態になっていることを自覚した。
何!? この光!? 痛いとかはないけど、体が熱い……。魔力が沸騰して私の体の中を暴れてるみたい……。
「う、あああぁぁぁん!」
私はあまりの衝撃に泣き出してしまった。感情をコントロールできるほど、今の私に余裕はない。
苦しい……無理やり体の中のエネルギーを何かに食べられているみたい……。
「これは……魔力暴走!? どうして突然……」
「そんなことを気にしている場合じゃないわ! リリー!」
お母様が私の元に駆け寄ってくるが何かに阻まれるようにお母様は弾き飛ばされた。
「奥様!」
「魔力密度が高すぎるわ……」
「エレナ!」
扉をバンっと開けて入ってきたのはお父様だった。
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