1 / 1
世界の高台から
しおりを挟む
この世界の広く晴れ渡った空が、私の旅立ちを待っている。私は今、この世界で一番高い場所に立っている。怖いけれど下を見てみる。見覚えのある街並みとアリのような人々がリアルに生きている。
「お目覚めかな?キャシー……」
私の名前はキャシーという。ほんの小さな国の令嬢であったが、色々あって、目の前にいる王子の嫁になった。最初からおかしいと思っていた。私の人生は少しずつ狂い始めた。そう、こういう無茶な結婚なんて、最初から考えなければよかったのだ。目の前の欲にくらんで、結局私は生きた証を残さず去っていくことになるのだから。今度はもう少し慎重にしないと。
「おはようございます。王子様……あなたは本当に生きてらっしゃるの?」
「その質問はあまり面白くないが……私はこうして生きているんだ。君に殺されて確かに死んだはずなんだが、暫くこの世界を彷徨っていた。最初は、自分に未練があるからだと思っていた。でもそうじゃないみたいだ」
「と言いますと?」
「いや、私が王子として統治に関わったこの国が、私のせいで間もなく滅ぶことを神様が教えてくれたんだ。本当に死に行く人々を見た。彼らは私のために戦っていた。彼らは私のために死んでいった。さて、私はどうだっただろうか?」
「それ以上言わないでください……」
「最初に会った時から、君は変わらないな……」
王子は静かに笑った。
「私は君を手に入れてからより一層変わった。人間らしく生きた。でもそれがまずかったな……」
私の生きた世界が少しずつ崩れようとしていた。私は耳を塞いで聞かないようにしていた。
「私は君のことを赦しているんだ。君はきっと、神様なんだろう?私を誑かしに来たんじゃない。私を殺すためにやって来たんだ。私を殺す正当な理由を課すためにやって来たんだ……」
王子は自ら死を告白しにやってきたのだと思った。
「君が私を殺して死刑を宣告されたのを知っている。ここは処刑場だよね?」
私は頷いた。
「最初からここにいたのかい?」
私は頷いた。
「そうか…………」
王子はおもむろに剣を取り出した。
「あの時みたいに、僕の身体を貫いてくれるかい?」
私は……本当は王子を愛していたのかもしれない。王子は確かに弱い人間だった。弱い人間は強さを欲し、そのために多くの犠牲を強いる。彼は戦いが好きだった。そのせいで私の家族が死んだとしても、彼は何も興味を示さなかった。
王子は罪を悟り、潔く死を選んでいる。私と同じだ。一度終わりにしよう。お互いに。後は神様に任せるんだ。世界の崩壊が止まり、新しい秩序がきっと生まれる。そこに私たちがいるのかは、知らない。
「さあっ、キャシー王女!」
王子の放り投げた剣をキャッチし、そのまま王子の方へ走った。
王子が最期に囁いた言葉……。
「キャシー……君は私の妻だ……」
王子がいなくなって、また一人ぼっちになった。そろそろ、出発する時だろうか?
「私キャシーは、王子との婚約を正式に破棄いたします!」
最後にこう叫んで、崩壊真っただ中にある世界に向けて足を踏み出した。
「お目覚めかな?キャシー……」
私の名前はキャシーという。ほんの小さな国の令嬢であったが、色々あって、目の前にいる王子の嫁になった。最初からおかしいと思っていた。私の人生は少しずつ狂い始めた。そう、こういう無茶な結婚なんて、最初から考えなければよかったのだ。目の前の欲にくらんで、結局私は生きた証を残さず去っていくことになるのだから。今度はもう少し慎重にしないと。
「おはようございます。王子様……あなたは本当に生きてらっしゃるの?」
「その質問はあまり面白くないが……私はこうして生きているんだ。君に殺されて確かに死んだはずなんだが、暫くこの世界を彷徨っていた。最初は、自分に未練があるからだと思っていた。でもそうじゃないみたいだ」
「と言いますと?」
「いや、私が王子として統治に関わったこの国が、私のせいで間もなく滅ぶことを神様が教えてくれたんだ。本当に死に行く人々を見た。彼らは私のために戦っていた。彼らは私のために死んでいった。さて、私はどうだっただろうか?」
「それ以上言わないでください……」
「最初に会った時から、君は変わらないな……」
王子は静かに笑った。
「私は君を手に入れてからより一層変わった。人間らしく生きた。でもそれがまずかったな……」
私の生きた世界が少しずつ崩れようとしていた。私は耳を塞いで聞かないようにしていた。
「私は君のことを赦しているんだ。君はきっと、神様なんだろう?私を誑かしに来たんじゃない。私を殺すためにやって来たんだ。私を殺す正当な理由を課すためにやって来たんだ……」
王子は自ら死を告白しにやってきたのだと思った。
「君が私を殺して死刑を宣告されたのを知っている。ここは処刑場だよね?」
私は頷いた。
「最初からここにいたのかい?」
私は頷いた。
「そうか…………」
王子はおもむろに剣を取り出した。
「あの時みたいに、僕の身体を貫いてくれるかい?」
私は……本当は王子を愛していたのかもしれない。王子は確かに弱い人間だった。弱い人間は強さを欲し、そのために多くの犠牲を強いる。彼は戦いが好きだった。そのせいで私の家族が死んだとしても、彼は何も興味を示さなかった。
王子は罪を悟り、潔く死を選んでいる。私と同じだ。一度終わりにしよう。お互いに。後は神様に任せるんだ。世界の崩壊が止まり、新しい秩序がきっと生まれる。そこに私たちがいるのかは、知らない。
「さあっ、キャシー王女!」
王子の放り投げた剣をキャッチし、そのまま王子の方へ走った。
王子が最期に囁いた言葉……。
「キャシー……君は私の妻だ……」
王子がいなくなって、また一人ぼっちになった。そろそろ、出発する時だろうか?
「私キャシーは、王子との婚約を正式に破棄いたします!」
最後にこう叫んで、崩壊真っただ中にある世界に向けて足を踏み出した。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢の大きな勘違い
神々廻
恋愛
この手紙を読んでらっしゃるという事は私は処刑されたと言う事でしょう。
もし......処刑されて居ないのなら、今はまだ見ないで下さいまし
封筒にそう書かれていた手紙は先日、処刑された悪女が書いたものだった。
お気に入り、感想お願いします!
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる