処刑前夜の令嬢

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二人のアーヤ その4

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「本当に美しいのは、戦いに敗れた兵士の横顔だ……」

 ストレプトは指揮を執るため、最前線でシエラがやってくるのを待っていました。

「シエラは……間もなくやってくる。手出しはするな……」

 ストレプトはシエラが一人でやってくることを知っていました。1人相手に複数で戦うというのは、ストレプトのプライドが赦しませんでした。

「お言葉ですがストレプト様……」

 側近の武将がストレプトに意見しました。

「シエラは私たちの民を殺しました。一人の敵とは言え、その体躯には数多の血が刻まれています」

「だから何だと言うのだ?」

「私は……イズールの民として、シエラを葬りたいのです」

「お前たちの願いは分かっている。イズールの民を代表して、私が鉄槌を下す。これでは不満かな?」

「いいえ、そんなことはありませんが……」

「それとも、私がシエラにやられるとでも思っているのか?私一人では勝てない、と?」

「滅相もございません。ただ、私の意志として……」

「分かった。もう下がっていいぞ……」

「はい……承知しました……」

 シエラやレジスタンスにしてみれば、ストレプトは欺瞞に充ちた独裁者でした。しかしながら、ストレプトには彼なりの正義と強さがありました。側近が何と言おうと、ストレプトが欲する正義に適わなければ、聞く耳を持ちませんでした。

「シエラ……来るか!」

 森の静寂を掻き消すように、銃声が轟きました。

「私が直接言ってもダメか……」

 シエラは必ずやってくる。ストレプトは確信していました。
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