前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます

初昔 茶ノ介

文字の大きさ
10 / 74
第1章

9話:暴れる力

 オルテンシア様のお屋敷から戻ってから一週間が過ぎた。

「ミリム、あれからどう?」

「はい、理解してるのかしてないのか、本をペラペラめくってます」

 私は唯一できたひとり遊び以外の暇つぶしに夢中だった。
 まず文字。これがとても面白い。前の世界でも私はお客様のために会話ができる程度に5ヶ国語は覚えられた。どの国の言語とも違うパターンに形。難しさよりも新鮮さが勝ってとっても楽しい。普通の文字は三日で覚えた。今はオルテンシア様の魔術文字の本を読んでいる。これがどういう仕組みなのか、魔力を通すと意味が理解できるのだ。
 書いてある魔術文字の上を、指の先端に魔力を集めてなぞるとまるで指先から吸収しているみたいに頭の中に意味が流れてくるのだ。
 すごい……これは文字という言葉で表すにはあまりにも神秘的すぎる。それに、意味が理解できる時とできない時の違いがまだ理解できてない。
 
 私の魔力の通し方が悪いの? それとも何か魔力を操る上で違う方法がある? 考えて、実践して、成功でも失敗でも結果を得てまた考える。この思考の繰り返しがとても心地い。新しいお茶の淹れ方や茶葉を手に入れた時のような試行錯誤という楽しみを、お茶以外から得られているのは自分でも驚いている。

「さぁ、リリー。昼食の時間ですよ」

 そう言ってお母様が私の読んでいる本を閉じようとする。
 あ、もう少しでキリがいいところなのに……。
 そう思って本を閉じようとする手を止めるが、お母様は私の手を本から離す。

「リリー、食事の時はしっかり守らないといけないわ。食べ終わってから遊びなさい」

 お母様の言うことはごもっとも。
 そう思って私も諦めてお母様と昼食をとる。

「リリーはすっかり本の虫ね。泣くことも少なくなったし、これが成長なのかしら。レーンやシャルはまだたくさん泣いていたと思うのだけれど……」

 ギクっ……。さすがに最近、本に夢中になり過ぎたかな。前の世界でも全然泣かない赤ちゃんが発達障害の可能性とかニュースで見たことがあるし……。

「きっと将来は賢い子になるわね」

 よかった……気にしてなさそう……。しっかりしてるようでお母様も大概親ばか寄りだ。
 そんなことを考えながらミリムさんに最後の一口の離乳食を食べさせてもらう。
 ミリムさんは私の食べ終わった食器をワゴンに乗せ、ティーポットを持ってお母様の方を向く。

「奥様、お茶のおかわりはいかがですか?」

「えぇ、ありがとうミリム。いただくわ」

 ミリムさんは紅茶をお母様のカップに注ぎ、周囲に紅茶のいい匂いが広がった。
 いいなぁ……私もお茶が飲みたい……。

「あっ……」

 紅茶を飲もうとしたお母様が手を滑らせたのか、ティーカップを落とした。
 そして、カップがカシャンと高い音を立てて割れた時、紅茶が一滴、私の手に飛んできた。
 その瞬間、私の体から光が放たれた。

「な、なに!?」

「リーリフィア様!?」

 私のことを呼ばれて、私が異常事態になっていることを自覚した。
 何!? この光!? 痛いとかはないけど、体が熱い……。魔力が沸騰して私の体の中を暴れてるみたい……。

「う、あああぁぁぁん!」

 私はあまりの衝撃に泣き出してしまった。感情をコントロールできるほど、今の私に余裕はない。
 苦しい……無理やり体の中のエネルギーを何かに食べられているみたい……。

「これは……魔力暴走!? どうして突然……」

「そんなことを気にしている場合じゃないわ! リリー!」

 お母様が私の元に駆け寄ってくるが何かに阻まれるようにお母様は弾き飛ばされた。

「奥様!」

「魔力密度が高すぎるわ……」

「エレナ!」

 扉をバンっと開けて入ってきたのはお父様だった。
感想 4

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の乳母だったので、全力で育児をします!

氷桜 零
ファンタジー
日本のブラック企業で過労死した主人公・ミリア。 気がつけば、魔族として異世界転生していた。 魔王城にて、災害級のギャン泣きベビーである生後3ヶ月の魔王ルシエルと遭遇。 保育士経験を活かして抱っこした瞬間、暴走魔力が静まり、全魔族が驚愕。 即座に「魔王の乳母」に任命され、育児を全面的に任されることに!?

できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―

愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。 彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。 魔法は使えない。 体は不器用で、成長も人より遅い。 前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。 けれどこの世界には、 見守り支えてくれる両親と、 あたたかい食卓があった。 泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、 彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。 これは、 最強でもチートでもない主人公が、 家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す 生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。 ……の、予定です。 毎日更新できるように執筆がんばります!

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!

モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。 突然の事故で命を落とした主人公。 すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。  それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。 「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。  転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。 しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。 そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。 ※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

神様のミスで死んだので、神獣もふもふと異世界インターネットで快適スローライフ始めます ~最強生活チートと1000万ポイントでポチりまくり!~

幸せのオムライス
ファンタジー
★HOTランキング1位感謝!(2026.1.23) カクヨムコン異世界ファンタジー女性主人公部門 週間ランキング4位!★ 山根ことり、28歳OL。私の平凡な毎日は、上から降ってきた神様の植木鉢が頭に直撃したことで、あっけなく幕を閉じた。 神様の100%過失による事故死ということで、お詫びにもらったのは3つのチート能力。 ①通販サイトや検索が使える【異世界インターネット接続】 ②もふもふ動物と話せる【もふもふテイマー&翻訳】 ③戦闘はできないけど生活は最強な【生活魔法 Lv.99】 私の願いはただ一つ。働かずに、可愛いペットともふもふしながら快適なスローライフを送ること! のはずが、転生先は森のど真ん中。おまけに保護された先の孤児院は、ご飯はまずいしお風呂もない劣悪環境!? 「私の安眠のため、改革します!」 チート能力を駆使して、ボロ屋敷がピカピカに大変身! 現代知識と通販調味料で絶品ごはんを振る舞えば、心を閉ざした子供たちも次々と懐いてきて……? 気づけばギルドに登録し、薬草採取で荒稼ぎ。謎の天才少女として街の注目株に!? あれ、私のスローライフはどこへ? これは、うっかりチートで快適な生活基盤を整えすぎた元OLが、最強神獣もふもふや仲間たちとのんびり暮らすために、ついでに周りも幸せにしちゃう、そんな物語。 【今後のストーリー構想(全11章完結予定)】 第1章 森の生活と孤児院改革(完結済) 第2章 ヤマネコ商会、爆誕!(完結済) 第3章 ようこそ、ヤマネコ冒険部へ! 第4章 王都は誘惑の香り 第5章 救国のセラピー 第6章 戦場のロジスティクス・イノベーション 第7章 領主様はスローライフをご所望です 第8章 プロジェクト・コトリランド 第9章 ヤマネコ式教育改革 第10章 魔王対策は役員会にて 第11章 魔王城、買収しました(完結予定)

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

外れ伯爵家の三女、領地で無双する

森のカフェしっぽっぽ
ファンタジー
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。 だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。 そして思い出す―― 《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。 市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。 食料も、装備も、資金も――すべてが無限。 最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。 これは―― ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。