婚約破棄ですか?ちょっと意味がわかりませんね?

tartan321

文字の大きさ
4 / 4

その4

しおりを挟む
「私クロイツは、実を申し上げますと、こちらにいらっしゃるミクリッツの元夫なのでございます」

これを聞いて、私はものすごく驚きました。とすると、どうしてクロイツ様は、彼女と別れて、私と婚約すると言い出したのでございましょうか?

「それは本当なのかね?ミクリッツ」

皇帝陛下は、ミクリッツ様に直接確認をされました。すると、ミクリッツ様は、

「その話につきましては、事実でございます」

と答えました。

「なるほど。それではどうして別れることになったのだろうか。ああ、こういう話はプライバシーに関わることだから、そうやすやすと聞くものでもないかな????」

皇帝陛下は、この問題について自重しようとしました。しかしながら、クロイツ様は、その理由について語り始めました。

「彼女は、なかなか挑戦的な女でして、私はそういうところが好きだったわけでございます。私も公爵と言う立場でございますから、行く末はさらなる出世を目論んでいたわけでございます。そのためには良き伴侶が必要となることでございましょう。ですから、私は彼女と婚約することに決めたのです。しかしながら、彼女は何も地位がありませんでした。私と婚約することで、公爵令嬢と言う地位を受け継ぐことが一応はできました。そうすると、彼女は手のひらを返したかのように、第一王子であるミンコフスキー様と婚約すると言い出したのでございます。私にとっては非常に残念な話でございました。つまり、彼女は公爵令嬢と言う肩書きが欲しかっただけでありまして、それで、ミンコフスキー様と婚約する権利を得ることができたわけでございます……」

この話を聞いて、私はすべてを納得しました。面白いからくりのような話でした。しかしながら、やはり悪いことはうまくいかないものなのでございます。クロイツ様は続けて、ミクリッツ様が私を糾弾することになった罪について語り始めました。

「また、彼女がでっち上げている話でございますが、それは全て彼女が自作自演したわけでございます。私はその証拠写真を持っています。例えば、彼女が階段から突き落とされたと言う話があったかもしれません。ですが、彼女は最初から靴の紐をほどいていたのです。ですから、わざと転げ落ちたわけでございます。皆さん、決して騙されてはいけません、これはすべて、エリザベスを陥れるための罠だったのです!!!」

クロイツ様の話には、非常に説得力がありました。そして、何よりも皇帝陛下が、クロイツ様の話を非常に重要視されました。

「これで全てが明らかになったね。ミンコフスキー、そして、ミクリッツ。さて、これで分かっただろうけれども、お前たちにこの国の将来を託す事はとてもできないと思うんだ。だから……クロイツを次期皇帝に推挙し、その妃はエリザベスとする!!!!」

一部始終を見ていた貴族たちは、皇帝陛下の決定に賛成した。そして、ミンコフスキー様とミクリッツ様を糾弾するようになった。

「こんなのやってられないわ!!ばかみたい!!!!!っ!」

全てがどうでもよくなったミクリッツ様は、ミンコフスキー様の元を離れていった。

「おい、ミクリッツ。私を一人にするつもりなのか?待ってくれよ!!!!」

「用無しの人間に、私はもはや興味なんてありませんよ!!!!」

そう言って、ミクリッツ様は逃げ出しました。

これにて一件落着でございます。

しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

悪役令嬢は勝利する!

リオール
恋愛
「公爵令嬢エルシェイラ、私はそなたとの婚約破棄を今ここに宣言する!!!」 「やりましたわあぁぁぁーーーーーーーーーーーー!!!!!」 婚約破棄するかしないか 悪役令嬢は勝利するのかしないのか はたして勝者は!? ……ちょっと支離滅裂です

その悪役令嬢、問題児につき

ニコ
恋愛
 婚約破棄された悪役令嬢がストッパーが無くなり暴走するお話。 ※結構ぶっ飛んでます。もうご都合主義の塊です。難しく考えたら負け!

婚約破棄ってしちゃダメって習わなかったんですか?

みやび
恋愛
政略に基づく婚約を破棄した結果

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?

悪役令嬢ですが、今日も元婚約者とヒロインにざまぁされました(なお、全員私を溺愛しています)

ほーみ
恋愛
「レティシア・エルフォード! お前との婚約は破棄する!」  王太子アレクシス・ヴォルフェンがそう宣言した瞬間、広間はざわめいた。私は静かに紅茶を口にしながら、その言葉を聞き流す。どうやら、今日もまた「ざまぁ」される日らしい。  ここは王宮の舞踏会場。華やかな装飾と甘い香りが漂う中、私はまたしても断罪劇の主役に据えられていた。目の前では、王太子が優雅に微笑みながら、私に婚約破棄を突きつけている。その隣には、栗色の髪をふわりと揺らした少女――リリア・エヴァンスが涙ぐんでいた。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

処理中です...