婚約破棄 あるいは 運命

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婚約破棄

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 令嬢っていうのは、つまり、親のいいなりに過ぎない。

 しかしながら、いつまでも親の言うことを聞いていればいいっていうのは、大きな間違えなんだって今更気が付いた。時すでに遅し。

 私が皇太子と結婚することを誰よりも望んでいたのは父だった。誰だってそう思う。自分の娘を王族に嫁がすことが出来れば、繁栄が望める。

 しかしながら、世の中全て上手くいくってことはない。

 色々な理由付けをされて、皇太子との婚約は破談になった。私のことをよく思わない人たちの仕業だろう。

 父は嘆いた。私を表舞台から消し去り、私は自分の意志で行動することが出来なくなった。

 今まで親を恨んだことはなかった。
 
 それでも、こうなったら恨んでもいいよね?

 早く私の元からいなくなって……。

 
 父はその後亡くなった。私が恨んだせいなのかは分からない。でも、そのぶん自由になれた気がする。親の言いなりにならなくて済んだのだから、自由に恋をすることができる。初めは大変かもしれないけれど、いつかきっと成功すると確信している。

   婚約破棄から何年か経って、私はとある貴族と結婚することになった。しがらみなんて全くない。恥ずかしいほど真っ当な恋の結末だ。
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