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四一話
しおりを挟むボロアジトへと戻ると、セリカがあの独特な暗号ノックでドアを叩く。と、例によって小窓が開き、ギラついた鋭い目がギョロリとこちらを凝視する。
だから、これ怖いっての……
セリカが「私だ」と一言告げると、扉がすんなりと開いた。
で、扉が開いたその向こう。玄関に当たるあの狭い部屋に、十人程度のゴツイ男共が犇めき合っていた。
さっきまでは僅かばかりだが差し込んでいた日差しも、今は日が傾いたことで一切入り込まなくなってしまい、壁に掛けられた数本の蝋燭が小さく揺らめくばかりだった。
その小さな明かりが男達を照らす様は、なんというか秘密結社感がハンパなく、一種異様な光景に見えた。
更に、俺たちが取り調べを受けた部屋への扉が開いており、そこも既に強面な男達で埋め尽くされているのが、仄かな明かりと隙間から見て取れた。
総勢にして、二〇人前後といったところか。
こんな狭いボロ小屋や、よくこれだけの屈強な男達が入ったものだ。
おそらく、ここに居る男たちがエルフ誘拐事件の捜査をしている騎士達なのだとは思うが……
これを見て、果たして誰がここが騎士団の隠れアジトだと思うだろうか? どう見ても反社会組織の集まりだ。
俺はともかくとして、ソアラは若干ビビりながら、セリカとイオスに連れられ男達を割って奥の部屋へと進む。
だから、いい加減俺を盾にして進むのを止めい。
部屋にはきっちり四人分の椅子が開けられており、セリカにそこに座る様促された。
それに従い、俺とソアラは並んで椅子に腰を下ろす。で、俺の隣にセリカ、イオスと続く。
「さて、皆、集まっている様だな。では、まず紹介だけしておこう。
スグミ、ソアラ、ここに居るのがエルフ誘拐事件を始めとした、他種族関連の事件を専門に調査しているマリアーダ女王陛下直轄組織“女神の天秤”の隊員だ」
セリカの紹介で、その場にあった大量の視線が一斉に俺とソアラへと向けられる。
どうしていいか分からず、取り敢えず俺もソアラも「どうも」と小さく会釈を返すだけにしておいた。
女王陛下の直轄ね……
ということは、この国は女王制なのかな? 仮にこの“女神の天秤”なる組織のトップが、王の妻であるなら王妃直轄になるだろうからな。
で、名前はマリアーダと言うらしい。取り敢えず覚えておこう。
知らないと、女王の名前も知らないのかとバカにされそうだからな。
そして、直轄といことはここに居る面々がそれなりに高い地位にいる者達であることを示していた。
平民出が、女王の麾下に入れるとも思えない。
まぁ、何事にも例外はあるだろうが、その例外ばかりがこんなに集まっていると考える方がどうかしている。
そうなると、セリカが良い所のお嬢さんという推理は、強ち間違いではないのかもしれないな。ひょっとすると、王家の血筋、なんて可能性もあるな。知らんけど。
「組織の中で私が一番の若輩なのだが、僭越ながらこの部隊の部隊長を務めさせてもらっている。
山賊のような風貌をしている者達ばかりだが、こんな年端も行かぬ小娘相手に、良く尽くしてくれている本物の騎士達ばかりだ。
名ばかりの私が隊長では、申し訳ないと思う程にな」
「お嬢、顏のことは言わんでくださいよぉ」
「お嬢はいつも一言多いんだよなぁ」
「文句なら、俺を生んだかぁちゃんに言ってくれっ!」
「ちげーねぇなっ!」
セリカが男達をそう評すると、周囲からどっと笑いが起こった。
どうやら、セリカが彼らの顔をイジるのがこの部隊での天丼芸らしい。
最初にここに連れてこられた時も、待機していた男の顔のことをイジっていたからな。
てか、セリカは隊長だったのか。
まぁ、セリカの態度や、周囲の者達、またイオスに指示を出したりしていたので、薄々はそうではないかと思っていたけど。
ただ、セリカは自分のことを名ばかりの隊長といっていたが、彼らが上からの命令でセリカに渋々従っている、というような印象はまったく感じられなかった。
彼らは彼らの意思で、セリカに従っているのだろう。それだけ、セリカは周囲から慕われているということだ。
それが、マスコット的な意味でなのか、はたまた彼女が実力で勝ち得たものなのかは、俺には知りようがないがな。
セリカの口振りからすると、進んで部隊の体調になったわけではないようだが……
それは、まぁ、興味本位で聞くべきことではないだろうから黙っていよう。
「知っている者もいるとは思うが、こちらの二人が今回の大規模捜査に協力してくれることになった善意の民間人、スグミとソアラ嬢だ。
ソアラ嬢はこう見えてもエルフだ。現在はスグミが所持している特殊な魔道具の力によって人間の姿を取っている。
ソアラ、すまないが指輪をはずしてもらえるか?」
セリカの要望に、ソアラが短く「はい」と答えて指輪を外す。
途端。
「うおっ……」
「マジかよ……」
「おい、一瞬で姿が変わったぞ? どんな魔術だ?」
と、場が一瞬でどよめき立つ。
「ありがとう。もう指輪を嵌めてもらって大丈夫だ。と、まぁ見た通りだ。
それと、今しがたスグミの実力を知るために自由騎士組合へと赴いていたのだが、紛れもなく本物だ。
おそらく、この場にいる誰よりも強い。それは私も含めて、な」
セリカがそう言うと、場が更なるどよめきが奔った。
まさかセリカがそこまで高く俺のことを評価してくれていたとは、ちょっと驚きだ。
「お嬢より強いだって?」
「ホントかよ?」
「あの細っせぇガキがか? 信じられねぇ……」
ガキって……
ブルックにも“小僧”と呼ばれていたが、そんな若く見えるのだろうか?
こちとら、もう三十路に片足突っ込んでんだぞ?
「お嬢、そいつの実力はともかくとして、信用出来るんですかい?」
そんな中、一人の男が挙手をして、疑いの眼差しを隠そうとせず俺を睨んでそう発言する。
「アグリスタに駐屯している騎士なんかよりは、遥かに信用出来る。
まず一つ。スグミはこの国に来たばかりで、貴族連中との繋がりが皆無であること。こちらの情報を向こう側に流すパスがそもそもない。
二つ。エルフに対しての偏見がないこと。ソアラ嬢を最初に保護したのはスグミだ。何より、こうして肩を並べて一緒に座っていることでそれは分かるだろう。
そして三つ目だが……」
セリカが一旦そこで言葉を止めて、勿体ぶる様に間を作り周囲を一瞥する。
「“人が正しい行いをしようとしているのを見て、何もしないのはタマなしのフニャチン野郎”、だそうだ」
セリカが笑いながら口にした言葉は、セリカに協力する理由を聞かれた時に、俺が面白おかしく答えた“義を見てせざるは勇無きなり”の意訳だった。
一瞬、場が静まり返ったかと思ったら、突然、それを聞いた男達からまたしてもどっと笑いが起きる。
「言うじゃねぇか! 面白いっ!」
「なるほど。騎士道の本質ではあるな」
「欲、満たすために、信、退かば、我、まかり通るなり、か」
セリカの言葉に、笑っていた男達の中から納得をしたような反応が次々と上がっていた。
一つ目と二つ目の理由で納得するなら分かるが、何故か男達には三つ目の理由が一番ウケが良かった。
そんなことで納得されるとか……何だか微妙な気分だ。
ちなみに、三人目の奴が口にしていた言葉の意味がいまいちよく分からずセリカに聞いたら……
騎士が金銭、地位、名誉、を求めるあまりに、信念を軽んじるようになったら、阿漕な者達が跋扈し世が乱れる、という意味なのだと教えてくれた。
なるほど。俺の言葉に、ここの騎士達は何か相通じるものを感じたのかもしれないな。
「それに、自ら進んで獅子の尾を踏みに行くバカもそうはいまい?」
と、セリカが俺にそっと囁く。
「どういう意味だ?」
「今まで黙っていたが、我々が犯人だと目星を付けている相手というのが、この街の監督官なんだよ」
監督官とは、領主から街の治世を任せられている代官なのだと、セリカが説明してくれた。
いってしまえば、領主を都道府県知事とするなら、監督官はその街を治める市長や村長のような存在ということだ。
領主からの任命とあり、この監督官も貴族が就任することが多く、ここアグリスタも例外ではなかった。
監督官に就任するのが領地を持たぬ弱小貴族が殆どとはいえ、貴族の力とは貴族というだで絶対であり、小市民などひと睨みされただけで、その土地では生きていけなくなってしまうのだそうだ。
ただ、この街はまだマシな方であるらしい。
貴族主義のよくある話だ。
勿論、それがすべてではなく、市民に寄り添い真っ当な治世を行っている貴族もいるそうで、治めている人物次第で街の雰囲気がガラっと変わってしまうなだという。
セリカが一通りの説明を終えると、
「貴族としての責務を放棄して搾取に走るなど、なんと嘆かわしいことか」
と、ため息を吐く。
なるほど。確かに街を仕切っている奴が賊の手引きをしていたとするなら、検問なんて楽々パスすることが出来るだろうな。
「概要はイオスから聞いていると思うが、今一度今作戦内容を説明する。まず……」
で、今回の作戦についての説明が始まった。
基本は俺が立てたプランをベースに、隊員を目星を付けているその監督官なる人物、またそれに関連する場所に騎士達を配置し同行を探る。
一応、保険として部隊を複数に分け、半数を監督官周辺に、残りの半数を重要度は低いが可能性のある人物達に振り分けることになった。
また、アグリスタの騎士団も要注意対象であるため、監督官側に割り振られた半数を監視要員として配置する。
「隊長、一ついいですか?」
セリカが作戦の説明をしている途中、団員の男が挙手をした。
「なんだ、グリッド」
「はい。作戦の概要は理解しました。ですが、エルフの少女を囮に使うのは如何かと思うのですが……流石に危険ではないかと」
どうやら、この男も話の流れからソアラを囮に使うものだと誤解したらしい。
「ああ、そのことか……その件については後で説明しようと思ったのだが、先にした方がよさそうだな……スグミ、例の物を見せてやってもらえるか?」
「あいよ」
セリカにそう言われ、用意していたエルフ・女性への変身リングをインベントリから取り出した。
これは自由騎士組合から出る時に、事前にチェストボックスからインベントリに移しておいたものだ。
俺は取り出した指輪を、左手の人差し指にすぽりと嵌める。付けた指に特に意図はないが、強いて言うなら、右利きなので左手に付けやすかったからだな。
と……
「っ!?!?」
周囲が一瞬で驚きの表情へと変わった。
俺自身は自分の変化を目にすることは出来ないが、周りからはむさ苦しい男が瞬く間に女性エルフへと変身したように見えたことだろう。
タネを知らなきゃ、それゃ驚くわな。
一応アバターの容姿は、二十歳前後の金髪ロングなエルフ美女だ。
変身リングによる外見設定は完全なランダムであるため、これは結構当たりの部類に入る。
あっ、そう言えば一ヶ所だけ俺自身が見て変化が分かる場所があったな。
俺は、自分の視線を胸元へと落とす。と、そこにはこんもりとしたデカい二つのお山がそそり立っていた。
なんたる巨乳か……
ちなみに、胸の大きさもランダムで決定されるため、拘りがある奴は底なしの沼ガチャを強いられることになる。
更に補足しておくと、この外見変化は一種の幻覚、幻影の類なので、触ったところで質感はまったくない。
ある物はあるままだし、ない物はない。
だから、自分のおっぱいを触ろうとしても、スカスカと手が胸をすり抜けるだけだ。
「どうかしら?」
俺は耳に掛かる髪を掻き上げながら、男達に向かって「うふんっ♪」とウインクなんぞを飛ばしてみる。
「中身を知ってるだけに、キモいのでやめてくださ~い」
と、隣に座っていたソアラが俺にじとっとした視線を向けて、抗議の声を上げた。
「キモいとか、失礼なことを言うなや、コノヤロー」
「私は女の子なので野郎ではありませんから」
「おっ、言うじゃないか。
昨日まではピーピー泣いていたのに……それがこんなに立派に成長して……お父さんは嬉しいぞ」
「誰がお父さんですかっ! あと、私、泣いてませんからっ!
てか、今はお父さんではなく、お母さんなのでは?」
「おっ、そうだな! いや、そうだったわねソアラちゃん!」
「キモいのでやめてくださ~い」
「スグミもふざけるのはその程度にしておけ。
と、この様に姿を変化させるアイテムを用いて、私自身が囮になる予定だ」
俺とソアラの漫才をセリカに窘められつつ、セリカは淡々と作戦の説明を続けていた。
ちょっとくらい、笑ってくれてもいいのよ?
だが、俺たちを見ていた騎士達の中には数人、笑いを堪えるのに必死になっている者がいたので、デキとしては、まぁ、上々といったところか。
紳士たるもの、何時いかなる時もユーモアを忘れてはいけないのだ。
断っておくが、頭に“変態”が付かない、普通の紳士の方だ。
「んじゃ、ほらよ。こいつは先に渡しておくよ」
俺は変身リングを外して、それをセリカへと手渡した。
「忝い。しばし、借り受ける」
「いや、やるよそれ。俺が持っているより、セリカが持っていた方がずっと有効活用出来るだろ?
これからの活動に役立ててくれたまへ」
「っ! お前はバカかっ! このような高価な魔道具、易々と受け取れ訳がなかろうっ!
下手をしたら、秘宝具にすらなりえる代物なんだぞ!」
俺としては良かれと思ってのことだったのだが、何故かセリカにスゲー怒られてしまった……
にしても秘宝具? セリカの言葉の感じからすると、マジックアイテムの階級というか等級のようにも聞こえるが……
まぁ、その辺りは今度、機会があれば聞いてみよう。
「この魔道具一つで、どれだけの価値があると思っているっ! 屋敷の一つや二つでは足しにもならんのだぞっ!」
うおっ! 随分と高く見積もられたもんだな、変身リング……
確かに、アンリミでもそれなりの人気はあったが、そこまで高いのは極一部の超人気アバターだけで、それ以外はそこそこ止まりだった。
俺が渡したアイテムも、そのそこそこの一つだ。
「生憎と、私はこれに見合う価値あるものを、お前に渡すことが出来ない……」
「だからやるって。別にカネを取ろうとか思ってるわけでもないし……」
「だから尚更なのだっ! それだけ価値あるものを無償で貰い受けるなど、私の騎士としての矜持が許さぬわっ!」
施しは受けない。だから、対価を支払おうにも、見合うものがない、と。
貰えるというのなら貰っておけばいいような気もするが……実直なのは美徳だが、難儀なこって。
だが、そうは言いつつも、やはり欲しいのか、セリカが変身リングを手に乗せたまま、眉間にマリアナ海溝並みに深い皺を寄せてむむむっと唸っていた。
「ならこういうのはどうだ? それは賄賂だ」
「賄賂、だと?」
俺の言葉に、セリカの視線が別の意味で鋭くなり、俺を射抜く。そして、周囲の騎士達からもざわりとした動揺が伺えた。
「ああ。ただ勘違いしないで欲しいのは、別に犯罪を見逃せとか、そんなことを言うつもりはない。
話した通り、俺はこの国に来たばかりで、正直、右も左も分からないのが現状だ。こう見えても、結構不安なんだよ。
俺だって信頼出来て頼れる相手がいれば、それだけ安心も出来るってもんだ。
それと、俺に何かあった時に便宜を図ったり、後ろ盾になってくれると助かる。
その指輪は、そうした諸々に対する先行投資、だと思ってくれ。どうだ?」
俺からの提案に、セリカは眉間に更に皺を寄せて黙考。
「つまり、後見人になれ、ということか……」
「そこまで上からものを言うつもりはない。ただ、何かあった時に手を貸して欲しいってだけだ」
「ふむ……しかしそれでもまだ、私の利が大き過ぎるな」
「なら期間を長く取ったらどうだ? そうだな……例えば、俺がこの国に滞在している間ずっと、とかな」
更にセリカが黙考することしばし……
「……分かった。それでもまだ対価には見合わないと思うが、スグミがそれでいいというのなら、依存はない。
しかし、一つだけ条件がある。
今ここで、私が騎士団の総意としての決定を下すことは出来ない。私にそんな権限は与えられていないからな。
だからこの契約は、私とスグミの個人的なものとしたい。
当然、私が個人で手助け出来る範囲になるため、大したことは何も出来ないかもしれないが……それでもよいだろうか?」
「勿論構わないよ。むしろ、セリカみたいな美人で真面目な騎士様が個人的に手を貸してくれるってなら、俺としても心強い限りだよ」
「ふっ、口が巧いな。世辞を言っても何も出んぞ?」
「思ったことを言っただけだ」
「ならば、その称賛。素直に受け取っておこう」
こうして、図らずもおまけアイテム一つで、一人の美少女騎士とコネを作ることが出来たのは僥倖だと言えるだろう。
何も分からいことほど、怖いこともないからな。分からないことを聞くことが出来る相手がいるというだけで、こちらとしては大助かりだ。
「ただ……これは騎士としてというより、一人の女としての忠告だと思って聞いて欲しいのだか……」
ん? どうかしたのだろうか?
突如、セリカがオホンっと咳払いをすると、じとっと睨むように俺を見る。
「かような重い言葉を軽々に使うのは、誠実さを疑われるから気を付けることだな」
重い言葉? はて、なんのことだろうか?
「ああ、それ分かるぅ。私も、スグミさんからその……かわいいとか、凄く言われたし……
この人、一見真面目そうに見えて、意外とチャラいのかもしれないよ?」
と思っていたら、セリカに続いておしゃべりソアラがそんなことを言い出した。
重い言葉、とは俺がセリカのことを美人と言ったことのようだ。
なんだ? ここじゃ女性を褒めたらアカンのか?
なんでかは知らんが、左右から蔑むような視線が刺さること刺さること……一体俺が何をしたというのか。ちょっと褒めただけだろ?
まぁ、現実じゃ女性を褒めるなんてこっ恥ずかしくて一度もしたことはないが、アンリミの中じゃ外見を褒めるなんて普通のことで、誰もが当たり前のようにやっていたことだった。
あいさつ代わりに、そのアバターかわいいねっ! なんて言うのは日常茶飯事なのだ。
そう思うと、俺の中からゲーム感覚がまだ抜けてないってことか。そりゃ、ここに来たのもまだ昨日の今日のことだしな。
「そう言えば昔、女性に愛想を振りまいていた男が、複数の女性から刃物で刺された、なんて事件があったな……スグミも気を付けることだ」
なんて、セリカがボソリと怖いことを言う。
いやいや、流石にそれはないだろ? こちとら、彼女居ない歴=年齢のアラサーだぞ?
そんな二股とか三股とか器用なこと、出来るわけないだろ! 舐めんなっ!
そんなこんなで、しばらく左右から“普段、あまり褒められ慣れていない娘が勘違いしたらどうするんだ?”とか、“責任は取れるんですか?”とか何故か散々小言を言われる羽目になった。
だから、俺がに何をしたと……
隙を生じぬ連携口撃でこちらが口を挟む間もなく、左右からチクチクチクチクと責められ続け、言いたいことも言い終わったのか、ようやく解放されたのは一〇分くらい経ってからのことだった。
なんだよ、お前らなんか俺に恨みでもあんのか……まぁ、ソアに関しては心当たりがなくもないんだけどさ……
その後。ようやく本題へと話題が移って、各員の役割やその他詳細についての打ち合わせが行われた。
で、明日は騎士たちの準備期間とし、本格的に俺が手を貸すのは明後日からということになった。
色々と根回しや準備が必要なんだとか。
セリカからは、英気を養うためにも、明日はゆっくりと体を休ませて欲しいと言われた。
俺はともかくとして、確かにソアラには休養は必要だろうな。昨日だって、休んだとはいえ洞窟の中だったし。
一人で落ち着ける場所と時間は必要だ。
こうして、何故かどっと疲れた作戦会議は終わりを迎え、団員たちもそれぞれが下宿している宿へと戻って行った。
さてと、んじゃ俺たちも宿屋へと戻りますかね。
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
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