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76話 捕まえて、連れて帰って
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今回の作戦を考えたのは、先生だ。
賊が複数いた場合を想定して、相手に逃げられない様に一人でも多く行動不能にするのが俺の役割だった。
相手が何であれ、目的は生け捕りだからな。
殺してしまっては情報が引き出せなくなってしまう。
それに、相手がたとえ悪党だろうが何だろうが、目の前で人が死ぬのを見てもいい気分はしない、というのもある。
俺はグロ系の画像を好き好んで見るような趣味はしていないのだ。
人がばったばった死ぬアクション映画とかは大好きだが、あれはフィクションだからいいのであって、本物はごめんだ。
それも知った顔が人を殺すところとなれば尚更だ。
人様の物を命共々奪うような輩は死ねばいいとは思うが、だからといって嬉々として手を下せるかといえば、それは別問題なのだ。
死刑大いに結構、だが、処刑台のスイッチは押したくはない、そんな感じだ。
そういうのは俺の目の届かないところでやってくれ、と思う訳である。
まぁ、親しい人物が被害に合ったとしたなら、その限りではないのかもしれないが……
そんな場合のことなんて考えたくもないし、未来永劫来て欲しくもないけどな。
で、複数いたのなら、一人捕まえればよさそうなものだが、先生曰く……
“誰がどんな情報を持っているか、ボクらには分からない以上、全員捕まえて全員から話を聞く方が確実でしょ?”
とのことだった。
まぁ、そりゃそうだけどね……
それだけの事を実行できるか、が問題なんだよな。戦力的な意味で。
先生は自信家だが、実力も確かなので可能だと踏んだのだろうけど……
実際蓋を開けてみれば、相手はたったの一人で、すべて杞憂に終わったからいいんだけどさ。
声を掛ける前に、周囲を入念に調べておいたのでこれは間違いないだろう。
で、俺が使ったのが光術陣・強とでもいうべき代物だった。
一般に石ランプとして使われている光術陣を、強化して愛車のヘッドライトとして使っていたものを外して持って来たのだ。
この光術陣・強だが、実はかなり輝度が高い。
以前どれくらい明るいのか興味本位で覗いたことがあったのだが、天空の城の某大佐みたいになった事がある。
目に残像が焼き付いて、しばらくまともに目が見えなくなるのだ。
失明しなくて本当によかった……
そんなものを人に平然と向けてる当たり、俺も大概か……
「案外簡単に捕まえられましたね先生。
弱いやつで助かりました。
これなら、目晦ましとか必要なかったですね」
気を失っている不審者を縄でグルグル巻きにしたところで、俺は作業に当たっていた先生にそう声を掛けた。
「ふー……
まぁ、簡単に勝てたのは、ロディフィスの作ったこのお札のお陰ってのはあるけどね……」
先生はそう言って首から下げていた折光陣を突いて見せた。
「この人、完全にボクのこと見失ってたからね。
目の前にいるのにキョロキョロしちゃってさ。
でもまぁ……実際、目の前で姿を消されたらたまったもんじゃないけどね。
敵がいる、けど姿が見えない、何処から攻撃してくるかわかない、なんてただそこにいるだけでもプレッシャーだよ。
それがもう一種の精神的な攻撃だよね」
まぁ、横からは丸見えだとか、折光陣の範囲内に入ると周囲が暗くなるから感知されやすいとか……
欠点は多い代物だが、今回は役に立ったようで何よりだ。
失敗作だからと捨てずに残しておいた甲斐があるというものだ。
「でも、この人かなり強いと思うよ。
たぶん本気で戦ってなかっただけじゃないかな?
結局、一回も攻撃らしい攻撃はして来なかったし、杖に仕込んだ剣も抜かなかったからね」
そう言って近くに落ちていた杖を拾い上げる。
不審者が持っていたアレだ。
先生が“仕込み”と言っていたので、内部に刀剣の類が仕込んであるのだろう。
しゅるり、そんな音を立てて先生が“仕込み”を引き抜いた。
「うわぁ~、良い剣使ってるなぁこの人。
もし、この人がこれを抜いていたら、ボクが持ってた鋤なんて一瞬でバラバラにされてただろうね」
先生が持っていたのは、何の変哲もない普通の鋤だった。
以前、灌漑設備用に水路を作る際に、硬術陣を施した鍬やらなんやらを作ったことがあったが、それ以前から使っていた普通の農具も現役で使っているのだ。
今回先生が手にしていたのは、たまたま普通の物だった、という事だ。
ちなみにだが……
先生愛用のレイピアっぽい剣は現在絶賛修理中である。
鎧熊との一戦で刀身が曲がったり刃こぼれしたりでかなり傷んでしまったのだ。
それは先生の剣だけでなく、自警団が所持している武具防具全般にいえることだった。
村に鍛冶業を専門にしている者がいないことと、まとまった量の装備品が一度に壊れてしまったことが相まって、これらの修繕作業が難航しているのだ。
先生の愛剣が帰って来るのは、まだ当分先の事になりそうだ。
「先生はこの不審者が、初めから俺たちを傷つけるつもりはなかった、とそう考えてるんですか?」
「ん~、そこまでは分からないけど、少なくとも“殺す”つもりはなかったと思うよ?
それに、今回は簡単に事が済んだけど、もし仮に、真正面からこの人と戦ってたらボクでも勝てたかどうか分からないしね……
それぐらい強いよこの人」
天上天下唯我独尊な先生にそこまで言わせるとは……
これも相手の力量を見ることが出来る見気が出来ればこその意見なのだろう。
そんなすごいのかねぇ? この不審者……
「はい。ロディフィスはこれ持って、ボクはこの人担いで行くから」
先生が持っていた仕込み剣を鞘である杖に戻すと、それをぽいっと俺に向かって投げてよこした。
「おっとっと……って重っ!!」
「剣なんてそんなものだよ。ボクが使ってるのはもう少し軽いけど。
さぁ、行くよロディフィス」
と、先生は自分よりも一回りは大きい不審者をヒョイと担ぎ上て、テクテクと来た道を戻って行った。
普段の先生にそんな筋力があるはずもないので、きっと闘技とかいう力を使っているのだろう。
便利だな闘技……俺も使いてぇ~なぁ~……
なんて事を考えながら、俺は恨めしい気持ちで先生の背中を眺めつつ、クソ重い杖を抱えて付いて行くのだった。
………
……
…
で、不審者は村民には気づかれないようにこっそり村長宅へと運び込んだ。
これは、無用な不安を村民に与えたくない、という俺と先生の共通意見だった。
いつもの広間に不審者を連れて行くと、そこには村長、クマのおっさん、バルディオ副団長の姿があった。
そこに、俺、先生、神父様が入って行く。
神父様は、村長宅に行く途中で声を掛けて合流していた。
そこで、不審者を捕まえた場合は村長の家に行くようにと言われたのだ。
「不審者とったどぉー!」
あまり大きな声を出すと、外にも聞こえてしまうのであくまで部屋の中に響く程度に声量を抑えつつ、俺は両手を掲げて雄たけんだ。
ちなみに、持っていた仕込み杖は“危ないから”と今は神父様が預かっている。
この人、ほんと心配性だな……
「……緊張感がなくなるようなまねをすんな。気が抜けるわ」
いつもの場所に座っていた村長が、険しい表情のまま額に手を当てる。
「まぁ……ロディフィスですからな……」
と、クマのおっさんがあとに続く。
こっちも、“困ったものだ”といわんばかりの表情をしていた。
「だっはっは! こいつに掛かったら賊もラビと変わらんかっ!」
そんな中、一人豪快に笑い飛ばしていたのが副団長だった。
折角、重たくなっていた場の空気を軽くしてやろうと、気遣ってやったというのに、酷い扱いではないか。
そんな中、先生が担いでいた不審者を、ゴロリと床へと投げて捨てた。
「ぅっ……」
ごすっ、という鈍い音を立てて不審者が床に転がった。
なんかスゲー痛そうな音がしたが……これでも起きないもんか?
まぁ、縄でグルグル巻きにされている以上、起きたところでどうせすぐには逃げられないだろうから取り敢えず、この不審者の事は後回しにして、俺と先生は不審者の発見から捕獲までの流れを一通り村長たちに話して聞かせた。
「分かった。
んじゃ、俺は団の連中にこの事を伝えて来るわ。
もしかしたらまだ残党が残ってるかもしれねぇからな。
それとなく見回りをさせて来る」
「くれぐれも村の連中に勘づかれんようにな。
無用な心配を掛けたくねぇ」
「うっせぇーな……んなことくらい、言われんでもわぁーてるっつーの!」
村長の言葉に副団長がぶっきらぼうにそう返して、部屋を出て行った。
仮にも村の最高権力者である村長に対して、えらく軽いノリだなぁ……っと思ったのだが、そういえばこの人村長の息子だったっけ……すっかり忘れていた。
って、普段から村長相手に軽口を叩いている俺がいえたことではないか……
副団長が部屋を出て言ったところで、ふいに先生が床に転がっている不審者へと近づいて行った。
「先生? どうかし……」
ドゴスッ!
「ぐへぇっ!」
どうかしたのか? と尋ねようとしたときには、先生のつま先が不審者の土手っ腹にめり込んでいた……
音からして、あれは結構痛いやつだな。うん。
「で? いつまでそんなつまらない寝たフリを続けるつもりだい?」
先生が冷めた声で不審者に向かってそう言うと、不審者はもぞもぞと身を起こした。
ってか、こいつ気が付いてたのか。
「げほっ、げほっ……
ちっ……バレてたのかよ……
顔に似合わず、エグいことしやがんな色男さんよぉ……げほっ、げほっ
人を投げるわ、蹴とばすわ……もちっと丁重に扱ってもいいだろよ?」
「そうかい? これでも結構丁重に扱ってるつもりだけど?
引き摺らずに担いで来て上げたし、手加減……いや、足加減かな? も、したつもりなんだけれど?
ああ、それと縄の結び目は手の届かない所に作っているから、いくら頑張っても抜けられないよ?」
「ちっ……」
最後のはどういう意味なのか先生に尋ねると、どうやらこの不審者、俺たちが村長と話す前、それこそここに運び入れる前から意識を取り戻していたようで、今の今までこっそり縄から抜けようとしてていたのだとか。
……全然気が付かなかった。
「それじゃ、こうやって話せるようになったところで、こっちの質問に答えてもらおうか?」
と、先生が不審者に尋問を始めたのだが……
……それからどれくらい時間が経っただろうか。
十分? いや二十分くらいか?
しかし、不審者は一向に口を割ろうとはしなかった。
“知らぬ”“存ぜぬ”“たまたま通りかかっただけだ”の三点張りだった。
取り敢えず分かったのは名前が自称・ヴァルターということと、自称・旅人ということくらいなもんか……
あまりにのらりくらりと話すものだから、クマのおっさんがブチギレて、胸座を掴んでブン殴りそうになった一面もあったが、そこは自重してもらった。
まぁ、こいつに何か被害を受けた訳でもなければ、村を探っていた、という物的証拠も見つかっていないので、こっちからはあまり強くは出られないんだよなぁ。
今更何を、という気もしないでもないが……一応な。
証拠もなく、怪しい、ってだけで拷問にかけるとかはあまりしたくない。
話していて分かったことだがこの不審者、そんなに悪い奴なんじゃないんじゃないかって気がしているのだ。
戦ってる時も、最後まで剣は抜かなかったし……
できれば素直にゲロって欲しいのだが、なかなか思う様にはいかない。
仕込み杖なんて物騒なもんを持っている時点で、不審なのでは? と聞いてみたのだが、この世界の旅人には割と一般的な装備なんだと村長が教えてくれた。
流れの冒険者ならいさ知らず、ただの旅人が剣をぶら下げている方が悪目立ちをするらしい。
しかし、旅とは危険がつきものだ。
護身用、そして見た目の問題の解決策として仕込み杖というのはそれなりに重宝するのだと言っていた。
ちなみに……
この世界でいう冒険者とは、いわば“何でも屋”の一種で迷子のペット探しから、庭の掃除に始まり、子守に、買い出し、果ては隊商の護衛から、魔獣の討伐と、幅広い仕事をこなしてくれる人たちをいう。
冒険者組合というギルドへの入会制で、入会時にある程度の身分証明をする審査があるので身元もしっかりしている。
犯罪歴がある者はなれない職種なので信頼度も高い。
逆に、冒険者が犯罪を犯した場合はギルドが総力を挙げて吊し上げるてボコにするので、犯罪率も低い。
冒険者、というだけである一定の信頼を得ることが出来るのである。
更に言及すれば、冒険者は冒険者組合証の携帯が義務付けられているので、冒険者と名乗るときは、一緒に冒険者組合証も提示しなければならない規則になっている。
冒険者、と名乗りながら冒険者組合証が出せない場合はブラフである可能性が高いという訳だ。
身元のはっきりした派遣社員とかハローワークみたいなもんだな。
いや、冒険者組合自体が国家事業ということらしいので、むしろ公務員に近いのか?
まぁ、どうでもいいけどさ……
しかし……
「これは埒が明きませんね……」
と、ぼそりとこぼしたのは神父様だった。
で、とうの不審者本人は“ふぁ~”と大口を開けて欠伸なんぞしていた。
「ここはやはり力づくでも聞き出すべきでは?」
クマのおっさんが、掌に拳をベシベシ打ち付けながら言う。
先ほど止められた所為か、声色が若干ご機嫌斜めである。
「まぁまぁ、落ち着きなさいフェオドル。
……仕方ありませんね、あまり話を広げたくなかったのですが、彼女に頼ることにしましょう。
少しだけ待っていてください」
と、言い残して神父様は部屋を出てしまった。
「彼女って誰?」
「さぁ?」
取り合ず近場にいた先生に聞いてはみたが、先生も分からないらしい。
神父様、一体誰を連れて来る気だ?
………
……
…
「……ども」
神父様が出て行って程なくして……
神父様が連れて来たのは、メル姉ぇだった。
なぜに?
「こっ! こんにちわっ、メルフィナさんっ!
きっ、きょ、今日はお日柄もよくっ! こ、こんなむさ苦しい所へと態々のご足労誠に痛み入りますっ!」
「むさ苦しい所で悪かったな……」
とは、村長の言葉だ。
しかし、ちょっとは落ち着けよ、先生……
ピンッと真っすぐな気を付けの姿勢を取って、直立不動になる先生。
完全に細い棒である。
ってか、先生ってメル姉ぇみたいなタイプが好みだったのね。
わっかりやすいのぉ~。
まぁ、メル姉ぇかわいいから分からなくもないが、反応が思春期の中学生みたいになってんじゃん。
いや、中学生でもここまで酷くはないか……今日日の小中学生はませてるからなぁ~。
よし、今後はこのネタで先生の事をからかってやろう。
今までこの二人のツーショットで見たことがなかったから、全然気が付かなかったぜ……
「……こんにちわ、ディムリオさん。
それにフィー君も」
「こんちわ、メル姉ぇ」
「神父様から……ディムリオさんたちが……不審な人を捕まえたって、聞いた。
……すごい」
「あっ、ありゃがとうごまっす!」
噛み噛みじゃねぇーか……だから、落ち着け。
「でも、なんでメル姉ぇを呼んで来たんですか神父様?」
先生がメル姉ぇ相手にあがりまくって、使い物にならなくなったのはこの際どうでもいいいのだが、今疑問なのはそこだった。
「彼女の魔力同調の力を借ります」
神父様の説明だと、なんとメル姉ぇはあの魔術治療を行った時の同調能力を使う事で、相手の嘘を見破ることが出来るのだという。
今まで、あまり利用する機会がなかったので知る者は少ないらしい。
「上位の能力になると、相手の記憶や思考すら分かるようになるそうですが……」
「私は……そこまでは分からない……
でも、嘘を言ってるくらいなら……なんとなく、分かる。
……すごいでしょ?」
「はいっ! メルフィナさんはすごいっす!」
だぁー! いちいちうるせぇなっ!
この思春期暴走チェリーボーイがぁっ!
って、最後のは俺も人の事は言えないのか……ぐはぁっ、ふっ、古傷が……自爆。
てな訳で、だ。
メル姉ぇを加えて、俺たちは再度不審者の尋問を行うことなったのだった。
賊が複数いた場合を想定して、相手に逃げられない様に一人でも多く行動不能にするのが俺の役割だった。
相手が何であれ、目的は生け捕りだからな。
殺してしまっては情報が引き出せなくなってしまう。
それに、相手がたとえ悪党だろうが何だろうが、目の前で人が死ぬのを見てもいい気分はしない、というのもある。
俺はグロ系の画像を好き好んで見るような趣味はしていないのだ。
人がばったばった死ぬアクション映画とかは大好きだが、あれはフィクションだからいいのであって、本物はごめんだ。
それも知った顔が人を殺すところとなれば尚更だ。
人様の物を命共々奪うような輩は死ねばいいとは思うが、だからといって嬉々として手を下せるかといえば、それは別問題なのだ。
死刑大いに結構、だが、処刑台のスイッチは押したくはない、そんな感じだ。
そういうのは俺の目の届かないところでやってくれ、と思う訳である。
まぁ、親しい人物が被害に合ったとしたなら、その限りではないのかもしれないが……
そんな場合のことなんて考えたくもないし、未来永劫来て欲しくもないけどな。
で、複数いたのなら、一人捕まえればよさそうなものだが、先生曰く……
“誰がどんな情報を持っているか、ボクらには分からない以上、全員捕まえて全員から話を聞く方が確実でしょ?”
とのことだった。
まぁ、そりゃそうだけどね……
それだけの事を実行できるか、が問題なんだよな。戦力的な意味で。
先生は自信家だが、実力も確かなので可能だと踏んだのだろうけど……
実際蓋を開けてみれば、相手はたったの一人で、すべて杞憂に終わったからいいんだけどさ。
声を掛ける前に、周囲を入念に調べておいたのでこれは間違いないだろう。
で、俺が使ったのが光術陣・強とでもいうべき代物だった。
一般に石ランプとして使われている光術陣を、強化して愛車のヘッドライトとして使っていたものを外して持って来たのだ。
この光術陣・強だが、実はかなり輝度が高い。
以前どれくらい明るいのか興味本位で覗いたことがあったのだが、天空の城の某大佐みたいになった事がある。
目に残像が焼き付いて、しばらくまともに目が見えなくなるのだ。
失明しなくて本当によかった……
そんなものを人に平然と向けてる当たり、俺も大概か……
「案外簡単に捕まえられましたね先生。
弱いやつで助かりました。
これなら、目晦ましとか必要なかったですね」
気を失っている不審者を縄でグルグル巻きにしたところで、俺は作業に当たっていた先生にそう声を掛けた。
「ふー……
まぁ、簡単に勝てたのは、ロディフィスの作ったこのお札のお陰ってのはあるけどね……」
先生はそう言って首から下げていた折光陣を突いて見せた。
「この人、完全にボクのこと見失ってたからね。
目の前にいるのにキョロキョロしちゃってさ。
でもまぁ……実際、目の前で姿を消されたらたまったもんじゃないけどね。
敵がいる、けど姿が見えない、何処から攻撃してくるかわかない、なんてただそこにいるだけでもプレッシャーだよ。
それがもう一種の精神的な攻撃だよね」
まぁ、横からは丸見えだとか、折光陣の範囲内に入ると周囲が暗くなるから感知されやすいとか……
欠点は多い代物だが、今回は役に立ったようで何よりだ。
失敗作だからと捨てずに残しておいた甲斐があるというものだ。
「でも、この人かなり強いと思うよ。
たぶん本気で戦ってなかっただけじゃないかな?
結局、一回も攻撃らしい攻撃はして来なかったし、杖に仕込んだ剣も抜かなかったからね」
そう言って近くに落ちていた杖を拾い上げる。
不審者が持っていたアレだ。
先生が“仕込み”と言っていたので、内部に刀剣の類が仕込んであるのだろう。
しゅるり、そんな音を立てて先生が“仕込み”を引き抜いた。
「うわぁ~、良い剣使ってるなぁこの人。
もし、この人がこれを抜いていたら、ボクが持ってた鋤なんて一瞬でバラバラにされてただろうね」
先生が持っていたのは、何の変哲もない普通の鋤だった。
以前、灌漑設備用に水路を作る際に、硬術陣を施した鍬やらなんやらを作ったことがあったが、それ以前から使っていた普通の農具も現役で使っているのだ。
今回先生が手にしていたのは、たまたま普通の物だった、という事だ。
ちなみにだが……
先生愛用のレイピアっぽい剣は現在絶賛修理中である。
鎧熊との一戦で刀身が曲がったり刃こぼれしたりでかなり傷んでしまったのだ。
それは先生の剣だけでなく、自警団が所持している武具防具全般にいえることだった。
村に鍛冶業を専門にしている者がいないことと、まとまった量の装備品が一度に壊れてしまったことが相まって、これらの修繕作業が難航しているのだ。
先生の愛剣が帰って来るのは、まだ当分先の事になりそうだ。
「先生はこの不審者が、初めから俺たちを傷つけるつもりはなかった、とそう考えてるんですか?」
「ん~、そこまでは分からないけど、少なくとも“殺す”つもりはなかったと思うよ?
それに、今回は簡単に事が済んだけど、もし仮に、真正面からこの人と戦ってたらボクでも勝てたかどうか分からないしね……
それぐらい強いよこの人」
天上天下唯我独尊な先生にそこまで言わせるとは……
これも相手の力量を見ることが出来る見気が出来ればこその意見なのだろう。
そんなすごいのかねぇ? この不審者……
「はい。ロディフィスはこれ持って、ボクはこの人担いで行くから」
先生が持っていた仕込み剣を鞘である杖に戻すと、それをぽいっと俺に向かって投げてよこした。
「おっとっと……って重っ!!」
「剣なんてそんなものだよ。ボクが使ってるのはもう少し軽いけど。
さぁ、行くよロディフィス」
と、先生は自分よりも一回りは大きい不審者をヒョイと担ぎ上て、テクテクと来た道を戻って行った。
普段の先生にそんな筋力があるはずもないので、きっと闘技とかいう力を使っているのだろう。
便利だな闘技……俺も使いてぇ~なぁ~……
なんて事を考えながら、俺は恨めしい気持ちで先生の背中を眺めつつ、クソ重い杖を抱えて付いて行くのだった。
………
……
…
で、不審者は村民には気づかれないようにこっそり村長宅へと運び込んだ。
これは、無用な不安を村民に与えたくない、という俺と先生の共通意見だった。
いつもの広間に不審者を連れて行くと、そこには村長、クマのおっさん、バルディオ副団長の姿があった。
そこに、俺、先生、神父様が入って行く。
神父様は、村長宅に行く途中で声を掛けて合流していた。
そこで、不審者を捕まえた場合は村長の家に行くようにと言われたのだ。
「不審者とったどぉー!」
あまり大きな声を出すと、外にも聞こえてしまうのであくまで部屋の中に響く程度に声量を抑えつつ、俺は両手を掲げて雄たけんだ。
ちなみに、持っていた仕込み杖は“危ないから”と今は神父様が預かっている。
この人、ほんと心配性だな……
「……緊張感がなくなるようなまねをすんな。気が抜けるわ」
いつもの場所に座っていた村長が、険しい表情のまま額に手を当てる。
「まぁ……ロディフィスですからな……」
と、クマのおっさんがあとに続く。
こっちも、“困ったものだ”といわんばかりの表情をしていた。
「だっはっは! こいつに掛かったら賊もラビと変わらんかっ!」
そんな中、一人豪快に笑い飛ばしていたのが副団長だった。
折角、重たくなっていた場の空気を軽くしてやろうと、気遣ってやったというのに、酷い扱いではないか。
そんな中、先生が担いでいた不審者を、ゴロリと床へと投げて捨てた。
「ぅっ……」
ごすっ、という鈍い音を立てて不審者が床に転がった。
なんかスゲー痛そうな音がしたが……これでも起きないもんか?
まぁ、縄でグルグル巻きにされている以上、起きたところでどうせすぐには逃げられないだろうから取り敢えず、この不審者の事は後回しにして、俺と先生は不審者の発見から捕獲までの流れを一通り村長たちに話して聞かせた。
「分かった。
んじゃ、俺は団の連中にこの事を伝えて来るわ。
もしかしたらまだ残党が残ってるかもしれねぇからな。
それとなく見回りをさせて来る」
「くれぐれも村の連中に勘づかれんようにな。
無用な心配を掛けたくねぇ」
「うっせぇーな……んなことくらい、言われんでもわぁーてるっつーの!」
村長の言葉に副団長がぶっきらぼうにそう返して、部屋を出て行った。
仮にも村の最高権力者である村長に対して、えらく軽いノリだなぁ……っと思ったのだが、そういえばこの人村長の息子だったっけ……すっかり忘れていた。
って、普段から村長相手に軽口を叩いている俺がいえたことではないか……
副団長が部屋を出て言ったところで、ふいに先生が床に転がっている不審者へと近づいて行った。
「先生? どうかし……」
ドゴスッ!
「ぐへぇっ!」
どうかしたのか? と尋ねようとしたときには、先生のつま先が不審者の土手っ腹にめり込んでいた……
音からして、あれは結構痛いやつだな。うん。
「で? いつまでそんなつまらない寝たフリを続けるつもりだい?」
先生が冷めた声で不審者に向かってそう言うと、不審者はもぞもぞと身を起こした。
ってか、こいつ気が付いてたのか。
「げほっ、げほっ……
ちっ……バレてたのかよ……
顔に似合わず、エグいことしやがんな色男さんよぉ……げほっ、げほっ
人を投げるわ、蹴とばすわ……もちっと丁重に扱ってもいいだろよ?」
「そうかい? これでも結構丁重に扱ってるつもりだけど?
引き摺らずに担いで来て上げたし、手加減……いや、足加減かな? も、したつもりなんだけれど?
ああ、それと縄の結び目は手の届かない所に作っているから、いくら頑張っても抜けられないよ?」
「ちっ……」
最後のはどういう意味なのか先生に尋ねると、どうやらこの不審者、俺たちが村長と話す前、それこそここに運び入れる前から意識を取り戻していたようで、今の今までこっそり縄から抜けようとしてていたのだとか。
……全然気が付かなかった。
「それじゃ、こうやって話せるようになったところで、こっちの質問に答えてもらおうか?」
と、先生が不審者に尋問を始めたのだが……
……それからどれくらい時間が経っただろうか。
十分? いや二十分くらいか?
しかし、不審者は一向に口を割ろうとはしなかった。
“知らぬ”“存ぜぬ”“たまたま通りかかっただけだ”の三点張りだった。
取り敢えず分かったのは名前が自称・ヴァルターということと、自称・旅人ということくらいなもんか……
あまりにのらりくらりと話すものだから、クマのおっさんがブチギレて、胸座を掴んでブン殴りそうになった一面もあったが、そこは自重してもらった。
まぁ、こいつに何か被害を受けた訳でもなければ、村を探っていた、という物的証拠も見つかっていないので、こっちからはあまり強くは出られないんだよなぁ。
今更何を、という気もしないでもないが……一応な。
証拠もなく、怪しい、ってだけで拷問にかけるとかはあまりしたくない。
話していて分かったことだがこの不審者、そんなに悪い奴なんじゃないんじゃないかって気がしているのだ。
戦ってる時も、最後まで剣は抜かなかったし……
できれば素直にゲロって欲しいのだが、なかなか思う様にはいかない。
仕込み杖なんて物騒なもんを持っている時点で、不審なのでは? と聞いてみたのだが、この世界の旅人には割と一般的な装備なんだと村長が教えてくれた。
流れの冒険者ならいさ知らず、ただの旅人が剣をぶら下げている方が悪目立ちをするらしい。
しかし、旅とは危険がつきものだ。
護身用、そして見た目の問題の解決策として仕込み杖というのはそれなりに重宝するのだと言っていた。
ちなみに……
この世界でいう冒険者とは、いわば“何でも屋”の一種で迷子のペット探しから、庭の掃除に始まり、子守に、買い出し、果ては隊商の護衛から、魔獣の討伐と、幅広い仕事をこなしてくれる人たちをいう。
冒険者組合というギルドへの入会制で、入会時にある程度の身分証明をする審査があるので身元もしっかりしている。
犯罪歴がある者はなれない職種なので信頼度も高い。
逆に、冒険者が犯罪を犯した場合はギルドが総力を挙げて吊し上げるてボコにするので、犯罪率も低い。
冒険者、というだけである一定の信頼を得ることが出来るのである。
更に言及すれば、冒険者は冒険者組合証の携帯が義務付けられているので、冒険者と名乗るときは、一緒に冒険者組合証も提示しなければならない規則になっている。
冒険者、と名乗りながら冒険者組合証が出せない場合はブラフである可能性が高いという訳だ。
身元のはっきりした派遣社員とかハローワークみたいなもんだな。
いや、冒険者組合自体が国家事業ということらしいので、むしろ公務員に近いのか?
まぁ、どうでもいいけどさ……
しかし……
「これは埒が明きませんね……」
と、ぼそりとこぼしたのは神父様だった。
で、とうの不審者本人は“ふぁ~”と大口を開けて欠伸なんぞしていた。
「ここはやはり力づくでも聞き出すべきでは?」
クマのおっさんが、掌に拳をベシベシ打ち付けながら言う。
先ほど止められた所為か、声色が若干ご機嫌斜めである。
「まぁまぁ、落ち着きなさいフェオドル。
……仕方ありませんね、あまり話を広げたくなかったのですが、彼女に頼ることにしましょう。
少しだけ待っていてください」
と、言い残して神父様は部屋を出てしまった。
「彼女って誰?」
「さぁ?」
取り合ず近場にいた先生に聞いてはみたが、先生も分からないらしい。
神父様、一体誰を連れて来る気だ?
………
……
…
「……ども」
神父様が出て行って程なくして……
神父様が連れて来たのは、メル姉ぇだった。
なぜに?
「こっ! こんにちわっ、メルフィナさんっ!
きっ、きょ、今日はお日柄もよくっ! こ、こんなむさ苦しい所へと態々のご足労誠に痛み入りますっ!」
「むさ苦しい所で悪かったな……」
とは、村長の言葉だ。
しかし、ちょっとは落ち着けよ、先生……
ピンッと真っすぐな気を付けの姿勢を取って、直立不動になる先生。
完全に細い棒である。
ってか、先生ってメル姉ぇみたいなタイプが好みだったのね。
わっかりやすいのぉ~。
まぁ、メル姉ぇかわいいから分からなくもないが、反応が思春期の中学生みたいになってんじゃん。
いや、中学生でもここまで酷くはないか……今日日の小中学生はませてるからなぁ~。
よし、今後はこのネタで先生の事をからかってやろう。
今までこの二人のツーショットで見たことがなかったから、全然気が付かなかったぜ……
「……こんにちわ、ディムリオさん。
それにフィー君も」
「こんちわ、メル姉ぇ」
「神父様から……ディムリオさんたちが……不審な人を捕まえたって、聞いた。
……すごい」
「あっ、ありゃがとうごまっす!」
噛み噛みじゃねぇーか……だから、落ち着け。
「でも、なんでメル姉ぇを呼んで来たんですか神父様?」
先生がメル姉ぇ相手にあがりまくって、使い物にならなくなったのはこの際どうでもいいいのだが、今疑問なのはそこだった。
「彼女の魔力同調の力を借ります」
神父様の説明だと、なんとメル姉ぇはあの魔術治療を行った時の同調能力を使う事で、相手の嘘を見破ることが出来るのだという。
今まで、あまり利用する機会がなかったので知る者は少ないらしい。
「上位の能力になると、相手の記憶や思考すら分かるようになるそうですが……」
「私は……そこまでは分からない……
でも、嘘を言ってるくらいなら……なんとなく、分かる。
……すごいでしょ?」
「はいっ! メルフィナさんはすごいっす!」
だぁー! いちいちうるせぇなっ!
この思春期暴走チェリーボーイがぁっ!
って、最後のは俺も人の事は言えないのか……ぐはぁっ、ふっ、古傷が……自爆。
てな訳で、だ。
メル姉ぇを加えて、俺たちは再度不審者の尋問を行うことなったのだった。
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