7 / 10
第1章 二人の出会い
マルカムとの戦い
しおりを挟む
ベルテの家は岩に囲まれた要塞のような場所にあった。
「じいちゃんの代からここに住んでいてね。今まで、攻撃されることはなかった。でももうダメかも。ガーフィールド一家に目をつけられたからね。連中の情報網は尋常じゃない。数日たたずにこの家を取り囲むだろうよ。そうなったらとっても二人では対抗できない」
そういいながら夕食の皿をテーブルに置くベルテ。ゆでたてのパスタから、白い湯気がふわりと立ち上る。
「おお......!」
テンションが上がる静。それを見てほほ笑むベルテ。
「今日のは特別だよ。トマト缶じゃない、生のトマトをペーストにして、とっておきのパスタにあえた。イタリア産のパスタさ」
そういいながら、ワインを取り出す。古びたコルク栓のホコリを払いながら、開ける。
「これもとっておき。父さんの遺産の一つさ。ヨーロッパ産の逸品だよ。静と最後の夜だし、いいよね父さん」
最後、という言葉に引っかかる静。思わず手がとまる。
「わたしだけ、出ていけということか」
|静かにベルテがうなずく。
「わかるよね。あいつらは多分徒党を組んでやってくる。いくら静が強くても、数にはかなわない。逃げて。あいつらが来る前に」
首を振る静。
「武士は逃げぬ」
「知ってるよ。中国の孫子。逃げるも兵法なんでしょ」
ぐぬぬ、と静はうめく。
「私は残るよ。この家は――」
そう言いながら、ベルテはテーブルの上をそっと撫でた。
「家族の思い出が詰まってる。爺さんも、父さんもここで死んだ。残されたのは大量の武器と火薬。それを捨てていくなんて考えられないよ」
「私もそうであった――」
静が語り始める。
「しかし内戦で負けた我々は、故郷に住むことを禁止された。そしてさらに雪深い辺地に強制移住させられたのだ。武士にとって土地は命より大事なもの。正直、自害するといった一族のものもいたようだが、うちのお爺さまがそれを止めた。『新しい故郷を作ればよい。皆が幸せになるような安住の地を見つけることができれば、そこが新しい故郷だ』と」
「だから静たちはこんなとこまではるばるやってきたんだね――」
そういいながらワイングラスをかたむけるベルテ。
そのあと二人は夜遅くまで飲み明かした――お互いの様々なことを語り合い――
次の日の朝方。
無数の人影が家を取り囲む。
男たちは手に手にいかつい武器を持ち、その目は血走っていた。
先頭に立つのは、当然ではあるがリーダーのマルカムである。
彼の指示に従い、ジリジリと距離を詰めていく。
その時、彼の頬をかすめる銃弾。
ニヤりと微笑み右手を上げる。
それが、合図だった。
一斉にベルテのアジトに飛び込み中を乱射する――
その刹那、大きな爆音とともに男たちはふっとばされる。
大きな火柱とともに――
「じいちゃんの代からここに住んでいてね。今まで、攻撃されることはなかった。でももうダメかも。ガーフィールド一家に目をつけられたからね。連中の情報網は尋常じゃない。数日たたずにこの家を取り囲むだろうよ。そうなったらとっても二人では対抗できない」
そういいながら夕食の皿をテーブルに置くベルテ。ゆでたてのパスタから、白い湯気がふわりと立ち上る。
「おお......!」
テンションが上がる静。それを見てほほ笑むベルテ。
「今日のは特別だよ。トマト缶じゃない、生のトマトをペーストにして、とっておきのパスタにあえた。イタリア産のパスタさ」
そういいながら、ワインを取り出す。古びたコルク栓のホコリを払いながら、開ける。
「これもとっておき。父さんの遺産の一つさ。ヨーロッパ産の逸品だよ。静と最後の夜だし、いいよね父さん」
最後、という言葉に引っかかる静。思わず手がとまる。
「わたしだけ、出ていけということか」
|静かにベルテがうなずく。
「わかるよね。あいつらは多分徒党を組んでやってくる。いくら静が強くても、数にはかなわない。逃げて。あいつらが来る前に」
首を振る静。
「武士は逃げぬ」
「知ってるよ。中国の孫子。逃げるも兵法なんでしょ」
ぐぬぬ、と静はうめく。
「私は残るよ。この家は――」
そう言いながら、ベルテはテーブルの上をそっと撫でた。
「家族の思い出が詰まってる。爺さんも、父さんもここで死んだ。残されたのは大量の武器と火薬。それを捨てていくなんて考えられないよ」
「私もそうであった――」
静が語り始める。
「しかし内戦で負けた我々は、故郷に住むことを禁止された。そしてさらに雪深い辺地に強制移住させられたのだ。武士にとって土地は命より大事なもの。正直、自害するといった一族のものもいたようだが、うちのお爺さまがそれを止めた。『新しい故郷を作ればよい。皆が幸せになるような安住の地を見つけることができれば、そこが新しい故郷だ』と」
「だから静たちはこんなとこまではるばるやってきたんだね――」
そういいながらワイングラスをかたむけるベルテ。
そのあと二人は夜遅くまで飲み明かした――お互いの様々なことを語り合い――
次の日の朝方。
無数の人影が家を取り囲む。
男たちは手に手にいかつい武器を持ち、その目は血走っていた。
先頭に立つのは、当然ではあるがリーダーのマルカムである。
彼の指示に従い、ジリジリと距離を詰めていく。
その時、彼の頬をかすめる銃弾。
ニヤりと微笑み右手を上げる。
それが、合図だった。
一斉にベルテのアジトに飛び込み中を乱射する――
その刹那、大きな爆音とともに男たちはふっとばされる。
大きな火柱とともに――
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ソラノカケラ ⦅Shattered Skies⦆
みにみ
歴史・時代
2026年 中華人民共和国が台湾へ軍事侵攻を開始
台湾側は地の利を生かし善戦するも
人海戦術で推してくる中国側に敗走を重ね
たった3ヶ月ほどで第2作戦区以外を掌握される
背に腹を変えられなくなった台湾政府は
傭兵を雇うことを決定
世界各地から金を求めて傭兵たちが集まった
これは、その中の1人
台湾空軍特務中尉Mr.MAITOKIこと
舞時景都と
台湾空軍特務中士Mr.SASENOこと
佐世野榛名のコンビによる
台湾開放戦を描いた物語である
※エースコンバットみたいな世界観で描いてます()
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
楽将伝
九情承太郎
歴史・時代
三人の天下人と、最も遊んだ楽将・金森長近(ながちか)のスチャラカ戦国物語
織田信長の親衛隊は
気楽な稼業と
きたもんだ(嘘)
戦国史上、最もブラックな職場
「織田信長の親衛隊」
そこで働きながらも、マイペースを貫く、趣味の人がいた
金森可近(ありちか)、後の長近(ながちか)
天下人さえ遊びに来る、趣味の達人の物語を、ご賞味ください!!
影武者の天下盗り
井上シオ
歴史・時代
「影武者が、本物を超えてしまった——」
百姓の男が“信長”を演じ続けた。
やがて彼は、歴史さえ書き換える“もう一人の信長”になる。
貧しい百姓・十兵衛は、織田信長の影武者として拾われた。
戦場で命を賭け、演じ続けた先に待っていたのは――本能寺の変。
炎の中、信長は死に、十兵衛だけが生き残った。
家臣たちは彼を“信長”と信じ、十兵衛もまた“信長として生きる”ことを選ぶ。
偽物だった男が、やがて本物を凌ぐ采配で天下を動かしていく。
「俺が、信長だ」
虚構と真実が交差するとき、“天下を盗る”のは誰か。
時は戦国。
貧しい百姓の青年・十兵衛は、戦火に焼かれた村で家も家族も失い、彷徨っていた。
そんな彼を拾ったのは、天下人・織田信長の家臣団だった。
その驚くべき理由は——「あまりにも、信長様に似ている」から。
歴史そのものを塗り替える——“影武者が本物を超える”成り上がり戦国譚。
(このドラマは史実を基にしたフィクションです)
日露戦争の真実
蔵屋
歴史・時代
私の先祖は日露戦争の奉天の戦いで若くして戦死しました。
日本政府の定めた徴兵制で戦地に行ったのでした。
日露戦争が始まったのは明治37年(1904)2月6日でした。
帝政ロシアは清国の領土だった中国東北部を事実上占領下に置き、さらに朝鮮半島、日本海に勢力を伸ばそうとしていました。
日本はこれに対抗し開戦に至ったのです。
ほぼ同時に、日本連合艦隊はロシア軍の拠点港である旅順に向かい、ロシア軍の旅順艦隊の殲滅を目指すことになりました。
ロシア軍はヨーロッパに配備していたバルチック艦隊を日本に派遣するべく準備を開始したのです。
深い入り江に守られた旅順沿岸に設置された強力な砲台のため日本の連合艦隊は、陸軍に陸上からの旅順艦隊攻撃を要請したのでした。
この物語の始まりです。
『神知りて 人の幸せ 祈るのみ
神の伝えし 愛善の道』
この短歌は私が今年元旦に詠んだ歌である。
作家 蔵屋日唱
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる