婚約破棄された王女の処刑前夜

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前夜

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もう恨む相手がいなくなってしまった。

だから、もう誰も恨まないことにしよう。どうしてって……これ以上何かを議論しても仕方がないのだ。

神様は早くから私を見捨ててしまった。今まで悪いことなんて何もしなかったのに、王子様は私に婚約破棄を通告し、挙句の果てにはメンツを保つために処刑すると言い出した。

どうしてこういうことになるのかしら?私には信じられない。

まあ、いいんだ。この世界に未練はないし、どうにでもなれって感じなんだ。

そうそう、気にしたって仕方ないから、早く天国に連れて行って欲しいと思ったり思わなかったり。どっちなんだよ(笑)。

王子様の声を最後に聞いたのは、婚約を発表して翌日だった。

その時は、ずっとずっと私に愛を囁いていたのだ。

それなのに、どこで気が変わったのか、私の対応がまずかったのか、王子様は怒り出した。

いや、私に悪いところなんてなかった。あれは全部王子様が悪いんだ。私に内緒で不倫するだなんて、普通あり得ないでしょう?そんなことを平気でするのよ、あの人は。

だから、私の方から離婚するって言いだしたら、逆上して。

「君との婚約を破棄する!そして、即刻処刑だ!」

なんて言い出す始末。本当に信じられない。ああ、どうすればいいのかしら?

さて、もう眠る必要もないのね。だって、後数時間もしたら、永遠に眠ることになるんだから。

素晴らしき夢の世界にようこそ……なんちゃって。

まあ、そんなことはどうでもいいから。早く終わらないかしら?

早く終わってほしいのよね。どうせなら。早く殺してちょうだい!!!


「そこのお嬢さん?」

誰かが私を呼んだ。

「私のことですか?」

「あなた以外にいませんよ。さあ、ここから逃げましょう」

逃げる……面白いことを言うと思った。逃げる場所なんてないのだから。

「ああ、心配ご無用です。上の住人は全て処分しておきましたから」

処分……まさか、王子様まで?

「はい、全て。あなたの宿敵も含めてね」

「!!!!!!!!」

私は驚いた。それとも、もう死んでしまったのだろうか?これも夢なのだろうか?


全てが終わってしまったら、現実も夢も、その境界は消える。

とりあえず、この得体の知れない世界を、私はもう少し目を見開いて歩かなければならないらしい。でも、その将来は少し明るいと期待が持てた。


私は輝くために生まれてきた……そうなのかな?


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