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前編 来歴
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その時はちょうど、ランダン高等学院入学のための受験勉強追い込み期間でした。ランダンは、我がムガール帝国の首都であり、ランダン高等学院は1000年以上の歴史を持つ帝国最古の教育機関でした。
ランダン高等学院に入学した暁には、最高爵位授与の候補生になり、その後の活躍によって、皇帝の次の位にあたる最高位公爵にまで上り詰めることが可能となりました。辺境貴族の家柄に生まれただけあって、野心は人一倍でした。ランダンに住まう貴族たちを追い越して、皇帝の手となる……これが将来の目標でした。
私の名前はアンソニー・シュードモナスと言います。私の住まうシュードモナス地方は、読者の皆さんが想像するよりも遥かに田舎なのです。しかしながら、私の父、コークスは中位公爵です。これは、皇帝、最高位公爵に次ぐ序列3位です。どうして、と疑問を抱く方がいらっしゃるでしょう。ええっ、私も説明に一苦労します。
コークスは、先代皇帝の叔父の息子の従弟にあたります。少し遠いですが、皇帝一族の血を引いているんですね。ですから、コークス、私の親子ともども、ランダンで開かれる皇帝主催のパーティーに参加することができます。これは、辺境貴族のプチ自慢だったりもします。
では、そんな父が、こんな辺境の地にいるのかと言うと、それは父が魔法使いであることに由来します。我が帝国では、魔法使いは非常に重宝されているのですよ。科学否定派が未だ多いのです。つまり、世界は魔法で成り立っているのです。父は魔法使いとして最高位です。このため、貴族のみならず、一般市民からも絶大なる支持を得ています。私がランドン高等学院を受験するのも、ここの魔法科に入学して父と同じ魔法使いの道を歩もうとしているのですが、その話はまた今度します。
さて、シュードモナス地方に魔法使いである父がいる理由の話をしましょう。実は、この地が魔法で言うところのリアルとフィクションの境界に当たるのです。フィクションと言うのは、虚構と翻訳しますね。それで合っています。しかしながら、我々の業界では、もう少し意味があります。それは、人間世界を脅かす魔人たちの住処というわけです。魔人たちは一見すると、普通の人間と区別がつきません。人間世界に紛れ込んで、人間をフィクションへ連れていくのです。人間はフィクションを支えるためのエネルギーになるのです。
魔人には特定のオーラがあります。魔法使いは、このオーラを感じ取り抹殺することを生業とします。父は優秀な魔法使いなので、1日に100体くらいの魔人を抹殺することができます。いつか、魔人が大量に侵略してきたときは、指揮官として、人間世界を守り抜くことに成功しました。中位公爵は、この栄誉による爵位なのです。私もこんな魔法使いになりたいと思っています。
因みに私の爵位は子爵です。ランダン高等学院に入学すれば、その時点で伯爵に格上げされます。よし、頑張ろう……いかんいかん、動機が不純ですね。
私の家族について話すことは特にありません。ここでは割愛致します。
さて、一番最初に書いたその時と言うのは、皇帝の思いつきで開かれることになった臨時パーティーのお知らせがやって来た時でした。皇帝主催のパーティーは年に数回開かれるのですが、辺境に住む(私たち以外も含めた)貴族たちに配慮して、おおよそ1月前までに通知が届くことになっていました。
しかしながら、今回のパーティーが開かれるのは、なんと3日後!これには、普段冷静沈着な父も驚きました。馬を飛ばしても、ランダンまで1週間はかかります。お知らせには、貴族会議の案内が封入されていました。貴族会議とは、非常に重要な問題を議論する会議のことで、父や私は勿論のこと、国中全ての貴族が出席することを求められました。実際に集まるのはおおよそ半分くらいなのですが、序列3位の父が欠席することは許されませんでした。
「困ったな……」
父は頭を抱えてしまいました。最終手段として、魔法の一つであるスペースワープを用いれば瞬間移動ができました。しかしながら、戦闘以外の魔法使用は原則禁止されているため、場合によっては懲罰の対象にもなりかねませんでした。
「父上、今度につきましてはいたしかたないかと思います……」
私はスペースワープの使用を進言しました。
「そうか……」
父は少し考え込んで、頷きました。
「アンソニー……」
父は私の肩を叩きました。
「行こうか!」
私は旅の準備を始めました。ランダンの地に足を踏み入れるのはあと1週間後だと思っていましたが、予期せぬ出来事のおかげで、早くたどり着くことができました。私は鞄に勉強道具を仕舞いこみました。
ランダン高等学院に入学した暁には、最高爵位授与の候補生になり、その後の活躍によって、皇帝の次の位にあたる最高位公爵にまで上り詰めることが可能となりました。辺境貴族の家柄に生まれただけあって、野心は人一倍でした。ランダンに住まう貴族たちを追い越して、皇帝の手となる……これが将来の目標でした。
私の名前はアンソニー・シュードモナスと言います。私の住まうシュードモナス地方は、読者の皆さんが想像するよりも遥かに田舎なのです。しかしながら、私の父、コークスは中位公爵です。これは、皇帝、最高位公爵に次ぐ序列3位です。どうして、と疑問を抱く方がいらっしゃるでしょう。ええっ、私も説明に一苦労します。
コークスは、先代皇帝の叔父の息子の従弟にあたります。少し遠いですが、皇帝一族の血を引いているんですね。ですから、コークス、私の親子ともども、ランダンで開かれる皇帝主催のパーティーに参加することができます。これは、辺境貴族のプチ自慢だったりもします。
では、そんな父が、こんな辺境の地にいるのかと言うと、それは父が魔法使いであることに由来します。我が帝国では、魔法使いは非常に重宝されているのですよ。科学否定派が未だ多いのです。つまり、世界は魔法で成り立っているのです。父は魔法使いとして最高位です。このため、貴族のみならず、一般市民からも絶大なる支持を得ています。私がランドン高等学院を受験するのも、ここの魔法科に入学して父と同じ魔法使いの道を歩もうとしているのですが、その話はまた今度します。
さて、シュードモナス地方に魔法使いである父がいる理由の話をしましょう。実は、この地が魔法で言うところのリアルとフィクションの境界に当たるのです。フィクションと言うのは、虚構と翻訳しますね。それで合っています。しかしながら、我々の業界では、もう少し意味があります。それは、人間世界を脅かす魔人たちの住処というわけです。魔人たちは一見すると、普通の人間と区別がつきません。人間世界に紛れ込んで、人間をフィクションへ連れていくのです。人間はフィクションを支えるためのエネルギーになるのです。
魔人には特定のオーラがあります。魔法使いは、このオーラを感じ取り抹殺することを生業とします。父は優秀な魔法使いなので、1日に100体くらいの魔人を抹殺することができます。いつか、魔人が大量に侵略してきたときは、指揮官として、人間世界を守り抜くことに成功しました。中位公爵は、この栄誉による爵位なのです。私もこんな魔法使いになりたいと思っています。
因みに私の爵位は子爵です。ランダン高等学院に入学すれば、その時点で伯爵に格上げされます。よし、頑張ろう……いかんいかん、動機が不純ですね。
私の家族について話すことは特にありません。ここでは割愛致します。
さて、一番最初に書いたその時と言うのは、皇帝の思いつきで開かれることになった臨時パーティーのお知らせがやって来た時でした。皇帝主催のパーティーは年に数回開かれるのですが、辺境に住む(私たち以外も含めた)貴族たちに配慮して、おおよそ1月前までに通知が届くことになっていました。
しかしながら、今回のパーティーが開かれるのは、なんと3日後!これには、普段冷静沈着な父も驚きました。馬を飛ばしても、ランダンまで1週間はかかります。お知らせには、貴族会議の案内が封入されていました。貴族会議とは、非常に重要な問題を議論する会議のことで、父や私は勿論のこと、国中全ての貴族が出席することを求められました。実際に集まるのはおおよそ半分くらいなのですが、序列3位の父が欠席することは許されませんでした。
「困ったな……」
父は頭を抱えてしまいました。最終手段として、魔法の一つであるスペースワープを用いれば瞬間移動ができました。しかしながら、戦闘以外の魔法使用は原則禁止されているため、場合によっては懲罰の対象にもなりかねませんでした。
「父上、今度につきましてはいたしかたないかと思います……」
私はスペースワープの使用を進言しました。
「そうか……」
父は少し考え込んで、頷きました。
「アンソニー……」
父は私の肩を叩きました。
「行こうか!」
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