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13話 僧侶の受難 りたーんず いち
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「ほらっ! キリキリ歩く!」
「チッ! これじゃまるで奴隷みたいじゃないかっ! 逃げたりしないから、この鎖を外せっ!」
私たちは今、“迷宮回廊”の中を歩いています。
「まったく……何を言うかと思ったら……貴方の所為でどれだけ皆が迷惑していると思っているのですか?
そんな貴方を自由にする訳ないでしょ? バカなんですか? アホなんですか?」
私たちは、倒れている勇者を前にしぶしぶ“迷宮回廊”への進入を決意しました。
そして、一度捕縛した者は絶対に逃がさないマジックアイテム“グラウプニルの鎖”で勇者をグルグル巻きにしたのです。
勇者を抱えて移動するのは面倒、まして体力が回復するのを待つのもバカらしいということで、歩けるようになるギリギリまで回復魔法によって回復させ、自分の足で歩かせる事にしたのです。
「クッソ……国に帰ったら、お前ら全員覚えてろよ……って、イデデデッ!
締めるなっ! 締めるなっ!」
ぶつくさ文句を言う勇者を黙らせるため、私は“グラウプニルの鎖”に勇者を軽く締め上げるように命令を出しました。
“グラウプニルの鎖”は、鎖を握っている者の意思によって自由に操る事が出来るのです。
しかも、この鎖には巻き付いている相手のステータスを大幅に低下させる効果が付与されているため、聖剣からの加護がなくなった今の勇者など最早、普通の人以下の力しかありません。
戦闘力5以下のゴミです。
私たちは、自分たちが実際に“迷宮回廊”に足を踏み入る前に勇者の説得を試みました。
と、いうのも勇者に緊急脱出魔法を使わせ城門前で回収し魔王の間まで“グラウプニルの鎖”で縛って連行しようという作戦を立てたからです。
緊急脱出魔法は、本人が呪文を唱えなければ発動しません。
外部から強制的に発動させることが不可能なのです……それが出来ればどれほど楽だった事か……
しかし、勇者は我々の説得にはまったく応じませんでした。
勇者の言い分はこうです、
“そうやって、俺を外にだしたら、もう絶対宝箱開けさせないつもりだろっ!”
はい。全くもってその通りのつもりでした。
何を言おうが、何をしようが魔王の間までノンストップです。
宝箱のある右のルートへなんて通しません。
中央ルート一択です。
このまま無駄な押し問答を繰り返し時間を費やしてしまうと、勇者が復活して逃げてしまう恐れがあったため、私たちは断腸の思い出で“迷宮回廊”へと進入、勇者を捕縛する。と、言う流れになったのです。
ドロシー曰く、この“迷宮回廊”の出口も魔王の間に繋がっているとの事ですので、出口にさえたどり着ければ私たちの目的地には一応着く事が出来るらしいのです。
ノーマル難度の一番の遠回り、とドロシーは言っていましたが……
そんなこんなで“迷宮回廊”を歩いていると、最初の十字路に差し掛かりました。
「さぁ、勇者。どの道ですか?」
私は、勇者をグルグル巻きにしてる鎖をジャラリと鳴らして勇者へと問いかけました。
……言っておきますが、私にそんな趣味はありませんからね?
「クッソ……たぶん、こっちだ……」
勇者は左の通路を選んで進んで行きます。
私たち一行は、その後に付いて進みます。
こういう非常時の、勇者の“嗅覚”というのは正直、信頼できます。
逆に言ってしまえば、それぐらいしか信用に足る物がない、と言うことなのですが……
勇者の危機感知能力といいますか、危険察知能力といいますか……
とにかく、そう言った危ない何かに感づく本能のような物が、勇者は私たちの中でグンを抜いて高いのです。
……ただし、追い詰められないと発揮しない、という厄介な条件がありますが……
でなければ、最初にあんな簡単に“迷宮回廊”に飛び込んだりしません。
それに、財宝とかお宝の匂いにも敏感です。
今までだって、隠し部屋の宝箱を見つけてきたのは何時だって勇者でした。
……ここまでくると、勇者は勇者ではなくて、盗賊なのではないかと疑問に思えてきます。
ピタッ
そんな事を考えていると、前を歩く勇者が突然ピタリとその足を止めました。
「どうしたのですか、勇者?」
「この通路……何かあるぞ……」
勇者は今までにない、真剣な声でそう言いました。
勇者のセンサーに何か反応したのでしょう。
たぶん、罠の類だと思いますが……
「わかりました。
では、縦列隊で進みましょう。各自警戒を怠らないようにして下さい」
「わかっている」
「うん……」
戦士と魔法使いが頷くと、予め決めていたポジションに着きました。
先頭は勇者、そして勇者の鎖を握っている私、戦士、魔法使いと続きます。
戦士は私と魔法使いの護衛、魔法使いは援護がその役割です。
魔物はいないとの事ですので、これで大丈夫なはずです。
今までだって、これで乗り越えて来たのですから。
「では、行きましょう勇者」
「ああ……」
隊列も整い、いざ勇者がその一歩を踏み出した時……
カチッ
「「「……」」」
「……スマン、何か踏んだ……」
「アホーっ!」
「言った傍からこれか……」
「死ねばいいと思うの……」
勇者の危機感知能力は一級品です、だからと言って回避能力も相応に高いと言うと、そうでもなかったりします。
勇者は自分で感づいた罠に、よく嵌っていますから……
え? なんでそんな奴に先頭を歩かせているか? ですか?
何も知らないで罠に掛かるより、知っている上で掛かった方が精神衛生上負担が軽いからです。
最悪、勇者を先頭に立たせておけば何かの盾くらいにはなるでしょうし……
「全員警戒態勢っ!
前後だけじゃなく上下にも気をつけろっ!」
戦士の号令一下、私たちはすぐさま辺りへの警戒意識を高めました。
「えっ? 俺、簀巻き状態なんだけど?
これで警戒とかムリじゃね? ってか、何かあっても俺、何も出来なくね?」
勇者がなにやら私たちに訴えて来ましたが、今はそれどころではありません。
何が起こるかわからないという状況なのです。アホの相手などしていられません。
私たちは感覚を研ぎ澄まして、周囲への警戒を厳にしますが……しばらく経っても何も起きませんでした。
「……? 何も起きませ……」
と、そう思った時でした。
ブワァッ!!
突然足元から、強烈な突風が吹き荒れたと思ったら、私の視界が一瞬で真っ白になったのです。
しかも、何故か下半身がスースーするのです。
「っ!?」
この白い布には見覚えがありました。これは、私が着ている……
ふわぁっ
程なくして、突風はすぐに収まり私の視界は元の状態へと戻りました。
すると、回復した視界の中で魔法使いが何か物言いたげな表情をして、こちらをじっと見ていました。
「……」
「何でしょうか、魔法使い?」
「……僧侶って、意外とエグイぱんっ……」
ギロリッ!!
「……なんでもない」
「そうですか」
私には、今の一瞬で何が起こったのかさっぱり分かりません。
ええっ! 分かりませんともっ!!
勇者は前を向いていましたし、戦士は近くにいましたが私とは身長差がかなりあるため視界には入っていなかったでしょう。
“何が”とは言いません。とにかく、大丈夫だと思う事にします。
見られてません……よね?
「なんだったんだ今の風? あれでトラップなのか?」
「そう……だな……特に攻撃の意思などは無かった様に思うが……一体何のためのトラップだったのか……」
「一部には、特攻……?」
「(ニッコリ)魔法使い?」
余計なことを言おうとする魔法使いに、私は天使の微笑みを浮かべました。
「っ! ……なんでもない……」
まぁ、天使は天使でも、“死”の天使ですけどねぇ!
「何の意味があったのか……
とにかく、今のトラップはあれで終了のようだな。
先へ行くことにしよう」
戦士の言葉に皆頷き、私は持っていた鎖をジャラリと鳴らして、勇者を歩かせるのでした。
-------------------------------------
次の十字路を右、その次は真っ直ぐ……
そうやって幾つ目かの十字路を通り過ぎた時です。
ピタッ
これで何度目になるのか、またしても勇者がその場で足を止めました。
一つ目の罠に、アホな勇者が見事にハマった以外、今のところ他の罠には掛かっていません。
今日の勇者は、打率が低めで優秀ですね。
「……罠ですか?」
「……たぶんな」
全員慣れたもので、勇者が足を止めた時には隊列を組み直していました。
皆が無言で頷きます。
「では、勇者、進んで下さい」
「ああ……」
隊列も整い、いざ勇者がその一歩を踏み出した時……
カチッ
「「「……」」」
「……スマン、何か踏んだ……」
「おバカー!」
「おっ? 今日はまだ二度目だな……
割と好調なんじゃないか?」
「でも、死ぬばいいと思うの……」
心の中で褒めた直後にこれです……
SYQです。
えっ? SYQが何かですか?
SYQとは、“さすが・勇者・クオリティ”の略です。
そんな言葉知らない?
それはそうでしょう。だって、今、私が考え造語ですから。
「全員警戒態勢っ!
前後だけじゃなく上下にも気をつけろっ!」
魔法使いと私は、軽く溜息を付くと周囲への警戒態勢を取りました。
勇者は褒めると碌なことがありませんね。
もう、心の中でさえ、褒めるのは止めましょう。そうしましょう。
………
……
…
勇者が……たぶん罠のスイッチだと思うのですが……それを踏んで、少し経ちましたが特に変わったことは何も起きません。
先ほどの罠同様、時間差なのでしょぅか?
「特に何も起きませ……」
パカッ
私がそう言い掛けた時、突然、私たちの真上の天井の一部にポッカリと穴が開きました。
「全員穴の下から離れろっ!」
逸早(いちはや)く状況を理解した戦士から号令が飛びました。
私たちは飛び退く様にして、穴の下から退避し距離を取りました。
すると、
シュルシュル
っと、穴から一本のロープ? のような物が落ちてきました。
ロープは何処かに括られているのか、全て落ちきる事はなく天井に開いた穴から一本だけ垂れ下がっていました。
これは……本当に罠なのでしょうか?
こんな罠今まで見た事がありませんが……
「どうする? 斬ってしまうか? それとも“ここを登れ”という事か?」
「……いえ、どの様な罠か分からない以上、迂闊に手を出さない方がいいと思います」
問いかけてきた戦士に、私は少しの逡巡の後にそう答えました。
分からない物は触らないに限ります。
「特に攻撃的なものでない限り触らずに無視をして先に進みましょう……」
と、私がロープに対して背を向けた時、
シュルシュルシュルシュル~~~~~!!
「なっ!?」
ロープが突然、意思でも持っているかのように、私に向かって伸びて来たのです。
ロープは勇者の体に巻き付いている“グラウプニルの鎖”の様に、私をグルグル巻きにしました。
まさか、捕縛系の罠だったとは……迂闊でしたっ!
ロープは私の体にしっかりと巻きつくと、驚異的な力で私を天井の穴へと引きずり込もうとしました。
「僧侶っ!!」
「ぐぇっ!!」
引っ張られる私を助けようと、戦士が懸命に手を伸ばしますがすんでの所で届かず、その手は空しく宙を掴みました。
因みに、一緒に上がったうめき声は、私が掴んでいた“グラウプニルの鎖”によって芋ずる式に勇者が引っ張られた時に上げたものです。
天井の穴まで後少し……もうダメだ……と、諦めかけたその時、ロープが突然その動きを止めたのです。
ロープはモゾモゾと私の体を弄る様に動くと、何だか溜息を吐く様な仕草をしてから、私をそっと床の上へと下ろし、スルスルと解けていきました。
「なっ、何だ?」
戦士が呆けたようにその様子を見守るなか、ロープは今度は魔法使いの方へと狙いを変え、凄い速さで伸びて行ったのです。
「ちょっ!?」
魔法使いもあまりの速さに回避が間に合わず、ロープにグルグル巻きにされてしまいました。
「なにコレ!? ウネウネしててキモッ!!」
が……
スルスルスルスル……
魔法使いは私のように、宙吊りにされる前にロープから開放されました。
そしてロープは、私と魔法使いを交互に見るようにその先端を向けると、またしても何か残念がるような仕草をしてスルスルと天井の穴へと戻って……行かせませんっ!
私は……ついでに魔法使いもですが……戻ろうとするロープをむんずと鷲づかみ、その動きを止めました。
凄い力でビチビチ暴れまわり、必死に私たちを振りほどこうとするロープでしたが、そんな事を許す私たちではありません。
掴んだロープをグイッと引っ張り、私の顔の前辺りまで引っ張り出しました。
「……このロープさんは何か私たちに伝えたい事があるようですよ? 魔法使い」
「ほぉ……それはとても興味深い……意思を持ったマジック・アイテムの存在は希少……
是非意見を聞いてみたい……」
魔法使いは、指先に魔法で火を灯すと、それをじわじわとロープへと近づけて行きました。
イヤイヤをする様に、ロープの抵抗はより一層激しさを増しましたが、だからといって逃がす私たちではありません。
「おっ、おい? お前たち大丈夫なのか? それに、そのロープに何やら話しかけていた様だったが……
一体何が起きたんだ?」
私たちの事を案じての事でしょう。
戦士が、私たちの方へと駆け寄ってこようとしていましたが、私はそれをやんわりと手で制しました。
「私たちなら大丈夫です戦士。
今から、この罠の解除を行おうと思います。危険ですので、戦士は少しだけ離れていてください」
「そうかわかった。僧侶がそう言うなら任せよう」
戦士は大きく一つ頷くと、私たちから少し離れた所で足を止めました。
「ぐっじょぶ、僧侶……」
戦士が十分に離れたのを確認してから、魔法使いが私に向かって親指を立てて見せました。
……まぁ、あまり男性には聞かれたくない話が出るかもしれませんからね。
当然の処置です。
さて……
「大人しくしなさい……千切りますよ?」
ビクッ
私は、未だ手の中でビチビチクネクネしているロープへ向かってボソッと呟きました。
すると、今までの抵抗がウソの様にロープは大人しくなりました。
「で、何が言いたいの?
それだけハッキリした“意識”を持っているなら、会話くらい出来るはず……」
「……」
「……黙ってると、燃やすよ?」
魔法使いは、そう言って指先に灯した炎をロープへと近づけました。
チリチリと音を立て、焦げ臭い匂いが鼻を突きます。
流石にこれには参ったのか、大人しくしていたロープがまたしても必死の抵抗を再開しましたが、私と魔法使いががっちりとホールドしているので逃がしはしません。
ビチビチと激しく暴れるロープでしたが、私はその時ある事に気が付いたのです。
「待ってください魔法使い」
「なに? 僧侶?」
「ちょっと、そこを見て下さい」
「ん?」
私が指を指したのは、私たちが握っているロープの先端部分から天井の穴へと繋がっている途中部分です。
そこには……
「文字?」
「だぶん……」
そう、ロープはその身をクネらせて文字を描いていたのです。
器用なマネをするものです。
なになに……
“何をするか人間っ! 我は由緒正しき…………”
私は、両手でロープを掴むと、それを一気に引っ張りました。
ギチギチギチッ!
私が力を込めるに連れて、ロープの繊維が少しづつ千切れて行くの感触として伝わって来ました。
「私は、そんな事を聞いているのではありませんよ?
“何か、私たちに言いたい事があるのではないですか?”と尋ねているのです。わかりますか?」
私が引っ張り、魔法使いが指先の火の火力を上げるとロープは“分かった”と意思を示す様に先端部分を激しく上下に振りました。
こうして見ていると、ミミズかヘビに見えてきて若干気持ち悪いですね……
ロープは、体? をクネらせ新たな文字を描き出しました。
なになに……
「「…… …… ……っ!?」」
「ふんぬっ!!」
ブチッ!!
「チリも残さず燃え散らすっ!!」
ボッ!!
私は、ロープの描いた文字を全て読み終える前に、全身全霊の力を持ってロープを引き千切りました。
そして、魔法使いは炎の火力を一気に上げロープへと着火させました。
炎は乾いた藁を燃やすような勢いで、一瞬にしてロープ全体へと広がりました。
数秒もしない内に、ロープは魔法使いの宣言通り、チリすら残す事無く綺麗に燃え尽きました。
「おっ、おい! 何が起きたっ!」
少し離れた所から、私たちの様子を伺っていた戦士でしたが、流石にロープが燃え上がった事には驚いたのか、私たちの下へと駆け寄ってきました。
「大丈夫です。
罠の解除に成功しただけです。
さぁ、脅威は取り除いたので先を急ぎましょう」
「いや……罠の解除と言っても……燃えていたようだったが?」
「あれで成功なのです」
「そ……そうか……」
たぶん、戦士にあのロープが描いた文章は見られてはいないでしょう……
戦士を初めから遠ざけておいて正解でしたね。
あんな忌々しいものは誰の目にも留まらないのが、一番なのです。
そして、私もさっさと忘れてしまう事にしましょう。そうしましょう。
私はすまし顔で戦士の横を通り過ぎると、手の鎖を引っ張り勇者を立たせました。
「何時まで、そんな所で寝ているつもりですか?
さぁ、先を急ぎますから立ちなさい勇者」
「クソッ……覚えてやがれ……」
はぁ、コレは同じ事しか言えないのでしょうか?
勇者のボキャブラリィの少なさに、国の将来が不安なってきましたよ……
-------------------------------------
蛇足知識その13(ぷらす 言い訳です・・・)
その いち
白ニーハイぷらす白ガーターからの黒透けレースで至高! 異論は認める!
何がとは言いませんけどね……
その に
ロープくんが僧侶と魔法使いになんと言ったのか、実は原文がありますが前半部分が厳密に何が起こったのか、意図的に書かなかったのに合わせてカットすることにしました。
あの二人がなんと言われてブチ切れたのか・・・・・・
ご想像にお任せします。
今回、すごく中途半端な所で区切ることになってしまいましたが、字数の関係で最後まで書けなかったので二部構成になりました。
後半も僧侶視点の話が続きます。
次回は僧侶のサービスシーン大目・・・かも?
「チッ! これじゃまるで奴隷みたいじゃないかっ! 逃げたりしないから、この鎖を外せっ!」
私たちは今、“迷宮回廊”の中を歩いています。
「まったく……何を言うかと思ったら……貴方の所為でどれだけ皆が迷惑していると思っているのですか?
そんな貴方を自由にする訳ないでしょ? バカなんですか? アホなんですか?」
私たちは、倒れている勇者を前にしぶしぶ“迷宮回廊”への進入を決意しました。
そして、一度捕縛した者は絶対に逃がさないマジックアイテム“グラウプニルの鎖”で勇者をグルグル巻きにしたのです。
勇者を抱えて移動するのは面倒、まして体力が回復するのを待つのもバカらしいということで、歩けるようになるギリギリまで回復魔法によって回復させ、自分の足で歩かせる事にしたのです。
「クッソ……国に帰ったら、お前ら全員覚えてろよ……って、イデデデッ!
締めるなっ! 締めるなっ!」
ぶつくさ文句を言う勇者を黙らせるため、私は“グラウプニルの鎖”に勇者を軽く締め上げるように命令を出しました。
“グラウプニルの鎖”は、鎖を握っている者の意思によって自由に操る事が出来るのです。
しかも、この鎖には巻き付いている相手のステータスを大幅に低下させる効果が付与されているため、聖剣からの加護がなくなった今の勇者など最早、普通の人以下の力しかありません。
戦闘力5以下のゴミです。
私たちは、自分たちが実際に“迷宮回廊”に足を踏み入る前に勇者の説得を試みました。
と、いうのも勇者に緊急脱出魔法を使わせ城門前で回収し魔王の間まで“グラウプニルの鎖”で縛って連行しようという作戦を立てたからです。
緊急脱出魔法は、本人が呪文を唱えなければ発動しません。
外部から強制的に発動させることが不可能なのです……それが出来ればどれほど楽だった事か……
しかし、勇者は我々の説得にはまったく応じませんでした。
勇者の言い分はこうです、
“そうやって、俺を外にだしたら、もう絶対宝箱開けさせないつもりだろっ!”
はい。全くもってその通りのつもりでした。
何を言おうが、何をしようが魔王の間までノンストップです。
宝箱のある右のルートへなんて通しません。
中央ルート一択です。
このまま無駄な押し問答を繰り返し時間を費やしてしまうと、勇者が復活して逃げてしまう恐れがあったため、私たちは断腸の思い出で“迷宮回廊”へと進入、勇者を捕縛する。と、言う流れになったのです。
ドロシー曰く、この“迷宮回廊”の出口も魔王の間に繋がっているとの事ですので、出口にさえたどり着ければ私たちの目的地には一応着く事が出来るらしいのです。
ノーマル難度の一番の遠回り、とドロシーは言っていましたが……
そんなこんなで“迷宮回廊”を歩いていると、最初の十字路に差し掛かりました。
「さぁ、勇者。どの道ですか?」
私は、勇者をグルグル巻きにしてる鎖をジャラリと鳴らして勇者へと問いかけました。
……言っておきますが、私にそんな趣味はありませんからね?
「クッソ……たぶん、こっちだ……」
勇者は左の通路を選んで進んで行きます。
私たち一行は、その後に付いて進みます。
こういう非常時の、勇者の“嗅覚”というのは正直、信頼できます。
逆に言ってしまえば、それぐらいしか信用に足る物がない、と言うことなのですが……
勇者の危機感知能力といいますか、危険察知能力といいますか……
とにかく、そう言った危ない何かに感づく本能のような物が、勇者は私たちの中でグンを抜いて高いのです。
……ただし、追い詰められないと発揮しない、という厄介な条件がありますが……
でなければ、最初にあんな簡単に“迷宮回廊”に飛び込んだりしません。
それに、財宝とかお宝の匂いにも敏感です。
今までだって、隠し部屋の宝箱を見つけてきたのは何時だって勇者でした。
……ここまでくると、勇者は勇者ではなくて、盗賊なのではないかと疑問に思えてきます。
ピタッ
そんな事を考えていると、前を歩く勇者が突然ピタリとその足を止めました。
「どうしたのですか、勇者?」
「この通路……何かあるぞ……」
勇者は今までにない、真剣な声でそう言いました。
勇者のセンサーに何か反応したのでしょう。
たぶん、罠の類だと思いますが……
「わかりました。
では、縦列隊で進みましょう。各自警戒を怠らないようにして下さい」
「わかっている」
「うん……」
戦士と魔法使いが頷くと、予め決めていたポジションに着きました。
先頭は勇者、そして勇者の鎖を握っている私、戦士、魔法使いと続きます。
戦士は私と魔法使いの護衛、魔法使いは援護がその役割です。
魔物はいないとの事ですので、これで大丈夫なはずです。
今までだって、これで乗り越えて来たのですから。
「では、行きましょう勇者」
「ああ……」
隊列も整い、いざ勇者がその一歩を踏み出した時……
カチッ
「「「……」」」
「……スマン、何か踏んだ……」
「アホーっ!」
「言った傍からこれか……」
「死ねばいいと思うの……」
勇者の危機感知能力は一級品です、だからと言って回避能力も相応に高いと言うと、そうでもなかったりします。
勇者は自分で感づいた罠に、よく嵌っていますから……
え? なんでそんな奴に先頭を歩かせているか? ですか?
何も知らないで罠に掛かるより、知っている上で掛かった方が精神衛生上負担が軽いからです。
最悪、勇者を先頭に立たせておけば何かの盾くらいにはなるでしょうし……
「全員警戒態勢っ!
前後だけじゃなく上下にも気をつけろっ!」
戦士の号令一下、私たちはすぐさま辺りへの警戒意識を高めました。
「えっ? 俺、簀巻き状態なんだけど?
これで警戒とかムリじゃね? ってか、何かあっても俺、何も出来なくね?」
勇者がなにやら私たちに訴えて来ましたが、今はそれどころではありません。
何が起こるかわからないという状況なのです。アホの相手などしていられません。
私たちは感覚を研ぎ澄まして、周囲への警戒を厳にしますが……しばらく経っても何も起きませんでした。
「……? 何も起きませ……」
と、そう思った時でした。
ブワァッ!!
突然足元から、強烈な突風が吹き荒れたと思ったら、私の視界が一瞬で真っ白になったのです。
しかも、何故か下半身がスースーするのです。
「っ!?」
この白い布には見覚えがありました。これは、私が着ている……
ふわぁっ
程なくして、突風はすぐに収まり私の視界は元の状態へと戻りました。
すると、回復した視界の中で魔法使いが何か物言いたげな表情をして、こちらをじっと見ていました。
「……」
「何でしょうか、魔法使い?」
「……僧侶って、意外とエグイぱんっ……」
ギロリッ!!
「……なんでもない」
「そうですか」
私には、今の一瞬で何が起こったのかさっぱり分かりません。
ええっ! 分かりませんともっ!!
勇者は前を向いていましたし、戦士は近くにいましたが私とは身長差がかなりあるため視界には入っていなかったでしょう。
“何が”とは言いません。とにかく、大丈夫だと思う事にします。
見られてません……よね?
「なんだったんだ今の風? あれでトラップなのか?」
「そう……だな……特に攻撃の意思などは無かった様に思うが……一体何のためのトラップだったのか……」
「一部には、特攻……?」
「(ニッコリ)魔法使い?」
余計なことを言おうとする魔法使いに、私は天使の微笑みを浮かべました。
「っ! ……なんでもない……」
まぁ、天使は天使でも、“死”の天使ですけどねぇ!
「何の意味があったのか……
とにかく、今のトラップはあれで終了のようだな。
先へ行くことにしよう」
戦士の言葉に皆頷き、私は持っていた鎖をジャラリと鳴らして、勇者を歩かせるのでした。
-------------------------------------
次の十字路を右、その次は真っ直ぐ……
そうやって幾つ目かの十字路を通り過ぎた時です。
ピタッ
これで何度目になるのか、またしても勇者がその場で足を止めました。
一つ目の罠に、アホな勇者が見事にハマった以外、今のところ他の罠には掛かっていません。
今日の勇者は、打率が低めで優秀ですね。
「……罠ですか?」
「……たぶんな」
全員慣れたもので、勇者が足を止めた時には隊列を組み直していました。
皆が無言で頷きます。
「では、勇者、進んで下さい」
「ああ……」
隊列も整い、いざ勇者がその一歩を踏み出した時……
カチッ
「「「……」」」
「……スマン、何か踏んだ……」
「おバカー!」
「おっ? 今日はまだ二度目だな……
割と好調なんじゃないか?」
「でも、死ぬばいいと思うの……」
心の中で褒めた直後にこれです……
SYQです。
えっ? SYQが何かですか?
SYQとは、“さすが・勇者・クオリティ”の略です。
そんな言葉知らない?
それはそうでしょう。だって、今、私が考え造語ですから。
「全員警戒態勢っ!
前後だけじゃなく上下にも気をつけろっ!」
魔法使いと私は、軽く溜息を付くと周囲への警戒態勢を取りました。
勇者は褒めると碌なことがありませんね。
もう、心の中でさえ、褒めるのは止めましょう。そうしましょう。
………
……
…
勇者が……たぶん罠のスイッチだと思うのですが……それを踏んで、少し経ちましたが特に変わったことは何も起きません。
先ほどの罠同様、時間差なのでしょぅか?
「特に何も起きませ……」
パカッ
私がそう言い掛けた時、突然、私たちの真上の天井の一部にポッカリと穴が開きました。
「全員穴の下から離れろっ!」
逸早(いちはや)く状況を理解した戦士から号令が飛びました。
私たちは飛び退く様にして、穴の下から退避し距離を取りました。
すると、
シュルシュル
っと、穴から一本のロープ? のような物が落ちてきました。
ロープは何処かに括られているのか、全て落ちきる事はなく天井に開いた穴から一本だけ垂れ下がっていました。
これは……本当に罠なのでしょうか?
こんな罠今まで見た事がありませんが……
「どうする? 斬ってしまうか? それとも“ここを登れ”という事か?」
「……いえ、どの様な罠か分からない以上、迂闊に手を出さない方がいいと思います」
問いかけてきた戦士に、私は少しの逡巡の後にそう答えました。
分からない物は触らないに限ります。
「特に攻撃的なものでない限り触らずに無視をして先に進みましょう……」
と、私がロープに対して背を向けた時、
シュルシュルシュルシュル~~~~~!!
「なっ!?」
ロープが突然、意思でも持っているかのように、私に向かって伸びて来たのです。
ロープは勇者の体に巻き付いている“グラウプニルの鎖”の様に、私をグルグル巻きにしました。
まさか、捕縛系の罠だったとは……迂闊でしたっ!
ロープは私の体にしっかりと巻きつくと、驚異的な力で私を天井の穴へと引きずり込もうとしました。
「僧侶っ!!」
「ぐぇっ!!」
引っ張られる私を助けようと、戦士が懸命に手を伸ばしますがすんでの所で届かず、その手は空しく宙を掴みました。
因みに、一緒に上がったうめき声は、私が掴んでいた“グラウプニルの鎖”によって芋ずる式に勇者が引っ張られた時に上げたものです。
天井の穴まで後少し……もうダメだ……と、諦めかけたその時、ロープが突然その動きを止めたのです。
ロープはモゾモゾと私の体を弄る様に動くと、何だか溜息を吐く様な仕草をしてから、私をそっと床の上へと下ろし、スルスルと解けていきました。
「なっ、何だ?」
戦士が呆けたようにその様子を見守るなか、ロープは今度は魔法使いの方へと狙いを変え、凄い速さで伸びて行ったのです。
「ちょっ!?」
魔法使いもあまりの速さに回避が間に合わず、ロープにグルグル巻きにされてしまいました。
「なにコレ!? ウネウネしててキモッ!!」
が……
スルスルスルスル……
魔法使いは私のように、宙吊りにされる前にロープから開放されました。
そしてロープは、私と魔法使いを交互に見るようにその先端を向けると、またしても何か残念がるような仕草をしてスルスルと天井の穴へと戻って……行かせませんっ!
私は……ついでに魔法使いもですが……戻ろうとするロープをむんずと鷲づかみ、その動きを止めました。
凄い力でビチビチ暴れまわり、必死に私たちを振りほどこうとするロープでしたが、そんな事を許す私たちではありません。
掴んだロープをグイッと引っ張り、私の顔の前辺りまで引っ張り出しました。
「……このロープさんは何か私たちに伝えたい事があるようですよ? 魔法使い」
「ほぉ……それはとても興味深い……意思を持ったマジック・アイテムの存在は希少……
是非意見を聞いてみたい……」
魔法使いは、指先に魔法で火を灯すと、それをじわじわとロープへと近づけて行きました。
イヤイヤをする様に、ロープの抵抗はより一層激しさを増しましたが、だからといって逃がす私たちではありません。
「おっ、おい? お前たち大丈夫なのか? それに、そのロープに何やら話しかけていた様だったが……
一体何が起きたんだ?」
私たちの事を案じての事でしょう。
戦士が、私たちの方へと駆け寄ってこようとしていましたが、私はそれをやんわりと手で制しました。
「私たちなら大丈夫です戦士。
今から、この罠の解除を行おうと思います。危険ですので、戦士は少しだけ離れていてください」
「そうかわかった。僧侶がそう言うなら任せよう」
戦士は大きく一つ頷くと、私たちから少し離れた所で足を止めました。
「ぐっじょぶ、僧侶……」
戦士が十分に離れたのを確認してから、魔法使いが私に向かって親指を立てて見せました。
……まぁ、あまり男性には聞かれたくない話が出るかもしれませんからね。
当然の処置です。
さて……
「大人しくしなさい……千切りますよ?」
ビクッ
私は、未だ手の中でビチビチクネクネしているロープへ向かってボソッと呟きました。
すると、今までの抵抗がウソの様にロープは大人しくなりました。
「で、何が言いたいの?
それだけハッキリした“意識”を持っているなら、会話くらい出来るはず……」
「……」
「……黙ってると、燃やすよ?」
魔法使いは、そう言って指先に灯した炎をロープへと近づけました。
チリチリと音を立て、焦げ臭い匂いが鼻を突きます。
流石にこれには参ったのか、大人しくしていたロープがまたしても必死の抵抗を再開しましたが、私と魔法使いががっちりとホールドしているので逃がしはしません。
ビチビチと激しく暴れるロープでしたが、私はその時ある事に気が付いたのです。
「待ってください魔法使い」
「なに? 僧侶?」
「ちょっと、そこを見て下さい」
「ん?」
私が指を指したのは、私たちが握っているロープの先端部分から天井の穴へと繋がっている途中部分です。
そこには……
「文字?」
「だぶん……」
そう、ロープはその身をクネらせて文字を描いていたのです。
器用なマネをするものです。
なになに……
“何をするか人間っ! 我は由緒正しき…………”
私は、両手でロープを掴むと、それを一気に引っ張りました。
ギチギチギチッ!
私が力を込めるに連れて、ロープの繊維が少しづつ千切れて行くの感触として伝わって来ました。
「私は、そんな事を聞いているのではありませんよ?
“何か、私たちに言いたい事があるのではないですか?”と尋ねているのです。わかりますか?」
私が引っ張り、魔法使いが指先の火の火力を上げるとロープは“分かった”と意思を示す様に先端部分を激しく上下に振りました。
こうして見ていると、ミミズかヘビに見えてきて若干気持ち悪いですね……
ロープは、体? をクネらせ新たな文字を描き出しました。
なになに……
「「…… …… ……っ!?」」
「ふんぬっ!!」
ブチッ!!
「チリも残さず燃え散らすっ!!」
ボッ!!
私は、ロープの描いた文字を全て読み終える前に、全身全霊の力を持ってロープを引き千切りました。
そして、魔法使いは炎の火力を一気に上げロープへと着火させました。
炎は乾いた藁を燃やすような勢いで、一瞬にしてロープ全体へと広がりました。
数秒もしない内に、ロープは魔法使いの宣言通り、チリすら残す事無く綺麗に燃え尽きました。
「おっ、おい! 何が起きたっ!」
少し離れた所から、私たちの様子を伺っていた戦士でしたが、流石にロープが燃え上がった事には驚いたのか、私たちの下へと駆け寄ってきました。
「大丈夫です。
罠の解除に成功しただけです。
さぁ、脅威は取り除いたので先を急ぎましょう」
「いや……罠の解除と言っても……燃えていたようだったが?」
「あれで成功なのです」
「そ……そうか……」
たぶん、戦士にあのロープが描いた文章は見られてはいないでしょう……
戦士を初めから遠ざけておいて正解でしたね。
あんな忌々しいものは誰の目にも留まらないのが、一番なのです。
そして、私もさっさと忘れてしまう事にしましょう。そうしましょう。
私はすまし顔で戦士の横を通り過ぎると、手の鎖を引っ張り勇者を立たせました。
「何時まで、そんな所で寝ているつもりですか?
さぁ、先を急ぎますから立ちなさい勇者」
「クソッ……覚えてやがれ……」
はぁ、コレは同じ事しか言えないのでしょうか?
勇者のボキャブラリィの少なさに、国の将来が不安なってきましたよ……
-------------------------------------
蛇足知識その13(ぷらす 言い訳です・・・)
その いち
白ニーハイぷらす白ガーターからの黒透けレースで至高! 異論は認める!
何がとは言いませんけどね……
その に
ロープくんが僧侶と魔法使いになんと言ったのか、実は原文がありますが前半部分が厳密に何が起こったのか、意図的に書かなかったのに合わせてカットすることにしました。
あの二人がなんと言われてブチ切れたのか・・・・・・
ご想像にお任せします。
今回、すごく中途半端な所で区切ることになってしまいましたが、字数の関係で最後まで書けなかったので二部構成になりました。
後半も僧侶視点の話が続きます。
次回は僧侶のサービスシーン大目・・・かも?
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