血の雨と令嬢と婚約破棄

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令嬢

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血の雨の降り頻る館に、一人の令嬢が取り残された。

彼女はこの後婚約破棄されるよていだったのだが、その前に何かが起きそうだ。

「私のことは構わずに逃げてくれ!」


令嬢の婚約相手だった王子様は不倫相手の令嬢を助けようと奔走していた。

でも、令嬢は逃げようとしなかった。


それだけ王子様を愛していたということなのだろうか?


違う。そういうことではない。王子様が死んだら、結局何も残らないのだ。名声も地位も金も、全て親類に相続されることになっていたのだ。

だから……王子様が死ぬと、なし崩し的に、令嬢も死ぬことになるのだ。


復讐を仕掛けた令嬢はさぞ喜んだことだろう。


結果として、全てうまくいったのだ。


もう誰も怖くはない。最初から死ぬことを恐れていないのだ。


「もう全てが終わればいいのです」

結果として全てが終わった。

みな、世界の住人は死に絶えた。

そして……令嬢は一人生き残った。

もはや、彼女は人間ではなくなったのだ。


新しい世界の住人は一人になってしまった。

まあ、これが彼女の望んだ世界であることに変わりはない。

だから、彼女は精一杯泣き叫んだ。

「ありがとう」

全てが集約されていた。




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