曼殊沙華が咲くころに、、、

海翔

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曼殊沙華が咲くころに、、、

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 この時期になると、彼女の部屋に咲いていた一輪挿しの曼珠沙華を思い出します。あれは5年前のことだった。 
 
鎌倉の英勝寺を訪ねたときに、庭の曼珠沙華にうっとり見とれていた女性がいた。 
 
それが彼女だった。 
 
 私はその女性に「鮮やか花ですね」と言ったら、 
 
その女性は「どこか寂しい花ですよ」と答えた。
 
「あの、私、片桐健一郎といいます。学生です」 
 
「藤野真利子といいます。この地元に住んでいます」 
 
「健一郎さんは鎌倉には良く来ますか?」 
 
「この時期は初めてです。このように曼珠沙華が咲いているところはなかなかないですから」 
 
「また、この花が咲いてる時に一人で来たくなりました。 今日は大学のサークルで来たので、また会えるといいですね」 
 
「そうですね」 
 
真利子は「今度一人で来るときは連絡ください。道案内してあげますよ」 と言った。
 
「そうですか。その時はよろしくお願いします」そう言って、真利子さんとアドレス交換をした。 
 
そこに、大学のサークルのユカが呼びに来た。 
 
健一郎は真利子さんに「次回よろしくお願いします」といって別れた。 
 
 ユカに呼ばれて、通りに出たら、沙耶香と恵美と翔太が待っていてくれた。 
 
ユカは「健一郎さんきれいな女性と色々話していたけどどんな話していたの?」 
 
健一郎は「あそこに咲いている曼珠沙華が鮮やかだなと、それと、今度来たときに道案内してくれるというので頼んできました」 
 
沙耶香は「ずるいー一人で道案内頼んで、、、」そういったらみんな沙耶香に注目した。 
 
健一郎は沙耶香とは幼稚園から一緒で一番身近にいる女性だったので今では兄妹みたいな関係が続いている。 
 
ある意味なんでも話している仲でもあった。 
 
 その日の夜に真利子さんに今日出会えて良かったです。 また会いましょう。 
 
そうメールをしたら、暫くして、 
 
真利子さんから再会できるのを待ち望んでいますとメールが返ってきた。 
 
 早速、健一郎は翌週の水曜日に真利子さんと会うことにした。 
 
水曜日の昼頃に鎌倉の駅で真利子さんと会った。 
 
そのまま昼食を取り、杉本寺、報国寺と回り、喫茶店でコーヒーを飲んだ。 
 
杉本寺は鎌倉で一番古い寺で、報国寺は竹の寺で有名だった。 
 
真利子さんも少し歩き疲れたようなので散策はこの位にした。 
 
真利子さんから「私の家この近くなので寄って来ませんか?」と言われ、 
 
「そうですね」と言って寄ることにした。 
 
 部屋に入ってみると、独り暮らしと言うこともあり、落ち着いたきれいな部屋だった。 
 
机の上には一輪挿しで曼珠沙華が飾られていた。 
 
「家族はここから5分のところに住んでいます」
 
「一人で生活したかったので、親に頼んでここに決めました」健一郎は、その日はお茶を飲んで、
身の上話を話して家に帰った。 
 
 その週の週末に真利子さんから一人でいると寂しいので、健一郎さんに会いたいとメールがきた。 
 
健一郎は土曜日の朝にメールで北鎌倉で待ち合わせを約束した。 
 
 昼過ぎに北鎌倉に着いたが曇りで寒い日だった。 
 
二人は食事をしてから真利子さんの家に行く予定にしていたが、店を出る頃に雨に降られ、
 
真利子さんの家に着いたら、下着までびっしょりに濡れてしまい、真利子は至急、風呂場に案内をしてくれて、
 
シャワーで体を暖めてからスエットを着るように用意してくれた。 
 
健一郎はすぐさま着ているものを脱いで、温かいシャワーを浴びていたら、
しばらくして、扉が開き、真利子さんも裸になって、シャワーを浴びに来た。 
 
健一郎は突然のことでビックリしたが、 
 
真利子は「私も一緒に入れてください」と言って中に入ってきた。 
 
健一郎が初めてみる真利子さんのヌードは新鮮に感じられ、スリムな体を惜しみ無く披露した。 
 
 二人で体を暖めてからバスタオルで拭いてベッドの部屋に向かった。 
 
真利子さんは明かりを暗くして、バスタオルを取ってベッドに横になった。
健一郎もバスタオルを取って、真利子さんに口づけをした。 
 
真利子は健一郎に「優しく抱いてください」と小さな声で囁いた。 
 
 真利子さんの乳首を指先で摘まむと切ない声が漏れてきた。それほど大きくはない乳房を揉みながら、
少しずつ興奮の渦の中に導いた。 
 
舌先が性毛を振り分けて、クリトリスに進んでいくと、切ない声が真利子さんの口から漏れてきた。
膣は興奮が高まるにつれ愛液で濡らしていった。 
 
健一郎は一つになろうとしたら、体をそらしたので、健一郎は「初めてですか?」と聞いたら、
真利子は「はい」と答えた。 
 
「少し我慢してください」そう言って、再び、膣への挿入を始めた。 
 
ゆっくりと入れて、体を動かして射精間近で外に放出した。 
 
真利子の瞳には一筋の涙の後が残った。 
 
二人はシャワーを浴びて、裸のままベッドで健一郎に抱かれたまま真利子は寝た。 
 
 
 
 翌朝、健一郎はシャワーの音で目を覚まし、そのまま浴室に入った。 
 
健一郎は「おはよう、良く寝ることできましたか?」そう聞いたら、真利子さんは、「はい」と答えた。 
 
二人はシャワーを浴びて、キスをしながら抱き合った。 
 
真利子は髪を濡らし、流れ落ちるシャワーに何か新鮮なものを感じた。 
 
バスタオルで体を拭いて、健一郎は真利子を抱き締めた。そして、二人はベッドでその余韻を楽しんだ。 
 
 昼過ぎに健一郎は濡れていた服が乾いたので、服を着て大学に向かった。 
 
大学に行くと翔太と恵美が学食を食べていた。「他のみんなは」と聞いたら「授業では」という返事だった。 
 
ユカと沙耶香がこちらに向かって歩いてきた。 
 
健一郎は「今、大学に着いたんだ」 
 
ユカは「今まで何していたの?」と聞いたら、 
 
「鎌倉に行っていた」 
 
「もしかしてこの間の女性のところに行っていたの?」 
 
「うん、夕方、雨に濡れてびしょびしょになってしまい、、、」「それで彼女の家に行った」 
 
健一郎は「これから授業出席してくるよ」と言って、みんなと別れた。 
 
ユカは「健一郎と彼女に何かあったのかな」と推測した。 
 
沙耶香は、健一郎が何となく離れていくようで、気が気でなかった。 
 
暫くして、翔太と恵美は、授業に出るために二人と別れた。 
 
 
 
 あれから一月がたち、真利子さんとは、時たまメールの交換をしながら、お互いの愛を育んでいた。 
 
その月の月末に久々に会いたいということになり、鎌倉で待ち合わせをした。 
 
駅に着いたら、そのまま江ノ電に乗り換えて、海を見に行った。 
 
晩秋の海は穏やかで静かな波の音がした。 
 
健一郎は「こんな静かな時間を過ごせるのもいいですね」と真利子さんに言った。 
 
真利子は「海を見ているとやなことがみんな忘れ去られるようで海を見ているのが好きなんです」そう言って、

静かな海を眺めていた。 
 
1時間ほどそこにいたのか、 
 
 その後、真利子さんの家に行き、二人は一月ぶりに抱擁をした。 
 
そして、着ているものをすべて脱いで、二人は愛を確かめあった。 
 
前よりも激しく求めあいエクスタシーを迎えた。 
 
そして、二人は結合した状態で、ベットのなかで余韻を楽しんだ。

しばらくして、真利子さんは裸のまま浴室に入った。 
 
が、ガタンという鈍い音がしたのでそちらにいってみたら、真利子さんが体を下にして倒れていた。 
 
至急、バスタオルで拭いて、ベットに移動させたが、 真利子さんの顔色が青くなり息も絶え絶えだったので、

苦しそうだったので119番に電話して緊急入院をさせた。
 
 そして、携帯で親族に連絡して病院に来てもらった。 
 
真利子さんの父親は「ここは私たちが見ますのでひとまず帰ってください」というので

両親に任せて健一郎は家に帰った。
 
 
 後日、父親から電話で「真利子の病状は癌で余命数ヶ月」ということを聞かされた。 
 
「ただし、その事は真利子は知らないので、言わないでもらいたい」と言われた。 
 
健一郎はいきなりの凄いショックを受けて、立ち上がることができなかった。 
 
 しばらく病院で真利子は入院して、体調が良くなったところで健一郎に元気になったことを電話で伝えた。 
 
健一郎は「あの時は心配したよ、もう安心なんだね」と言った。 
 
真利子は「週末に健一郎さんに会いたい」と言ったので、
 
健一郎も週末には鎌倉に行く約束をした。 
 
 週末になり、真利子の家に行ったら、曼珠沙華の花が飾られ、手料理で迎えてくれた。 
 
そして、二人でその料理を一つずつ食べていった。 
 
家のことや入院中のことなどを話しながら時間を過ごした。
 
 夕方になり、夕日が部屋の中に差し込んだときに健一郎は真利子に「君の裸が見たい」と言ったら、 
 
真利子は何も言わずに着ているものをすべて脱いで、「私きれいですか?」と聞いてきた。 
 
スリムな体でそれほど大きくはないバスト、、、

健一郎は「妖精みたいだ」と真利子さんに言った。 
 
そして、健一郎も着ているものをすべて脱いで、ベッドの部屋へと移動した。 
 
 真利子さんを抱き締めて、キスをして、その体温を自分のものにしようと強く抱き締めた。 
 
指で乳房を揉みながら、乳首を唇で吸った。 
 
その瞬間に真利子は悶え始めた。 
 
そこから舌先を膣へと移動しながら、刺激を加えていった。 
 
真利子さんは激しく悶え、そして逝った。 
 
健一郎もその後を追って逝った。 

 
 その後、二人は深い眠りについた。 
 
翌朝、二人はシャワーを浴びて、朝食を食べて、健一郎は家に帰った。
 
 
 そして、健一郎が元気な真利子を見たのがこれが最後となってしまった。 
 
 3日後、真利子の父親から電話をもらい「今日の明け方に真利子が亡くなった」ことを知らされた。 
 
健一郎はガックリと肩を落とし、その後の父親の言葉を待った。 
 
「葬式後、真利子から君に渡してもらいたいと言われてある手紙があるので、取りに来てもらいたい」 
 
そう言って、電話が切れた。 
 
 後日、真利子さんの両親に会い、その手紙を受け取りに行った。 
 
帰りの電車の中でその手紙を開けてみた。 
 
  健一郎さま 
 
 私が癌であり、余命が短いことは知っていました。 
 
せめて、短い余命の中で自分の満足できることをしたくて、健一郎さんに出会い、
 
その中で、人を愛するということを健一郎さんから沢山学びました。 
 
短かったけど、私には悔いのない人生でした。 
 
今までありがとうございました。   
                          真利子 
 
 
 健一郎はその手紙を読みながら、大粒の涙を流していた。 
 
 
 
 電車の窓から見た鎌倉の海は、今日も静かな波だった。 
 
健一郎は帰りに曼珠沙華の花を買って、部屋の隅に飾って、真利子さんを忍んだ。 

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