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勉強は好き。頑張った分だけ数字に表れるから。でも魔法学は……。
はぁぁー…
先日の実施学習の評価が戻ってきた。ドコにあるの? 私の類を見ない魔力……。
「そんな点でよく魔術師の弟子やってんなー」
「カイト! もう、見ないでよ!」
いちいち突っかかってくるのがコイツ。魔法学だけは上単位のカイト。
「ふん。先生が実施学最下位のお前に資料室の片付けをしろっての、伝えに来たんだよ」
さ、最下位~?
カイトの言葉に目眩が……。あぁ、お師様。私の類を見ない魔力はいつ表に出てくるんですか?
「だから、このオレも手伝ってやるから感謝しろよ」
ショックで話を聞いていなかったから何が“だから”なのかよく分からなかったけど、手伝ってくれるなら素直に感謝するよ。
「ありがとう、カイト」
「っ! お、おう……」
資料室の本棚は高く、ハシゴを昇り、片手でファイルをしまう作業は一人では時間かかっていただろう、感謝するよ。ハシゴの上からエラソーに「次赤いファイル取れ」とか言ってても感謝するよ。アンタのおかげで早く片付くのだから。
「その本は向こうの棚だ」言いながらハシゴを降りるカイト。最後の一冊くらいはと、本を片手にハシゴに足を掛けた私にカイトが何か叫び、振り向いた私は間抜けにも足を踏み外してしまった。
落ち――……あれ?
「あっぶねー…」
カイトに抱かれた自分に気づいた。
息遣いが耳元にあり、背中に密着した熱を意識した。
「うにゃーっ!?」
ワタワタとカイトから離れた。
「ご、ごめん!ありがとう!助かった!ありがとう!ありがとう!」
びびび、びっくりしたー!
「そのハシゴ、四段目が腐りかけてたんだよ」
「そそそ、そーなんだ!危な」
顔、あっつ、やばい。絶対真っ赤だわ、こんな顔カイトに見られたら末代までからかわれる!
「怪我ないか?」
ななな、なに!?カイトのくせに私を心配してくれるの!?
「ななな、ない、ないです!」
しまった。吃りすぎてる、落ち着けー!
「そうか、良かった」
はぁぁ?良かった??
信じられない言葉に、思わず振り返った私と目が合った瞬間、カイトは顔をそむけた。ありえないくらい真っ赤になっているカイトなんだけど……。
「な、なぁ、お前って……」
***
「アンー?アン、どうしたー?」
「っ!あ、いえ、なんでもないです!」
顔を覗き込むお師様に手を振り答えたけど、なんでもアリ過ぎて頭パニックなのです。
「アン?フォークではスープ、掬えないよ?」
「っ!あ、あははは、そですねー」
「アン、告白でもされたの?」
どっきーーん!
「なななっ」
なんで!?なんで、わかるのー!?
お師様はふわりと笑い、目を細めた。
「わかるよ、アンのことなら。子供のころからずっと一緒にいるんだから」
ひぃぃ!また心を読んでるように!お師様にはバレバレー!?
「で、誰?」
「あ、いや、」
「あぁ……カイト=ロウエンか」
ドッキーーーーン!
「ななななな、なんで」
ナゼにピンポイントで、カイトの名前が!?
「うん、におい、いや、子供のころからずっと一緒にいるんだから分かるに決まってるだろ?」
イヤーー!私ってそんなに顔に出やすいの!?お師様にバレバレ過ぎだよ!
再び、あの瞬間のカイトの言葉がリピートされた。
「な、なぁ、お前って……好きなヤツとか、いんの?」
「はぁ!?」
驚きすぎて固まった。カイトから出た言葉に固まった。
カイトは真っ赤な顔で眉間にしわ寄せた。
「好きなヤツいんのかって聞いたんだよ!」
なぜ怒って言う!?
「い、いないわよ!」
同じノリで返してしまったし。
私の言葉に一瞬緩んだ表情をしたカイトは、また眉間にしわ寄せて、立ち上がり、えっらそーに見下ろし、えっらそーに言い放った。
「なら、オレにしろ。好きなヤツが他にいないなら、オレと、付き合って、オレの、こと、好きに、なればいい」
「……は?」
「オ、オレは、お前がいい。いいな、い い な!」
「は、はい!」
勢いにつられしてしまった返事に、生まれた後悔はしかし一瞬で消えた。
ふにゃりとしたカイトの笑顔に、やられてしまった。
こんな表情、見たことないから。
オレ様すぎるカイトからの告白を思い出し、真っ赤になって頭を抱える私の耳には、お師様の声は届いていなかった。
「オレの半身に手を出すとは、いいど度胸だ……」
その夜、お師様はお仕事の依頼を受けているからと、陽が落ちたころに出かけて行った。
はぁぁー…
先日の実施学習の評価が戻ってきた。ドコにあるの? 私の類を見ない魔力……。
「そんな点でよく魔術師の弟子やってんなー」
「カイト! もう、見ないでよ!」
いちいち突っかかってくるのがコイツ。魔法学だけは上単位のカイト。
「ふん。先生が実施学最下位のお前に資料室の片付けをしろっての、伝えに来たんだよ」
さ、最下位~?
カイトの言葉に目眩が……。あぁ、お師様。私の類を見ない魔力はいつ表に出てくるんですか?
「だから、このオレも手伝ってやるから感謝しろよ」
ショックで話を聞いていなかったから何が“だから”なのかよく分からなかったけど、手伝ってくれるなら素直に感謝するよ。
「ありがとう、カイト」
「っ! お、おう……」
資料室の本棚は高く、ハシゴを昇り、片手でファイルをしまう作業は一人では時間かかっていただろう、感謝するよ。ハシゴの上からエラソーに「次赤いファイル取れ」とか言ってても感謝するよ。アンタのおかげで早く片付くのだから。
「その本は向こうの棚だ」言いながらハシゴを降りるカイト。最後の一冊くらいはと、本を片手にハシゴに足を掛けた私にカイトが何か叫び、振り向いた私は間抜けにも足を踏み外してしまった。
落ち――……あれ?
「あっぶねー…」
カイトに抱かれた自分に気づいた。
息遣いが耳元にあり、背中に密着した熱を意識した。
「うにゃーっ!?」
ワタワタとカイトから離れた。
「ご、ごめん!ありがとう!助かった!ありがとう!ありがとう!」
びびび、びっくりしたー!
「そのハシゴ、四段目が腐りかけてたんだよ」
「そそそ、そーなんだ!危な」
顔、あっつ、やばい。絶対真っ赤だわ、こんな顔カイトに見られたら末代までからかわれる!
「怪我ないか?」
ななな、なに!?カイトのくせに私を心配してくれるの!?
「ななな、ない、ないです!」
しまった。吃りすぎてる、落ち着けー!
「そうか、良かった」
はぁぁ?良かった??
信じられない言葉に、思わず振り返った私と目が合った瞬間、カイトは顔をそむけた。ありえないくらい真っ赤になっているカイトなんだけど……。
「な、なぁ、お前って……」
***
「アンー?アン、どうしたー?」
「っ!あ、いえ、なんでもないです!」
顔を覗き込むお師様に手を振り答えたけど、なんでもアリ過ぎて頭パニックなのです。
「アン?フォークではスープ、掬えないよ?」
「っ!あ、あははは、そですねー」
「アン、告白でもされたの?」
どっきーーん!
「なななっ」
なんで!?なんで、わかるのー!?
お師様はふわりと笑い、目を細めた。
「わかるよ、アンのことなら。子供のころからずっと一緒にいるんだから」
ひぃぃ!また心を読んでるように!お師様にはバレバレー!?
「で、誰?」
「あ、いや、」
「あぁ……カイト=ロウエンか」
ドッキーーーーン!
「ななななな、なんで」
ナゼにピンポイントで、カイトの名前が!?
「うん、におい、いや、子供のころからずっと一緒にいるんだから分かるに決まってるだろ?」
イヤーー!私ってそんなに顔に出やすいの!?お師様にバレバレ過ぎだよ!
再び、あの瞬間のカイトの言葉がリピートされた。
「な、なぁ、お前って……好きなヤツとか、いんの?」
「はぁ!?」
驚きすぎて固まった。カイトから出た言葉に固まった。
カイトは真っ赤な顔で眉間にしわ寄せた。
「好きなヤツいんのかって聞いたんだよ!」
なぜ怒って言う!?
「い、いないわよ!」
同じノリで返してしまったし。
私の言葉に一瞬緩んだ表情をしたカイトは、また眉間にしわ寄せて、立ち上がり、えっらそーに見下ろし、えっらそーに言い放った。
「なら、オレにしろ。好きなヤツが他にいないなら、オレと、付き合って、オレの、こと、好きに、なればいい」
「……は?」
「オ、オレは、お前がいい。いいな、い い な!」
「は、はい!」
勢いにつられしてしまった返事に、生まれた後悔はしかし一瞬で消えた。
ふにゃりとしたカイトの笑顔に、やられてしまった。
こんな表情、見たことないから。
オレ様すぎるカイトからの告白を思い出し、真っ赤になって頭を抱える私の耳には、お師様の声は届いていなかった。
「オレの半身に手を出すとは、いいど度胸だ……」
その夜、お師様はお仕事の依頼を受けているからと、陽が落ちたころに出かけて行った。
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