待てない忠犬チワワ 〜私のご主人は隙だらけ〜

初昔 茶ノ介

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1章

第4話 初めての食べ物とリィさんのお仕事

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「何だかんだでたくさんもらっちゃったねぇ」

リィさんの私を抱えているのと反対の手は屋台街の人達からもらったものでたくさんだった。

「よいしょっと」

近くの座れそうなところに買った(もらった)物と私を降ろして、リィさんも座る。

「さてと!朝ごはん食べようか!チワワはどれがいい?焼きそば?オクト焼き?唐揚げ?」

袋からひょいひょいと出てくる食べ物はどれもいい匂いがして私の空腹感を膨らませていく。
ご主人の研究所で出てくるご飯といえばカチカチのパンか焼いた肉くらいだった。
そもそも、焼いた肉以外の匂いなど、薬品くらいでしか嗅いでいない。
さて…どれか食べようか…。

「ふふふ、迷わなくても全部食べていいんだよ?私の分もちゃんとあるから」

リィさんは自分のご飯を袋から取り出して食べ始めていた。
リィさんのはご主人がくれたパンと違って、ふかふかしたパンにソーセージと野菜が挟んであるものだ。
それも美味しそう…。

私も空腹感に耐えきれず、唐揚げと呼ばれた物を一つ食べた。

……うっまぁぁぁぁ!!

唐揚げに始まり出されたものを次々食べていく。

ふぁぁぁぁぁ!どれもうまぁぁぁぁ!!

この焼きそばとかいう物もオクト焼きとこいうのもうまぁぁぁぁ!
どれもご主人といた時には食べたことないものばかりだ。
特にオクト焼きにかかってるしょっぱいと甘いが混じったような茶色の液体がうますぎる。

はっ…もうない…。

「あ、もう食べ終わっちゃったの?チワワは食いしん坊だねぇ」

「くぅぅーん…」

私は少し切なげな声を出した。
はぁ…まだ食べたいなぁ…。
私は名残惜しくてオクト焼きの入れ物に残っていた茶色の液体を舐める。

「もーそんなに美味しかったのー?じゃあお仕事終わったらまた食べようねー」

「わん!」

リィさんが頭を撫でながらゴミを回収して、近くのゴミ箱へ捨てた。

「さて、ギルドに行こっか!今日もお仕事しないとね!」

リィさんは私をふたたび抱っこして歩き出した。
しばらく歩いていると、大きな建物が見えてきた。

「チワワ、ここがギルド。ここで冒険者の人たちは依頼を受けて、いろんなお仕事をするの。仲間を探したりするときもここね」

リィさんが説明しながら中へ入っていく。

「こんにちは、クレアさん」

リィさんは中に入って受付と書いてあるところの女性に話しかけた。

「あらぁ、リィちゃん。今日も採取の依頼かしら?そのわんちゃんは昨日の子かしら?」

「そうです!この子は私がしばらく飼うことにしたんです」

「あらあら、そうなのね。名前はなんていうのかしら?」

「チワワです」

「あらあらぁ、可愛いお名前ねー。よろしくね、チワワちゃん」

クレアさんが私の頭を撫でたので、手をペロペロと舐めた。

「可愛いわねぇ。あ、昨日の洞窟の依頼でいいかしら?」

「はい!お願いします!あ、チワワをしばらくお預かりしていただいてもいいですか?」

「もちろんいいわよー。うちの看板犬になっちゃうかもしれないわねぇ」

クレアさんは何か書類を取り出してさらさらと何かを書きながらふふふと笑った。

「じゃあ、ここに承認印を」

「はい!」

リィさんが四角い首飾りを外して、書類に押し当てると、『リィン・フライン』というハンコが押された。

「チワワ初めて見た?これは冒険者の身分を示す『証明印』っていうもので、冒険者はみんな持ってるんだよ」

リィさんは私に説明をしながら書類をクレアさんに渡した。

クレアさんはちょっと待っててねと言って書類を持ち奥へ行った。
そんな時に1人の男がリィさんに話しかけてきた。
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