多分、、、風が、、、

海翔

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多分,、、風が、、、

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 6月の梅雨晴れに麻由と蒔田からバスに乗って横浜の山の手を散歩をすることにした。
20分も立つとバスは山の手地区に入り、坂道を登っていく。
 最初に降りたところが、山手イタリアン庭園で以前、外交官の内田邸で中に入っていくと、まさに洋館にふさわしい建物だった。
 小さな部屋がいくつもあり、昔の外交官の生活が感じられた。
 特に麻由はサンルームが気に入ったようで、ガラス窓に囲まれて家族のくつろぎの場だった。
「麻由はこういうところに住めたらいいね」と言った。
圭は「まさに夢の夢です」と言って笑っていった。
 各部屋を回って、庭の庭園に出たら、洋風の庭園で、いくつもの花が咲き乱れていた。
そこから元町公園の中にあるベーリック・ホールに向かった。
門をくぐり左側に向かうと白い紫陽花が満開になっていた。この時期に一番冴える花だった。
 途中途中に椅子があり、麻由と二人で椅子に座り風景を眺めていた。
圭は「ここだけ別世界にいるようだね」と言った。
麻由も「何か外国にいるような錯覚に陥ります」そこから、道沿いに歩いて港の見える丘公園にやって来た。
 先に行ってみると横浜の港が良く見えた。その公園の左側には公園があり、紫陽花が満開になり大きな花をつけていた。
特に目についたのは、ユリの花だった。束になって、花を咲かしていた。そこにカメラをもって写真を撮っている女性がいた。
 何処か見たことがある女性で近付いて見たら、美佳子だった。
圭は「美佳子偶然だね」と言ったら、
美佳子は「圭、、麻由も一緒なの、、、」
「うん、麻由と横浜に遊びに来たんだ」
 そこに佳乃、さとみ、雄介、淳一が集まってきた。
雄介は「よーお二人さん仲良いですね」と冷やかした。
それを聞いて、麻由は顔を赤くした。
 美佳子は「みんなで集まって横浜に来たの。これから中華街に行くのだけれど、どうですか?一緒に中華街にいきませんか?」そう言われ、
 圭は「今日は麻由と時間を過ごしたいので改めてお願いします」と言って5人と別れた。
 そこから二人は横浜に出てハンバーグの美味しい店に行った。
結構、人気があるのか?1時間ほど待たされてやっと、食べることができた。待たせるだけあってなかなか美味しいハンバーグだった。
麻由も「またここに来たいですね」と話した。
二人はその後、みなとみらい駅の近くにあるホテルに向かった。圭はフロントで手続きをして、1008号室の部屋に入った。
 部屋に入り、荷物を置いて窓のカーテンを開けたら横浜の港が良く見えた。観覧車が大きな円を描き回っていた。圭は麻由を抱きしめて、口づけをした。
麻由は久しぶりに圭に抱かれ、窓の外の風景に酔いながら抱擁を続けた。
 圭の手が麻由のブレザーに手がかかった頃に麻由は「シャワーを浴びてきたい」と言って浴室に消えた。
 圭は一人残されて、窓のカーテンを閉めて、着ているものを脱いでバスローブに着替えた。
 そこに麻由がバスタオルを腰に巻いて出てきたので、圭は入れ替わり浴室に向かった。
浴室では頭からシャワーを浴びて昼間の汗を流した。
浴室から出ると麻由はバスローブに着替え、窓から外の風景を眺めていた。圭は後ろから麻由を抱き締めて、手を腰にあてながらベッドの方に進んでいった。
 そして、着ているバスローブを脱ぎ二人は裸になってベッドに横になった。圭は麻由を抱いて口づけをした。もう、麻由を抱いて5、6回になる. 初めこそぎこちない感じだったが、今ではお互いに求め合う気持ちを大切にして愛し合っているので徐々に快楽も増していった。
 麻由の性感帯を刺激しながら徐々に興奮をさせて悶えてくるのを待っていた。
指先がクリトリスを刺激した頃からだんだんと麻由の態度が変わって来た。体勢を変えて麻由に刺激してもらいペニスが勃起した頃に麻由をよつん這いにしてバックから膣に挿入して体を動かしていったら、激しく悶え「もっと奥に、、、奥に、、、」と声を張り上げた。圭は3浅1深を繰り返し、麻由は「体が壊れる、、壊れる」と声を張り上げて力を落とし、二人は布団の上に倒れた。
 麻由から離れると膣からは圭の精液が溢れ出してきた。
それを圭はティッシュで拭き取って、自分のペニスも拭き取ってゴミ箱に捨てた。
 さすがに疲れたのか、奈由は裸のまま圭の腕まくらにスヤスヤと軽いイビキをかいて寝てしまった。ふっと、圭は麻由の寝顔を見てかわいいと言う気持ちになれた。いつか麻由を自分の妻に迎えたいと思っていた。そんなことを考えながら眠りについた。

 翌朝は風呂場で音がして目が覚めた。
圭は裸のまま音のする方に向かってみたら、風呂場の中でも裸のまま倒れていた麻由を見つけて、それを抱き寄せてベッドに連れて行った。
 しばらくして麻由は目を覚ましたが、どうも立ちくらみのようだった。元々麻由は低血圧だったこともありその可能性が強かった。
 二人は着替えてホテルを後にして、家に帰った。
途中、麻由は町医者に寄って見てもらったら、立ちくらみとわかり、家で休むように話して別れた。

 翌日の昼に大学に行ったら、先日会ったメンバーに会い、美佳子は「今日は麻由は居ないの」と聞かれ「会ってないが」と答えた。
気になって麻由に電話したら「体調が良くないので大学は休みにした」と言われた。圭は「無理をしないで過ごしてください」と言って電話を切った。
 午後一番の授業は美佳子以外の4人が出席した。
美佳子一人残されたので話してみたら「あの日港が見える丘公園でいろんな花を撮っていたんですが、元々は写真が趣味でこの秋からいろんな所に作品を出してみようかと思っていたの。今回は人物とか花とかを撮ってこの作品を出品しようか考えていたの」
圭は「撮るのにどんなのが難しかったの」そう聞いたら「やはり人物ですね。いろんな表現があるんだけど、これはというのはなかなか巡り会えないですよ」
「この間はさとみちゃんにヌードのモデルになってもらったんだけど、固くなってしまいうまく撮れなかった」
「日を改めて雄介さんにもモデルになってもらったんだけど、お互いが照れてうまくいかなかったの」
「異性だとどうしても興奮してしまい男性の自然の姿が撮れないの、それで今度、佳乃ちゃんにモデルになってもらうんだけど、もう少し時間をかけてゆっくり撮ろうかと思うの」
「やっぱり、女性のヌードにこだわりたいの。確かに男性にない女性の曲線美は芸術ですからうまく撮れたら感動ものですね。だけど、佳乃ちゃんヌードになってくれるかな、、、そこが問題なんです」
「さとみちゃんの時はセミヌードだったんだけど、そこまで持っていくのが大変だった。佳乃ちゃんには是非とも全裸を撮りたいのだけどOK取るかが大変」
圭は「上手く理解してくれたらいいね」と言った。
圭は次の時間に授業に出るためここで別れた。
 美佳子はその日の夜に佳乃と会い話を進めた。
 圭は授業を終えて家に帰ってきたところに電話があり、麻由のお父さんから電話があり「実は麻由は心臓に重い病気を持っていて長くは行きられない状態で、生きている間に思い出をたくさん作ってやりたくて君に電話をした」
 それを聞いて圭は頭の中が白くなってしまい、どうしていいか判断できなかった。だが、何とか落ち着いて父親の話を聞いて電話を切った。圭はその日は何もやる気がおきずベッドに横になっていた。
 そこにLINEで麻由から「元気ですか?」とメッセージが送られてきた。圭はそれを見て「元気だよーーー、麻由は体調良くなったの?」とメッセージしたら「徐々に良くなったよ」と返事が来た。
「明日には圭に会えるかも、、、」圭はひとまず安心した。

 翌日、麻由に会ったら思っていた以上に元気だったことに安心した。圭はここ数日会えなかった間に起きたことを話してやった。
 最近精力的に活動している美佳子さんについても麻由は興味をもった。
 麻由は「美佳子さん佳乃さんからモデルの件OK取れたら良いですねと私だったら、綺麗に撮ってくれるならOKしちゃうな、、、」
それを聞いて、圭は「うん、麻由は綺麗だから絵になるよね。自分が麻由の姿を撮ってみたいですよ」
 そういったら、麻由は「できれば私、圭に私のすべてを撮ってもらいたい」
圭は「麻由がいいといってくれたらぜひ撮らしてください」
麻由は「他の人に撮ってもらうより圭なら大歓迎」そういって週末に撮らせてもらうことにした。

 大学が夏休みになり家で昼食後、圭の家に麻由が来た。
麻由は「今日は圭に私のすべてを撮ってもらいたいの、これは私と圭との思い出にしたいので誰にも見せないでね」そう言われ「うん、わかった」
 そういって、麻由はバスタオルを持って浴室に消えた。
その間に奥の部屋を撮影用にスペースを作りいつでもできるようにした。10分もしたら麻由は胸にバスタオルを巻いて出てきた。
 そして、そのバスタオルを取って全裸になりポーズを撮った。
今まで何度か麻由のヌードは見てきたがカメラの中から見たヌードは今までに見たことがないほど綺麗なヌードだった。
 圭は何も考えずただ一新してカメラのシャッターを切っていった。そして、50分ほどですべて撮り終えた。
 圭にとってはこれ程満足の出来た写真は今後撮れないだろうと思った。
撮影が終わり、圭も裸になり麻由を抱き締めた。
そして何か熱いものを感じた。麻由も目頭を熱くしてふっと、涙を流していた。
 「圭さん、私の父から聞いたでしょ、私の命が短いことを、、、私、心臓に欠陥を持っていてそう長く生きられないの、だから生きている限り、精一杯、圭を愛したいの、だから、こんな私を最後まで見守ってほしいの」そう言われ圭は涙を流して「うん、うん」と答えた。
 そして、麻由を抱き締めて愛を確かめ合った。

 翌日の昼頃、美佳子から電話があり「佳乃ちゃんがモデルになってくれると言ってくれた。7月の下旬に新島に行くことにしたんだけどみんなでいきませんか?」
「いつものメンバーで行きたいので」
そう言われ圭は「麻由にも聞いて返事を聞いてから連絡します」と言って電話を切った。
麻由に連絡したら参加したいと言うことで美佳子に連絡したら、女性が4名、男性が3名の7名で行くことになりましたと連絡が来た。
そして、この旅行が麻由との最後の旅行になった。

 7月の下旬の夕方に竹芝桟橋にみんな集合した。7人もいるといろんな話が出てきて話がつきなかった。みんなの割り当てでお酒とかおつまみをたくさん買って船で食べることにした。
 美佳子は「今回、3泊の旅行でよろしくお願いします」と話して「1泊は船の中で2泊が新島の民宿です。
途中、朝一番で女の子だけで出掛けますが、その時は男性の方はご遠慮下さい。私個人の製作活動をしたいのでお願いします」と話した。
男性は「了解した」と話した。
 船に乗船して、さっそく、ビールで乾杯をして食事をした。
みんな普段話さないことを気楽に話した。淳一は酒に酔った勢いで「佳乃が好きだー」と言ったので佳乃ちゃんは照れて真っ赤な顔になってしまった。
 それに乗せられて雄介も「美佳子が好きだー」と叫んでしまった。
美佳子さんも「そんなー恥ずかしい」と言って、手で顔をおおってしまった。
 そんなこと言いながら新島へと向かっていった。途中、圭は麻由を連れて甲板に行ったら、海面を見ていると飛び魚が群れをなして飛んでいた。圭はこんな日がいつまでも続くことを期待した。

 明け方になり、大島から徐々に下船して行き、やっと、新島に着いた。そこから民宿につき、部屋割りをした。
 下の階に男性、上の階に女性と決め、荷物を置いてさっそく水着に着替えた。民宿の前で待っていると、4人の女性が色とりどりのビキニの水着に着替えて出てきた。それを見て男性は目がうっとりしてしまった。
 圭は麻由の水着姿はこれが見納めかと思うと胸が熱くなってしまった。
7人は、まずは腹越しらいということで近くのレストランで昼食を取り、そのまま泳ぎに行った。
 海は透き通って底まで見えていた。そこにみんな飛び込んで泳いでいたが女性のビキニの胸の方が時たま取れ掛かって男性はヒヤヒヤしていた。そして、夕方まで遊んで民宿に帰ってきた。
 そこでシャワーを浴びて、水着を洗い、部屋に干してから夕食を食べに食堂にやって来た。
 そこで食事をして、夜はみんなで花火をして時間を過ごした。
 翌日は朝早く美佳子さんと佳乃ちゃんさとみさんの3人は民宿の自転車を借りて島の反対側に出掛けていった。
もちろん、圭は何をするか知っていた。美佳子さんの秋の作品作りだった。
 太陽が登り、誰もいないことを確認して、佳乃ちゃんが全裸になりポーズを撮った。それを美佳子さんがカメラに納めた。
 太陽に向かって大胆に見せるポーズとか、海の中で裸で戯れるポーズとか、大胆な写真を撮った。それを見ていたさとみさんも全裸になりポーズを撮って、2人のヌードを撮ることが出来た。
 撮り終わると3人は裸になって海で泳いで民宿に帰った。その頃にみんな起き出して、朝食にした。
 今日も昨日と同じく海で遊んで一日を過ごした。圭はこんなにも元気な麻由を見てもっといろんな所に行きたくなった。麻由は近くに圭が居るだけで幸せだった。
 夜はみんなで花火をして楽しんだ。楽しい時間は過ぎるのが早く、明日ここに立つ日だった。各自、お土産を買って民宿に帰ってきた。麻由は圭に顔の写真をいれることができるキーホルダーを買ってあげた。圭も同じものを買ってそれを麻由にあげた。
 帰りの船で美佳子と一緒になったので「撮影上手くいきましたか?」と聞いたら、美佳子さんは「思っていたよりも作品が上手く撮れて満足しています」と返事が来た。
 「現像したら見てくださいね」と言った。
 船が竹芝桟橋近くなりニニー・ロッソのトランペットの音楽で船が下船が近いこと知らせ、帰り支度をした。
 着いてから現地解散で圭は麻由と一緒に家に向かった。
麻由はこのまま圭と別れるのが寂しくて夕食を食べて圭の家に行った。家についてから二人でシャワーを浴びて、汗を拭き取って、麻由は圭に抱きついた。
麻由はこの世が終わってしまうのかと思うほど激しく圭を求めた。そして、二人は激しく愛し合った。
 10時を過ぎた頃に麻由は身支度をして、自宅に帰った。

 それから2日後の明け方になり、麻由の父親から電話があり、麻由が亡くなったことを知らせてくれた。
圭は一目散で麻由の家に行き麻由に会った。
麻由は寝ているようですごく綺麗な顔をしていた。
9時を過ぎた頃に美佳子、佳乃、さとみそして、淳一、雄介に連絡するとみんな驚いて飛んできてくれた。そして、亡骸を見て涙した。
「麻由はみんなに慕われて父として誇りだった。皆さん最後までありがとうございました」そういってまた涙した。
 そしてその後、葬式を行い荼毘に伏せた。

 それから1週間後、圭の元に麻由の父親から「君に手紙を託された、取りに来てくれないか」と電話で言われ、麻由の家に伺った。
圭は父親から手紙をもらい家でそれを読んだ。
 圭様
 短い人生でしたが、あなたに出会えて麻由は幸福でした。
どんな時でも、身近に圭がいてくれたので、安心できました。
 私がこんな病気になっていなければ、間違いなく圭と結婚していたでしょう。
でも、私は幸せです。
あなたに支えられた人生だったから、
これからは、新しい人にめぐりあって幸福な人生をつかんでください。            麻由                                                                                                                                           
 
所々に麻由の涙の後が残り、それを読んでいる圭も涙を流して読み終えた。

 あれから1年が経ち仲間と麻由の墓参りをした。
麻由のお墓は海の近くで、墓参りを終えて海を見ていたら、ふっと、麻由の顔が浮かんできた。
麻由の笑顔がありがとうと言って風と共に消えていった。
 
 美佳子は多分、、風が、、、呼んだのかも、、、
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