子供王子を誘拐してみた

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ロリコン令嬢

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 下級貴族である私が王族に恋をすると言うのはやはりダメなのだろうか?

 貴族の恋、あるいは結婚というものは、大方政略に従わざるを得ない。王族の結婚相手というのは、他国の王族と決まっている。だから、私がいくら恋をしても叶うはずがない……。

 それでも……。

「王子様……お人形のように小さくて可愛らしい王子様……抱きしめたいな……」

 今の時代の言葉を借りれば、ロリコン、ということになる。私は人形のような子供に目がないのだ。男の子でも女の子でも、どちらでもいい。

 目をキラキラ輝かせて、お姉さま、と呼ばれる妄想を広げると、一日中、一晩中大変である。

 叶わない恋に打ちひしがれて、つまらない人生を送るのであれば、いっそここで、人生の賭けというのをやってみようではないか!

 王子様の行動パターンは大方把握している。普段は御城の中にいらっしゃるのだけど、日曜の礼拝は欠かさない。つまり、私の住処のすぐ隣にある寺院にいらっしゃるのだ。

 狙い目は馬車から降りられたタイミング。

 王子様……。得体のしれない女に嫁いではいけません。誰よりも王子様のことを愛しているこの私に……王子様の伴侶を務めさせて頂きたく存じます!


 王国一、武勇誉れ高きお父さまの血を受け継いでいるだけのことはある。護衛の兵士を簡単に蹴散らし、馬車の中で一人怯えている王子様を発見。

「君は……何者だ!」

 子供とはいえ、さすがは王子様。その罪人を睨むような目つき……。貫禄があります。でもね、私の愛する王子様は、そんなのいりません。純粋に私のことを慕ってくれればそれでいいんです。

「こんなことをして……ただで済むと思っているのか?」

「王子様?」

 私は王子様を持ち上げて、馬車から降ろした。予想通り、小さくて軽すぎる。

「ご安心ください……。私は誰よりもあなたのことを愛しております」

 最初は強がっていた王子様も、やはり子供だった。

「お父さま……お母さま……」

 王子様は遂に泣き出した。私は王子様をしっかりと抱きしめ、頭を優しく撫でた。そのまま、我が家へ連れ帰った。

「ただいま戻りました……」

「お帰り……あなた、その坊やは……?」

 家にはお母さま一人しかいなかった。裁縫の手を止めて、私の胸の中で眠っている王子様をしっかりと見ていた。

「近くの森で迷子になっていた子供です。お母さま、この子はどうも怪我をしているみたいなので、暫く面倒を見ようかなと思いまして……」

「そうなの?分かった。後で薬を買いに行くわ」

 私は今まで嘘をついたことがない。お母さまは私の言うことを疑わない。

 王子様を寝室へ運んだ。ベッドの上に優しく横たえて、暫くの間、王子様の寝顔を拝見していた。

 やっぱり、子供って最高!いい夢でも見ているのかしら?

 私は王子様の小指と自分の小指を絡めた。王子様の温もりが小指から全身に伝わっていくように感じた。


「これからも、ずっーと一緒ですからね?王子様……」


 



 










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