婚約破棄の元凶は姉でした

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その3

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「あーさーせんしたー……。なんか邪魔だったんでさーせん」

次の瞬間、私はマスターの胸ぐらを掴んで店の外まで投げ出そうとしていた。

「あなたね……私を誰だと思っているのよ……」

おでこの細ーい血管がピクピク脈打っているのを感じた。こんなの初めて……なんて言ってる場合じゃない。

「恐れ多くも先帝のマリー妃にあらせられるお方です……なんて言ったらいいものですか?」

うそ、私のこと知ってるの?なんで……?

「おやおや、不思議ですねえ。それもそのはず、ほら、あれをご覧ください」

マスターが指差したのは、古びた私の写真だった。

「王子様が王子様なら、あなたもあなた……ほら、このブタみたいな表情がどうにもたまりませんなあっ……」

マスターを投げ飛ばしたつもりだったが、彼はこの場にいた。代わりに私の腕が悲鳴をあげ始めた。
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