高い女の婚約破棄計画

tartan321

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その1

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 止まった針がもう間もなく動き出す。そんな感じがする……。

 でもなぜか、このまま止まっていてほしいと、どこかで願っている。

 私には妹が一人いる。私と違って正真正銘の女の子である。平たく言えば、男を寄せ付けるのが上手いというわけである。私は今大きな負債を抱えている。一つは文字通りで、もう一つは病である。

 姉妹の仲というのは、上手くいかないことが多い。どちらかが嫉妬することになる。私たちの場合、妹が格段に美しいため、嫉妬の対象になる。

 私は美しさを手に入れようともがいた。妹に叶わないことは分かっている。それでも……私をあからさまに侮蔑する両親を見返してやろうと思った。令嬢というのは、嫁ぎ先のために存在する。嫁にいけない令嬢は人に非ず、と散々叩き込まれた。私は人ではない。女ではない。両親はそう言いたかったはずだ。

 私は両親の勧めで娼婦になった。顔が悪いとは言っても、妹と比較した場合であって、世間様から見れば、これでも美しいと言えた。庶民の男を誑かすのは容易だった。

「女って言うのはね、秘密のベールを纏うほど美しくなっていく生き物なの。男と交わる回数が増えるほど、淫らに裏打ちされた、本当の女の美しさを手に入れることができるのよ」

 娼館のリーダー的な女性の口癖だった。彼女はとある王子の愛人だった経験があるそう。妹の美しさとは違った女らしさがそこにはあった。
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