妹に婚約相手を寝取られたので辺境に引っ越します

その13

目が覚めると、空はすでに暗くなっていた。人の気配のない森だから、特に音はしなかった。ダイナソーたちが群れになって、みんなが同じ空を見つめていた。

「人間世界はもうじきなくなるんだね……」

「ジャーク様が僕たちを導いてくれるよ。それに……新しく来たお姉さんも僕たちの味方になるでしょうよ……」

イングリットは久しぶりに深い眠りを愉しんだ。おかげで頭がスッキリした。煩わしいものから解放されて、もう何も心配しなくていいのだと思った。

「ねえねえ、空がきれいね」

イングリットはダイナソーたちの仲間になりたかった。ダイナソーたちは、イングリットが座るための場所を用意した。

「お姉さんはこの空が本当にきれいだと思う？」

ダイナソーたちがイングリットに質問した。

「そうね。いつも見る空とは違うけれど、こっちの方がきれいだと思う。青と緑のイリュージョンがいいわね」

「僕たちの瞳の色と同じでしょう？」

イングリットは、ダイナソーたちの円らな瞳に浮かぶイリュージョンと未来を見つめた。

「私があなたたちのお母さんになってあげましょう」

イングリットがこう言うと、ダイナソーたちはみんな喜んだ。