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7話 魔王と魔女の昼下がり
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今まさに、コーボルティウスによって殲滅魔道鎧が滅殺人形一号へと生まれ変わり、城内に解き放たれたその頃……
魔王城・城内・魔王の間
そこは特に何があると言う訳でもなく、だだっ広いだけの広間だった。
あるものと言えば、雛壇の様に迫り上がった台座の上にちょこんと豪奢な椅子が据え付けられているくらいなものだ。
魔王の玉座である。
しかし、その玉座、一見しただけで普通の玉座と少し違うことが分かる。
通常の玉座に比べて、横に大きいのだ。
それこそ、二人が並んで座ってもまだまだ余るほどに、だ。
しかもやたらとふかふかしている。
表面も上質な布、もしく皮のような素材で出来ていた。
それはもう、椅子というより多人数掛けのソファに近い代物だった。
現に、今その玉座には一組の男女が仲睦まじく腕を組んで座っていた。
魔王とその妃である魔女だ。
魔王はまさに、“魔王”を体現したような筋骨隆々なマッシブボディ……はしていなかった。
禍々しい眼光が光る……こともなく、雄々しい二本の角が額から伸びて……もいない。
勿論、凶悪な牙が口の端から……なんてことは決してない。
そこにいたのは、何処にでも居そうな普通の人間の青年だった。
多少上背はあるようだが、よくて180cmを越えるかどうか……と言った程度でしかない。
外見は歳にして二十代前半から半ばあたりのイケメンで、短く切り揃えられた黒い髪は艶やかな光沢を放ち、清潔感が漂っていた。
きりりと釣りあがった眉に、知性を感じさせる誠実そうな黒い瞳。
無駄な肉の付いていない引き締まった肉体は、まるでどこぞの彫像のようですらある。
これで厳つい鎧、乃至は猟奇的なローブでも着ていれば多少様にもなっただろうが、今、彼が着ている物はと言えば、着古してヨレヨレになった作務衣だった。
履いている物も所々綻びた草履だ。
およそ、“魔王”と言う言葉とは無縁のようなこの青年が、ここ魔王城の主にして世界の仇敵である魔王その人であった。
「ん~? んー……」
その魔王は今、情報端末を片手にうんうんと小首を傾げて唸っていた。
「どうしたのじゃ、だーりん?」
魔女は、魔王に撓垂れ掛るようにしてその蠱惑的な肢体を魔王へと押し付けた。
別に他意があった訳ではない。
魔王が手にしていた情報端末を覗き込もうとして、自然とそう成ってしまったに過ぎないのだ。
魔王の妃は美しかった。
その美貌はまさに、傾国の美女も裸足で逃げ出すほど……ではなかったが、実に愛らしい容姿をしていた。
クリクリと大きな翡翠色の瞳は愛嬌に溢れ、銀糸のような長い髪はそれだけで最早、宝石のように煌いていた。
日焼けを知らない白い肌は絹のように滑らかでシミ一つない。
キュッと引き締まった細いウエストが、その上にある豊満……とは言えないが、たわわに実った二つの水蜜桃の存在を強調させていた。
しかし……
魔王が魔王なら、魔女もまた魔女だった。
寝起きなのか、どこか眠たそうな翡翠色の目はしょぼしょぼと瞬きを繰り返し、整えれば輝きそうなその見事な長い銀髪も、所々跳ねてはくるくると渦を巻いていた。
口の端にはヨダレが垂れた跡がくっきりと残っており、肩口までずり下がった攻撃的なデザインのネクリジェを直そうともしない。
これでは、ただの十代後半の少女の寝起きの風景でしかなかった。
折角の美貌も台無しである。
見ようによっては、そんな気だるげな仕草にそこはかとない色香が漂う……ような気がしないでもなくはない……が、一般の趣味趣向からは逸脱しそうではあった。
「眠いなら寝室に戻ったらどうだ? 昨日も遅かったんだろ?」
「うむ。つい研究に没頭してしまってのぉ……気付いたら朝日が昇っておったわ……
だが……断わる!
妾はだーりんと一緒に居たいのじゃ! 居たいのじゃ~!」
魔女の少女は、魔王の青年の腕をその膨よかな胸の谷間へと抱え込んで“イヤイヤ”っと首を振った。
魔女がベッドに潜り込んで来たのは、太陽がすっかり地平線から顔を出した後の事だった。
ベッドに潜り込んだ魔女は、すぐさま魔王を抱き枕よろしくヒシッと抱きしめスヤスヤと寝息を立てたまではよかったが、程なくしてコブリンから勇者の来城を告げるアナウンスが城内に響き渡った。
魔王は対応のため、ここ魔王の間へと向かおうとベッドを出ようとしたら、何故か魔女も着いて来ると言い出したのだ。
勇者の対応に、魔女の存在は必須条項ではない。
だから、しばらく寝ていればいい、と言う魔王だったが魔女は頑なにそれを拒んだ。
結局、魔女の押しに折れる形で魔王は魔女の同行を許して、現在の状態に至っている、というわけだ。
「わかったわかった」
魔王は苦笑いを浮かべると、ポケットからハンカチを取り出して魔女の口元を拭ってやった。
「むぐぐっ……して、一体どうしたのじゃ?」
魔女はより一層、魔王へとべったりと張り付いてその手の中の情報端末へを覗き込んだ。
「いや……さっきから、どうも殲滅魔道鎧の挙動がおかしくってな……
何だか“勝手に”動いてるようなんだよなぁ……
回収作業自体はスムーズに行ってる様なんだが……ん~……」
「どれどれ……ん? なんじゃコリャ?」
魔女は情報端末を覗き込んで眉根を寄せた。
「ん? 何かあったか?」
「うむ。ほれっ、これを見てみぃ……」
魔女は、情報端末をちょちょと操作をすると一体の殲滅魔道鎧の内部情報を表示して見せた。
「ほれっ、これじゃ……完全にプログラムが書き換わっとるわ」
「……おいおい……なんだよこのコレ……これじゃ暴走するぞ?」
魔王は表示された内容に、さっと目を通して絶句した。
「……手遅れじゃな……既に暴走しとる。
最優先緊急指令のタグが付けられとる所為で、マスター権限を持ってしても起動中のプログラムの書き換えが不可能になっとるぞ……」
「一体何が起きてやがる……」
魔王は頭をガシガシ掻……こうとして、使える手がない事に気づいた。
右手には情報端末、左手には魔女がしっかりとしがみ付いていた。
「キャロル。今、ちょっといいか?」
やれやれ……と、一つため息を吐くと、魔王は虚空に向かって誰かの名を呼んだ。
「なぁ~に? パパ」
すると、魔王の目前、それも何もない中空に突然複雑奇怪な魔方陣が煌いたかと思えば、そこから一人の幼女が飛び出してきた。
薄い砂色をした長い髪をし、シンプルな白いワンピースに身を包んだ十代になるかならないか、という幼女だ。
魔王を“パパ”と呼んだ幼女は、そのままの勢いで魔王の胸へと飛び込むと、すかさずその首に両手を巻きつけては、ニコニコと笑みを浮かべて魔王の顔に頬を寄せた。
「あれれ? ママはお眠なの?」
「うむ……昨日は徹夜をしてしまってのぉ……ちと眠い……
それにしても、お主はいつも元気じゃのぉ……」
「うんっ! キャロルは何時でも元気なのっ!」
幼女はニカッとひまわりの様な笑顔を魔女へと向けた。
魔王が“パパ”なら、魔女は当然“ママ”である。
「話は聞いていただろ? 何か知らないか?」
そんな幼女を疎ましく思う事もなく、魔王は幼女へとそう尋ねた。
そんな魔王の問いに、幼女は「うふふっ」と意味ありげに笑って見せた。
「うんっ! 今ね、すっごい面白い事になってるよ!
ほら、この間助けたコボルトの一匹がねぇ……」
幼女は嬉々として、今城内で起きていることを魔王へと話して聞かせた。
幼女の話には心当たりがあった。
如何ほど前だろうか……
魔王は冒険者の集団に襲撃を受けていた、コボルトの隠れ里を救ったことがあった。
自分が原因で村が襲撃されている訳だから、助けるのも義務だと思ったのだ。
そう、この襲撃事件に魔王は無関係ではいられなかった。
と、いうのも冒険者たちが魔物の村を襲ったのは“魔石”が目的だったからだ。
魔王の配下の魔物には、須らく相転移魔法と言う魔法が掛けられていた。
この相転移魔法とは、ある物体AとBの位置を瞬時に入れ替える、と言う魔法だ。
元々は死亡率の高い魔物たちの保険のために、魔王と魔女がイチャイチャしながら造り出した魔法なのだが……これがよくなかった。
あっ、別にイチャイチャしていたのが悪いと言うわけじゃないよ?
この相転移魔法、転移させる物体同士の魔力量が等価でなければならないと言う欠点があったのだ。
結果、魔王の配下である魔物が魔法を発動させた場合、魔王城の地下に蓄えられた魔石とその位置を入れ替える事になる。
当然、元々魔物のいた場所には、魔物の魔力量と等価の魔石が残される事になるわけなのだが……
この魔石、人間社会では魔法触媒や魔法道具の材料、はたまた宝石や装飾品として結構か価格で取引されていた。
それが例え、小指の先ほどの小さな魔石であったとしても、5~6個用意できればその日の晩のおかずを一品増やす程度にはなったのだ。
魔物を倒す→何故か魔石を落とす→売ったら金になる→また、魔物を倒す……
と、そんなサイクルが何時の間にやら冒険者たちの間で定着してしまっていた。
しかし、全ての魔物が魔石になるわけではない。
当然だ。
魔石に変るのは、魔王の配下の魔物だけなのだ。
だが、冒険者にしてみればそんな事知った事ではない。
彼らは狩った。トコトン狩った。徹底的に狩った。
たまに魔石にならない魔物もいたが、ハズレだと思って気にしなかった。
現在の魔王の魔物の支配率は、だいたい七割程度に過ぎない。
あぶれた三割はただの魔物なのだ。殺したところで、魔石になどなりはしない。
その三割と言うのが、隠れ里を作っている所為で発見できていない魔物たちや、あまりに辺境に住んでいる所為でスカウトが遅れている魔物たち、または、声は掛けたが魔王に従わなかった魔物たちだった。
基本的には人間と関わりを持たないように生きていた魔物たちだったが、そんな無害な魔物の集落に目をつける者たちが現れ出した。
そう、冒険者だ。
野山やダンジョンを散策して、ちまちま魔物を倒して魔石を集めるより、まとまっている所を一網打尽にした方が手っ取り早いと考えたのだろう。
冒険者にしてみれば、魔物は魔物。
魔石になるかならないかは、倒してみなければ分からないのだ。
こうして、冒険者の魔物の村狩りが始まった。
これに驚いたのが魔王だった。
まさか、小銭程度の稼ぎのためにわざわざ隠れ住んでいる魔物たちを探し出してまで襲うとは、思ってもみなかったのだ。
魔王は早急に対策を取った。
世界中にいる支援者に打診をしたのだ。
もし、冒険者たちにそう言った動きがあれば知らせて欲しい、と。
魔王の誘いを断わり、自ら村に留まることを選んだ魔物たちは勿論、日々を平穏に暮らしているだけの者たちを巻き込んでしまったのが忍びなかったのだ。
そうこうしてい内に、一通の知らせが魔王へと届けられた。
魔王は速やかに救助へと向かった。
それが、コーボルティウスの住んでいた村だった。
多少の被害は出てしまったものの、村に住んでいた多くのコボルトたちを保護して、今は魔王城で魔王が与えた仕事に従事して暮らしている。
幼女の言う“この間助けたコボルトの一匹”というのが、仕事を斡旋する際に給金が高い仕事を要求してきた一匹のことだと、魔王は薄らぼんやりと思い出していた。
「……ってことになってるわけっ!
ねっ? おもしろいでしょ! キャロル、あのコボルト気に入っちゃった!」
「おもしろいって……お前なぁ……」
キャッキャッと語る幼女の話を一通り聞き終えた魔王は、眉間にシワを寄せてむむむっと唸った。
理解していない技術であるにも関わらず、その発想の着眼点や、それを実行する行動力は認めるが、行動に伴う被害は甚大だった。
なにせ、魔王城の魔物がコボルト二匹を残して全滅したのだ。
しかし、殲滅魔道鎧の回収に貢献したのもまた事実……
褒めるべきか罰するべきか……
とりあえずは、システムの改修と指定コマンド以外からの書き込みの禁止が最優先だな、と魔王は心の中で呟いた。
「今は、そのコボルトが作ったプログラムのおかげ? って言うのかな?
お人形さんの回収も、もうそろそろ終わるよ。
あっ、残り5……4……3……2……1……ゼロっ!」
ピピッ ピピッ
幼女が“ゼロっ!”と言った瞬間、情報端末からアラームが響いた。
視線を向ければ、情報端末には“コンプリート”の文字が映し出されていた。
情報端末が発したアラームは、全ての殲滅魔道鎧が回収が済んだ事を知らせる物だった。
魔王は情報端末を操作して城内に稼動している殲滅魔道鎧がいないことを確認する。
確かに、全て回収されているようだった。
動いている物は0。格納庫にも空きはなし。
多少問題はあったものの、即席で作った割には完成度は高かったらしい。
魔王は確認が済むと、すぐさまメイドのドロシーへと連絡を入れた。
ドロシーへは掻い摘んで現状を説明すると、直ぐに勇者を城内へと案内する旨の返事が返ってきた。
今、城内に入ってもほぼ誰もいないのだが……
かと言って、魔物たちが再配置するまで待ってもらうには時間が掛かり過ぎる。
ここはもう、ドロシーの手腕に任せようと魔王は決めた。
「……でキャロル。悪いんだが……」
「わかってるよーパパ! 飛ばされた魔物たちの面倒でしょ?
みーんな飛ばされちゃった所為で、今、地下室すんごい事になってるし!
ついでに、お家の壊れちゃった分部も直しておくね!
そのかわりぃ~キャロル頑張るから……あとで、いっぱいナデナデしてね!」
幼女は笑顔で捲くし立てると、魔王からぴょんと飛び降りた。
幼女の足が床石に触れると、幼女が現われた時と同じ複雑奇怪な魔方陣が足元に輝き浮かび上がった。
「じゃあ! あとでねぇ~!」
幼女は笑顔で手を振って、魔方陣の煌く床石の中へと沈んで行った。
一人いなくなっただけだと言うのに、辺りが一瞬で静かになったような気がした。
青年が魔王であるように、そして、少女が魔女であるように、幼女もまたこの魔王城で暮らす以上、見かけ通りの存在ではなかった。
幼女の正体とは魔王と魔女が造り出した、魔法生命体である。
故に魔王を“パパ”と呼び、魔女を“ママ”と呼んだ。
しかも、この魔王城のシステム関連を一手に担っている中枢制御ユニットでもあった。
この幼女に掛かれば、魔王城の何処に誰がいるか、何が起きているのかを把握する事など造作無い事だった。
言ってしまえば魔王城そのものが幼女であり、幼女自身が魔王城なのである。
故に、魔王城・城内と言う限定空間に限り、幼女は転移魔法をノーコスト・ノーリスク・無制限で使用する事が出来るのである。
幼女が現われる直前、そして消える直前に描かれた魔方陣が、幼女専用の転送魔方陣だった。
本来なら、殲滅魔道鎧の管制も幼女の管理下にあるべきなのだが、今はあくまで試験期間と言うことで、独立したシステムとして魔王が管理していたのだが、今回はそれがあだとなる形になってしまった。
「さて……っと……」
魔王は、情報端末を操作して城内放送用のモードを立ち上げた。
これで、端末に向かって喋ったことが城中に放送させる事が出来る。
とにもかくにも、殲滅魔道鎧の回収は完了したことは、作業に従事した者たちへ知らせねばならないだろう。
無事な者は、もうほとんど残ってはいなかったが……
「おほんっ……現時刻を持って殲滅魔道鎧の回収は完了した。
お疲れさん。作業に当った者たちに礼を言う。
で、本来の予定だった勇者一行がこれより魔王城に入ってくる。
各員、通常の業務へと戻るように」
各員とは言ったものの、現状使える魔物はコボルト二匹のみだ。
そんな事実を再認識して、魔王は溜息まじりに城内放送モードを終了させた。
「んじゃ、俺たちもぼちぼち準備しますかね……」
魔王がそう言って、玉座から立ち上がろうとした時……
「くかぁー……くかぁー……」
隣からなんとも暢気な寝息が聞こえてきた。
どうやら、何時の間か魔女は魔王の腕にしがみついたまま眠りへと落ちていたらしい。
「静かだと思ったら、寝てたのか……」
魔王は、大口を開けて幸せそうに眠りこける魔女を見て優しげに微笑んだ。
そして、魔女の頬を軽く撫でると起こさないようにそっと抱き上げた。
魔王は魔女を抱えて、ゆっくりと歩き出す。
向かう先は寝室だ。
まずは、魔女をベッドに寝かせてやろと、魔王はそう思ったのだ。
その次に、衣装室で着替えだ。
流石に、勇者たちを出迎えるのにこの格好はまずいだろう。
魔女にも、日頃から“魔王なら魔王らしい格好をせねばならんのじゃ!”とか“威厳が重要なのじゃ!”とか……耳にタコが出来るほど聞かされている。
今の魔王城攻略難易度はノーマルだ。
たったの一階層しかない上、今は戦闘用の魔物たちもほぼいない。
しかも、今はドロシーが案内役として付いている。
これでは勇者たちが魔王の間に辿り着くのに、大した時間は掛からないだろう。
時間がなかった。
魔王は魔女をベッドに寝かせると、少し急ぎ足で衣装室へと向かったのだった。
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豆知識その6
魔王によって助けられたコボルトたちは、現在、養殖マンドラゴラの栽培に従事しています。
品種改良の末、引っこ抜いても悲鳴を上げない、そんな農家にやさしいマンドラゴラです。
シャキシャキとした歯ごたえが特徴で、鼻をツンと抜ける辛味があります。
魔王家の朝食には、千切りにして養殖ユグドラシルの葉と一緒にゴマドレッシングであえたものが並びます。
おいしいです。
ですが、魔女はちょっと苦手です……
魔王城・城内・魔王の間
そこは特に何があると言う訳でもなく、だだっ広いだけの広間だった。
あるものと言えば、雛壇の様に迫り上がった台座の上にちょこんと豪奢な椅子が据え付けられているくらいなものだ。
魔王の玉座である。
しかし、その玉座、一見しただけで普通の玉座と少し違うことが分かる。
通常の玉座に比べて、横に大きいのだ。
それこそ、二人が並んで座ってもまだまだ余るほどに、だ。
しかもやたらとふかふかしている。
表面も上質な布、もしく皮のような素材で出来ていた。
それはもう、椅子というより多人数掛けのソファに近い代物だった。
現に、今その玉座には一組の男女が仲睦まじく腕を組んで座っていた。
魔王とその妃である魔女だ。
魔王はまさに、“魔王”を体現したような筋骨隆々なマッシブボディ……はしていなかった。
禍々しい眼光が光る……こともなく、雄々しい二本の角が額から伸びて……もいない。
勿論、凶悪な牙が口の端から……なんてことは決してない。
そこにいたのは、何処にでも居そうな普通の人間の青年だった。
多少上背はあるようだが、よくて180cmを越えるかどうか……と言った程度でしかない。
外見は歳にして二十代前半から半ばあたりのイケメンで、短く切り揃えられた黒い髪は艶やかな光沢を放ち、清潔感が漂っていた。
きりりと釣りあがった眉に、知性を感じさせる誠実そうな黒い瞳。
無駄な肉の付いていない引き締まった肉体は、まるでどこぞの彫像のようですらある。
これで厳つい鎧、乃至は猟奇的なローブでも着ていれば多少様にもなっただろうが、今、彼が着ている物はと言えば、着古してヨレヨレになった作務衣だった。
履いている物も所々綻びた草履だ。
およそ、“魔王”と言う言葉とは無縁のようなこの青年が、ここ魔王城の主にして世界の仇敵である魔王その人であった。
「ん~? んー……」
その魔王は今、情報端末を片手にうんうんと小首を傾げて唸っていた。
「どうしたのじゃ、だーりん?」
魔女は、魔王に撓垂れ掛るようにしてその蠱惑的な肢体を魔王へと押し付けた。
別に他意があった訳ではない。
魔王が手にしていた情報端末を覗き込もうとして、自然とそう成ってしまったに過ぎないのだ。
魔王の妃は美しかった。
その美貌はまさに、傾国の美女も裸足で逃げ出すほど……ではなかったが、実に愛らしい容姿をしていた。
クリクリと大きな翡翠色の瞳は愛嬌に溢れ、銀糸のような長い髪はそれだけで最早、宝石のように煌いていた。
日焼けを知らない白い肌は絹のように滑らかでシミ一つない。
キュッと引き締まった細いウエストが、その上にある豊満……とは言えないが、たわわに実った二つの水蜜桃の存在を強調させていた。
しかし……
魔王が魔王なら、魔女もまた魔女だった。
寝起きなのか、どこか眠たそうな翡翠色の目はしょぼしょぼと瞬きを繰り返し、整えれば輝きそうなその見事な長い銀髪も、所々跳ねてはくるくると渦を巻いていた。
口の端にはヨダレが垂れた跡がくっきりと残っており、肩口までずり下がった攻撃的なデザインのネクリジェを直そうともしない。
これでは、ただの十代後半の少女の寝起きの風景でしかなかった。
折角の美貌も台無しである。
見ようによっては、そんな気だるげな仕草にそこはかとない色香が漂う……ような気がしないでもなくはない……が、一般の趣味趣向からは逸脱しそうではあった。
「眠いなら寝室に戻ったらどうだ? 昨日も遅かったんだろ?」
「うむ。つい研究に没頭してしまってのぉ……気付いたら朝日が昇っておったわ……
だが……断わる!
妾はだーりんと一緒に居たいのじゃ! 居たいのじゃ~!」
魔女の少女は、魔王の青年の腕をその膨よかな胸の谷間へと抱え込んで“イヤイヤ”っと首を振った。
魔女がベッドに潜り込んで来たのは、太陽がすっかり地平線から顔を出した後の事だった。
ベッドに潜り込んだ魔女は、すぐさま魔王を抱き枕よろしくヒシッと抱きしめスヤスヤと寝息を立てたまではよかったが、程なくしてコブリンから勇者の来城を告げるアナウンスが城内に響き渡った。
魔王は対応のため、ここ魔王の間へと向かおうとベッドを出ようとしたら、何故か魔女も着いて来ると言い出したのだ。
勇者の対応に、魔女の存在は必須条項ではない。
だから、しばらく寝ていればいい、と言う魔王だったが魔女は頑なにそれを拒んだ。
結局、魔女の押しに折れる形で魔王は魔女の同行を許して、現在の状態に至っている、というわけだ。
「わかったわかった」
魔王は苦笑いを浮かべると、ポケットからハンカチを取り出して魔女の口元を拭ってやった。
「むぐぐっ……して、一体どうしたのじゃ?」
魔女はより一層、魔王へとべったりと張り付いてその手の中の情報端末へを覗き込んだ。
「いや……さっきから、どうも殲滅魔道鎧の挙動がおかしくってな……
何だか“勝手に”動いてるようなんだよなぁ……
回収作業自体はスムーズに行ってる様なんだが……ん~……」
「どれどれ……ん? なんじゃコリャ?」
魔女は情報端末を覗き込んで眉根を寄せた。
「ん? 何かあったか?」
「うむ。ほれっ、これを見てみぃ……」
魔女は、情報端末をちょちょと操作をすると一体の殲滅魔道鎧の内部情報を表示して見せた。
「ほれっ、これじゃ……完全にプログラムが書き換わっとるわ」
「……おいおい……なんだよこのコレ……これじゃ暴走するぞ?」
魔王は表示された内容に、さっと目を通して絶句した。
「……手遅れじゃな……既に暴走しとる。
最優先緊急指令のタグが付けられとる所為で、マスター権限を持ってしても起動中のプログラムの書き換えが不可能になっとるぞ……」
「一体何が起きてやがる……」
魔王は頭をガシガシ掻……こうとして、使える手がない事に気づいた。
右手には情報端末、左手には魔女がしっかりとしがみ付いていた。
「キャロル。今、ちょっといいか?」
やれやれ……と、一つため息を吐くと、魔王は虚空に向かって誰かの名を呼んだ。
「なぁ~に? パパ」
すると、魔王の目前、それも何もない中空に突然複雑奇怪な魔方陣が煌いたかと思えば、そこから一人の幼女が飛び出してきた。
薄い砂色をした長い髪をし、シンプルな白いワンピースに身を包んだ十代になるかならないか、という幼女だ。
魔王を“パパ”と呼んだ幼女は、そのままの勢いで魔王の胸へと飛び込むと、すかさずその首に両手を巻きつけては、ニコニコと笑みを浮かべて魔王の顔に頬を寄せた。
「あれれ? ママはお眠なの?」
「うむ……昨日は徹夜をしてしまってのぉ……ちと眠い……
それにしても、お主はいつも元気じゃのぉ……」
「うんっ! キャロルは何時でも元気なのっ!」
幼女はニカッとひまわりの様な笑顔を魔女へと向けた。
魔王が“パパ”なら、魔女は当然“ママ”である。
「話は聞いていただろ? 何か知らないか?」
そんな幼女を疎ましく思う事もなく、魔王は幼女へとそう尋ねた。
そんな魔王の問いに、幼女は「うふふっ」と意味ありげに笑って見せた。
「うんっ! 今ね、すっごい面白い事になってるよ!
ほら、この間助けたコボルトの一匹がねぇ……」
幼女は嬉々として、今城内で起きていることを魔王へと話して聞かせた。
幼女の話には心当たりがあった。
如何ほど前だろうか……
魔王は冒険者の集団に襲撃を受けていた、コボルトの隠れ里を救ったことがあった。
自分が原因で村が襲撃されている訳だから、助けるのも義務だと思ったのだ。
そう、この襲撃事件に魔王は無関係ではいられなかった。
と、いうのも冒険者たちが魔物の村を襲ったのは“魔石”が目的だったからだ。
魔王の配下の魔物には、須らく相転移魔法と言う魔法が掛けられていた。
この相転移魔法とは、ある物体AとBの位置を瞬時に入れ替える、と言う魔法だ。
元々は死亡率の高い魔物たちの保険のために、魔王と魔女がイチャイチャしながら造り出した魔法なのだが……これがよくなかった。
あっ、別にイチャイチャしていたのが悪いと言うわけじゃないよ?
この相転移魔法、転移させる物体同士の魔力量が等価でなければならないと言う欠点があったのだ。
結果、魔王の配下である魔物が魔法を発動させた場合、魔王城の地下に蓄えられた魔石とその位置を入れ替える事になる。
当然、元々魔物のいた場所には、魔物の魔力量と等価の魔石が残される事になるわけなのだが……
この魔石、人間社会では魔法触媒や魔法道具の材料、はたまた宝石や装飾品として結構か価格で取引されていた。
それが例え、小指の先ほどの小さな魔石であったとしても、5~6個用意できればその日の晩のおかずを一品増やす程度にはなったのだ。
魔物を倒す→何故か魔石を落とす→売ったら金になる→また、魔物を倒す……
と、そんなサイクルが何時の間にやら冒険者たちの間で定着してしまっていた。
しかし、全ての魔物が魔石になるわけではない。
当然だ。
魔石に変るのは、魔王の配下の魔物だけなのだ。
だが、冒険者にしてみればそんな事知った事ではない。
彼らは狩った。トコトン狩った。徹底的に狩った。
たまに魔石にならない魔物もいたが、ハズレだと思って気にしなかった。
現在の魔王の魔物の支配率は、だいたい七割程度に過ぎない。
あぶれた三割はただの魔物なのだ。殺したところで、魔石になどなりはしない。
その三割と言うのが、隠れ里を作っている所為で発見できていない魔物たちや、あまりに辺境に住んでいる所為でスカウトが遅れている魔物たち、または、声は掛けたが魔王に従わなかった魔物たちだった。
基本的には人間と関わりを持たないように生きていた魔物たちだったが、そんな無害な魔物の集落に目をつける者たちが現れ出した。
そう、冒険者だ。
野山やダンジョンを散策して、ちまちま魔物を倒して魔石を集めるより、まとまっている所を一網打尽にした方が手っ取り早いと考えたのだろう。
冒険者にしてみれば、魔物は魔物。
魔石になるかならないかは、倒してみなければ分からないのだ。
こうして、冒険者の魔物の村狩りが始まった。
これに驚いたのが魔王だった。
まさか、小銭程度の稼ぎのためにわざわざ隠れ住んでいる魔物たちを探し出してまで襲うとは、思ってもみなかったのだ。
魔王は早急に対策を取った。
世界中にいる支援者に打診をしたのだ。
もし、冒険者たちにそう言った動きがあれば知らせて欲しい、と。
魔王の誘いを断わり、自ら村に留まることを選んだ魔物たちは勿論、日々を平穏に暮らしているだけの者たちを巻き込んでしまったのが忍びなかったのだ。
そうこうしてい内に、一通の知らせが魔王へと届けられた。
魔王は速やかに救助へと向かった。
それが、コーボルティウスの住んでいた村だった。
多少の被害は出てしまったものの、村に住んでいた多くのコボルトたちを保護して、今は魔王城で魔王が与えた仕事に従事して暮らしている。
幼女の言う“この間助けたコボルトの一匹”というのが、仕事を斡旋する際に給金が高い仕事を要求してきた一匹のことだと、魔王は薄らぼんやりと思い出していた。
「……ってことになってるわけっ!
ねっ? おもしろいでしょ! キャロル、あのコボルト気に入っちゃった!」
「おもしろいって……お前なぁ……」
キャッキャッと語る幼女の話を一通り聞き終えた魔王は、眉間にシワを寄せてむむむっと唸った。
理解していない技術であるにも関わらず、その発想の着眼点や、それを実行する行動力は認めるが、行動に伴う被害は甚大だった。
なにせ、魔王城の魔物がコボルト二匹を残して全滅したのだ。
しかし、殲滅魔道鎧の回収に貢献したのもまた事実……
褒めるべきか罰するべきか……
とりあえずは、システムの改修と指定コマンド以外からの書き込みの禁止が最優先だな、と魔王は心の中で呟いた。
「今は、そのコボルトが作ったプログラムのおかげ? って言うのかな?
お人形さんの回収も、もうそろそろ終わるよ。
あっ、残り5……4……3……2……1……ゼロっ!」
ピピッ ピピッ
幼女が“ゼロっ!”と言った瞬間、情報端末からアラームが響いた。
視線を向ければ、情報端末には“コンプリート”の文字が映し出されていた。
情報端末が発したアラームは、全ての殲滅魔道鎧が回収が済んだ事を知らせる物だった。
魔王は情報端末を操作して城内に稼動している殲滅魔道鎧がいないことを確認する。
確かに、全て回収されているようだった。
動いている物は0。格納庫にも空きはなし。
多少問題はあったものの、即席で作った割には完成度は高かったらしい。
魔王は確認が済むと、すぐさまメイドのドロシーへと連絡を入れた。
ドロシーへは掻い摘んで現状を説明すると、直ぐに勇者を城内へと案内する旨の返事が返ってきた。
今、城内に入ってもほぼ誰もいないのだが……
かと言って、魔物たちが再配置するまで待ってもらうには時間が掛かり過ぎる。
ここはもう、ドロシーの手腕に任せようと魔王は決めた。
「……でキャロル。悪いんだが……」
「わかってるよーパパ! 飛ばされた魔物たちの面倒でしょ?
みーんな飛ばされちゃった所為で、今、地下室すんごい事になってるし!
ついでに、お家の壊れちゃった分部も直しておくね!
そのかわりぃ~キャロル頑張るから……あとで、いっぱいナデナデしてね!」
幼女は笑顔で捲くし立てると、魔王からぴょんと飛び降りた。
幼女の足が床石に触れると、幼女が現われた時と同じ複雑奇怪な魔方陣が足元に輝き浮かび上がった。
「じゃあ! あとでねぇ~!」
幼女は笑顔で手を振って、魔方陣の煌く床石の中へと沈んで行った。
一人いなくなっただけだと言うのに、辺りが一瞬で静かになったような気がした。
青年が魔王であるように、そして、少女が魔女であるように、幼女もまたこの魔王城で暮らす以上、見かけ通りの存在ではなかった。
幼女の正体とは魔王と魔女が造り出した、魔法生命体である。
故に魔王を“パパ”と呼び、魔女を“ママ”と呼んだ。
しかも、この魔王城のシステム関連を一手に担っている中枢制御ユニットでもあった。
この幼女に掛かれば、魔王城の何処に誰がいるか、何が起きているのかを把握する事など造作無い事だった。
言ってしまえば魔王城そのものが幼女であり、幼女自身が魔王城なのである。
故に、魔王城・城内と言う限定空間に限り、幼女は転移魔法をノーコスト・ノーリスク・無制限で使用する事が出来るのである。
幼女が現われる直前、そして消える直前に描かれた魔方陣が、幼女専用の転送魔方陣だった。
本来なら、殲滅魔道鎧の管制も幼女の管理下にあるべきなのだが、今はあくまで試験期間と言うことで、独立したシステムとして魔王が管理していたのだが、今回はそれがあだとなる形になってしまった。
「さて……っと……」
魔王は、情報端末を操作して城内放送用のモードを立ち上げた。
これで、端末に向かって喋ったことが城中に放送させる事が出来る。
とにもかくにも、殲滅魔道鎧の回収は完了したことは、作業に従事した者たちへ知らせねばならないだろう。
無事な者は、もうほとんど残ってはいなかったが……
「おほんっ……現時刻を持って殲滅魔道鎧の回収は完了した。
お疲れさん。作業に当った者たちに礼を言う。
で、本来の予定だった勇者一行がこれより魔王城に入ってくる。
各員、通常の業務へと戻るように」
各員とは言ったものの、現状使える魔物はコボルト二匹のみだ。
そんな事実を再認識して、魔王は溜息まじりに城内放送モードを終了させた。
「んじゃ、俺たちもぼちぼち準備しますかね……」
魔王がそう言って、玉座から立ち上がろうとした時……
「くかぁー……くかぁー……」
隣からなんとも暢気な寝息が聞こえてきた。
どうやら、何時の間か魔女は魔王の腕にしがみついたまま眠りへと落ちていたらしい。
「静かだと思ったら、寝てたのか……」
魔王は、大口を開けて幸せそうに眠りこける魔女を見て優しげに微笑んだ。
そして、魔女の頬を軽く撫でると起こさないようにそっと抱き上げた。
魔王は魔女を抱えて、ゆっくりと歩き出す。
向かう先は寝室だ。
まずは、魔女をベッドに寝かせてやろと、魔王はそう思ったのだ。
その次に、衣装室で着替えだ。
流石に、勇者たちを出迎えるのにこの格好はまずいだろう。
魔女にも、日頃から“魔王なら魔王らしい格好をせねばならんのじゃ!”とか“威厳が重要なのじゃ!”とか……耳にタコが出来るほど聞かされている。
今の魔王城攻略難易度はノーマルだ。
たったの一階層しかない上、今は戦闘用の魔物たちもほぼいない。
しかも、今はドロシーが案内役として付いている。
これでは勇者たちが魔王の間に辿り着くのに、大した時間は掛からないだろう。
時間がなかった。
魔王は魔女をベッドに寝かせると、少し急ぎ足で衣装室へと向かったのだった。
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豆知識その6
魔王によって助けられたコボルトたちは、現在、養殖マンドラゴラの栽培に従事しています。
品種改良の末、引っこ抜いても悲鳴を上げない、そんな農家にやさしいマンドラゴラです。
シャキシャキとした歯ごたえが特徴で、鼻をツンと抜ける辛味があります。
魔王家の朝食には、千切りにして養殖ユグドラシルの葉と一緒にゴマドレッシングであえたものが並びます。
おいしいです。
ですが、魔女はちょっと苦手です……
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