【R18版】悪堕ち王子の快楽ダンジョン、女冒険者を帰さない ~エロゲの悪役に転生した俺、ひっそりスローライフを送りたいだけなのに美少女たちが

タイフーンの目

文字の大きさ
10 / 47
1:悪堕ち王子~メデューサ~村娘

第10話 お前っていつまで経っても子どもだよな

しおりを挟む

 ■ ■ ■


 ダンジョンを無事(?)に脱出した村娘は、軽やかになった足取りで睡眠も取らずに自分の村に帰り着いた。

 その姿を見つけた父と母は、

「おお! よかった無事だったか!」
「心配したのよ!? 隣町におつかいに行っただけなのに、ずっと帰って来なくて!」
「ごめんなさい、道に迷ってしまって」

 彼女がいなくなって、村はちょっとした騒ぎになっていた。
 帰還を聞きつけた村長も家にやって来て、

「ほぉ、帰ったか! 今日も帰って来なければ冒険者にでも捜索依頼を出そうかと思っておったんじゃが」

 うんうんと頷き、安堵の声を漏らす。
 村娘は頭を下げて、

「心配をかけてすみませんでした、村長さん」
「そうだわ」

 母が言う。

「あの子もあなたのこと探し回ってくれたのよ、昨夜も遅くまで。一度家に戻って、今日も探しに出るって言ってたから。顔を見せて安心させてあげなさい」

 あの子。
 幼なじみの彼だ。

 母に言われたとおりすぐ隣の家を訪ねていくと、ちょうどドアが内側から勢いよく開かれて、

「――――っ!? 無事だったのか!?」

 彼だ。
 村娘の顔を見て目を丸くしている。

「ああ! 夢じゃないんだ! 無事で良かったよ!」

 村娘のことを抱きしめそうな勢いで駆け寄ってくるが――直前で、ぐっと踏みとどまる。

「ご、ごめん、こういのはまだ早いよな……ははは」
「そ、そうだね」

 2人の距離は、思春期に入ってからずっとこうだ。

 でもこれでいい。今の関係を壊したくないし、大人になれば――もう少しすれば、きっと自然と結ばれるだろうから。

「夜通し探してくれたって聞いたよ。ありがとうね」
「そんなの当然だろ。お前のためなら俺、なんだって」

 ああ、帰って来て良かった。
 あのまま、あんな所にいたら――……

 ……いたら?

 暗くて恐ろしい迷宮に囚われ続けていたら、どうなっていただろう? そうだ、きっと今頃もあの怪しい器具に足を揉まれて、悶えていたに違いない。

(あんな気持ちいいこと――)
 
 ふいに、両足にゆうべの疼きが蘇ってきた。
 涙を流すほど気持ち良かったマッサージ。
 彼の顔を忘れてしまうくらいに没頭してしまった。
 それも、彼が自分のことを探してくれているあいだに――

(私、知らない人にリンパ流されちゃったんだ……)

 胸がドクドクと鳴って、頭がぼうっとしてくる。

(あの『看板さん』にいっぱいしてもらって。私……何度も何度も求めちゃって……)

 裸足になるだけで気持ち良かった。ぎゅっと揉んでもらえると体の芯まで震えた。ぐいぐいと足裏を押しほぐすあの動き。
 そしてあのドロドロした液体は、体の隅々にまで癒やしてくれた。
 
「どうした、顔が赤いぞ? もしかしてどっか悪いのか」
「ち、違うのっ!」

 避けるような村娘の態度に、彼は少し面食らったようだ。
 取り繕うように村娘は、

「そ、そうだ! 昨日ね――」

 あのダンジョンの存在をみんなに伝えるべきだろう。自分は無事に帰って来られたが、危険な場所には違いない。
 冒険者ギルドにでも訴えて、奥深くまで調べて危険を排除してもらうべきだ。

 道もしっかり覚えている。
 一度迷ったのが不思議なほど……今なら記憶の中でもたどれるほど道程は鮮明に覚えている。


 いつでも、行ける――


(次もまたしてくれるって、あの人・・・は言ってた)

 顔も知らないあの人。
 底の知れない快楽を教えてくれた人。
 男性か女性か、人間なのかすら分からないけれど。

(しゃべるなって言われたし……。そうだよ、約束を破るなんていけないことだよね?)


「なんだよ、道に迷っているあいだに何かあったのか?」
「う、ううんっ!」

 慌てて首を振る。

「夢……! そう夢、ゆうべ寝ているあいだに変な夢見てね、ただそれだけの話!」
「そんな状況でスヤスヤ眠ってたのかよ? まったく。お前っていつまで経っても子どもだよな」
「……そうだね。あはは……」

 もう子どもじゃない。なくなってしまった。彼に言えない秘密を持ってしまった。彼にも、家族にも絶対に言えない……。

「今日は疲れちゃったから、もう帰るね」
「そうか?……あ」

 今度は彼がソワソワし始める。

「そういやさ、前に約束したの覚えてるか?『農作業で疲れたら肩揉んでやる』って。何なら、今それ――」
「ごめん」

 自分でも驚くほど静かな声が出る。

「ごめんね。今日は大丈夫かな」
「そっ、そうか。悪いな疲れてるところ」

 気まずそうにする彼に背を向け、彼女は小さく、

「…………。こんな子になっちゃって、ごめんね」

「ん? なんて?」
「ううん、なんでもないよ。じゃあね」
「あ、ああ。また明日――」
 
 彼の声を背中で聞きながら、村娘は歩き出した。

 家に帰ろう。
 今日は。
 今は。

 ――だって、あそこ・・・にはいつだって行けるんだから。

 彼女は笑った。誰にも気づかれないように笑った。
 足取りは、どこまでも軽やかだった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...