悪役令嬢は婚約破棄と言う悪夢を突きつけられた

その1

「あなたとの婚約を破棄しようと思う」

「王子……それは何かの間違いでしょう？この期に及んで、一体全体どうしたというのですか？」

私たちの婚約は、誰もが認めた事実でした。ですから、王子の意向だけでひっくり返すことなんて不可能でした。私は慌てふためきました。同時に、王子に対し怒りを覚えました。婚約破棄が事実なのだとすれば、それは私にとって非常に不名誉なことですから……それなりの責任は取って頂かないと困るのです。

「あらっ……失礼いたしました！」

私は大部喧嘩腰でした。私は思わず、王子の足を踏みつけてしまいました。しかしながら、派手に反抗すると、私に罪があると誤解されてしまいますので、この辺りで踏みとどまらなければなりませんでした。

「私は君の責任だと思っているよ。今までの振る舞いを思い起こせば、婚約破棄の理由としては十分だろう？」

「私がですって？何をおっしゃっているのか、皆目見当がつきませんわ！きちんと説明してくださいまし！」

「私がこれ以上説明する必要はないだろう。さようなら、キャロル」

私は怒りに任せて、もう一度王子の足を踏み付けました。

「これ以上話をこじらせないでくれ……私はもう懲り懲りしているんだ。なるべく騒ぎを小さくしたいからな……」

私が心配する問題ではありませんでしたが、王子は王子で非常に大きな問題を抱えることになりました。当然、婚約破棄と言うのは、王家の評判を落とす材料として格好でした。ひょっとすると、次の皇帝を選ぶ際に影響する可能性もありました。