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第一章
休戦 その1
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結局、トンボたちは東京へ向けて消えていった。フィッシャーは……本人が言った通り、遥か異郷の地でその命を終えることとなりそうだった。国に見捨てられた軍人、か……。
「私が今まで見てきた中で、あなたは最も軍人に似つかわしい市民です。死を恐れることなく、祖国のために戦う勇敢な……」
「ただ、思い出の場所を汚されて頭に血が上っただけです」
「なるほど……」
なんとしてでもこの手で止めを刺したい。私は様々な方策を頭に巡らせていた。このまま海に投げ捨てるか?石で頭を叩き割るか?砂浜に埋めるか?
「しかしながら、あなたは優しい」
「ええ……父もそう言っていました。でも、優しい人は誰も殺しませんよ」
「それは……気の迷いです。どんな悪人でも、自分の意志で罪を働く者はいない。良心のアクセルと悪魔のブレーキが同時に壊れた時、殺人は可能になるのです……。私たちは……そういう訓練をずっとしているんです」
「……そうですか」
私は素っ気なく答えた。
「あぁ……異郷の地で命を終えるなんて考えたことがなかった。戦争を終わらすために日本を占領する……。そんな大それたミッションを与えられ、私は遂行した。私自身の勝利も目前だった……。日本人とこうして話をすることなんて……想像もしていなかった。低能な猿ばかり、と揶揄していたな……」
フィッシャーは思い残すことなく死んでいくのを待っているようだった。私はとりあえず、フィッシャーの語りに耳を傾けた。どれほど日本人を侮辱するような言動を含んでいても、なぜか、自然と赦すことができた。それは、フィッシャー本人の考えとは大きくかけ離れていることを知っていたからだった。フィッシャーは最後にこう締めくくった。
「みんな、顔を合わせないから敵になるんです。こうやって、同じ海を見て御覧なさい。どうでしょう?私は今まで殺してきた人間の数を数えなければならない。神様に償いの罰を与えてもらわなければならない。私はもう軍人失格かな……?4年間築き上げた私のレガシーは………そんなものより、あなたの純粋な涙のほうが尊い!」
フィッシャーは最後の力を振り絞って立ち上がった。伸ばせるだけ高く、手をお天道様にかざした。
「ほら、もうすぐ届きそうです!終わりの次に新しい命が始まる!あぁ、みんなが手を取り合って笑う世界が目の前に!」
フィッシャーは全く屈託のない笑顔を浮かべて、その場に崩れた。一粒の涙が瞳から溢れていた。
「そんな顔じゃ……田舎のおじさんにしか見えませんよ?」
私はそう呟いた。
「私が今まで見てきた中で、あなたは最も軍人に似つかわしい市民です。死を恐れることなく、祖国のために戦う勇敢な……」
「ただ、思い出の場所を汚されて頭に血が上っただけです」
「なるほど……」
なんとしてでもこの手で止めを刺したい。私は様々な方策を頭に巡らせていた。このまま海に投げ捨てるか?石で頭を叩き割るか?砂浜に埋めるか?
「しかしながら、あなたは優しい」
「ええ……父もそう言っていました。でも、優しい人は誰も殺しませんよ」
「それは……気の迷いです。どんな悪人でも、自分の意志で罪を働く者はいない。良心のアクセルと悪魔のブレーキが同時に壊れた時、殺人は可能になるのです……。私たちは……そういう訓練をずっとしているんです」
「……そうですか」
私は素っ気なく答えた。
「あぁ……異郷の地で命を終えるなんて考えたことがなかった。戦争を終わらすために日本を占領する……。そんな大それたミッションを与えられ、私は遂行した。私自身の勝利も目前だった……。日本人とこうして話をすることなんて……想像もしていなかった。低能な猿ばかり、と揶揄していたな……」
フィッシャーは思い残すことなく死んでいくのを待っているようだった。私はとりあえず、フィッシャーの語りに耳を傾けた。どれほど日本人を侮辱するような言動を含んでいても、なぜか、自然と赦すことができた。それは、フィッシャー本人の考えとは大きくかけ離れていることを知っていたからだった。フィッシャーは最後にこう締めくくった。
「みんな、顔を合わせないから敵になるんです。こうやって、同じ海を見て御覧なさい。どうでしょう?私は今まで殺してきた人間の数を数えなければならない。神様に償いの罰を与えてもらわなければならない。私はもう軍人失格かな……?4年間築き上げた私のレガシーは………そんなものより、あなたの純粋な涙のほうが尊い!」
フィッシャーは最後の力を振り絞って立ち上がった。伸ばせるだけ高く、手をお天道様にかざした。
「ほら、もうすぐ届きそうです!終わりの次に新しい命が始まる!あぁ、みんなが手を取り合って笑う世界が目の前に!」
フィッシャーは全く屈託のない笑顔を浮かべて、その場に崩れた。一粒の涙が瞳から溢れていた。
「そんな顔じゃ……田舎のおじさんにしか見えませんよ?」
私はそう呟いた。
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