マカロニ・オブ・バックウィード

 乾いた風が吹く。
 埃っぽいこの世界――アメリカ西部。
 人々は金を求めて西へ西へと移動していった。たった数粒の砂金が数万の人間を西のかなたに呼び寄せたのだ。
 ――ゴールドラッシュからすでに半世紀がたとうとしていた。
 それまで何もなかった西部では開拓が進み、町が形成され、鉄路がそれらを結んでいった。
 かつてはカウボーイのみが、この大地を我が物顔に跋扈していた。大地を覆いつくさんばかりの牛の群れを率いる一団。ロングドライブと呼ばれるこの風景は西部の象徴でもあった。
 二十世紀もそろそろのこの時代、そういった「西部」的なものはだんだんとなりを潜めつつあった。有刺鉄線の普及により、草原は囲い込まれまた鉄道の発展は彼らの仕事を奪っていった。
 そのような変化が見られつつも、アメリカ西部はいまだに個人の能力が幅を利かせる、実力主義の世界であった。すでにフロンティアは西海岸に達したものの、開拓熱は冷めることはない。農民も悪党も、当然保安官も常に武器を持ち自らを守ろうとしていた。それはこの国の人民の権利なのだから。
 この西部で武器を扱う少女がいた。
 彼女の名前はベルティーナ=レヴァッキーニ。
 彼女は何のために、人々に拳銃やライフルを売り歩くのか。
 荒野のガンマンにして、死の商人。
 西部では『火薬のベルテ』と呼ばれていた。
 そんな彼女の前に、見慣れない風貌の少女が現れる。

 アメリカ西部の最後の輝きともいえる物語が始まる――
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