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その3
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「なるほど……すると、あんたは、キニーネって言う王子を恨んでいるわけか?」
「当たり前でしょう。勝手に、どこぞの馬の骨とも知らない女に鞍替えしやがって!」
「おいっ!ミクリッツ様のことを悪く言うな!殺すぞ!」
男たちの一人が、短刀をちらつかせた。ああっ、おっかないおっかない。考えてみれば、この男たちが尊敬している姫様こそ、キニーネ様と新たに婚約する女なのだ。だから、変に言うと、この者たちが頭にくるのは、理解できた。
「それで、俺たちに協力したいってことだが?」
「ええ。悪い話ではないでしょう。敵の敵は味方。あなたたちと私は味方なのよ。姫様をキニーネ様に嫁がせたくないんでしょ?」
「当たり前だ!」
男たちのガッツに、私も突き動かされた。
「だったら、やってやろうじゃないのさ!」
私は同時に、かなり震えていた。確かに内情はよく知っている。しかしながら、この数の人間で、キニーネ様たちと戦えるわけない。あまりにも非現実的だ。謀反を起こしたとなれば、最悪の場合、死罪になる。それだったら……大人しく修道院行になったほうがいいかしら?
「これもきっと、神様が与えてくださったチャンスだ!俺たちは戦いに勝つ!そして、ミクリッツ様をお助け申し上げる!!!」
今さら止めます、とはとても言えなかった。
キニーネ様と戦うのなら、それなりの作戦が必要だ。何かいい手はないのだろうか?
「ちょっと…よろしいか?」
血気盛んな男たちとは打って変わり、石橋を叩いて渡りそうなな青年が、服の裾を引っ張った。
「何かしら?」
「戦いの上で最も重要なこと、それは、情報だ。君はこの国の内情に詳しい。だが、それだけでは不十分だ」
男は何やら、私の耳元で話し始めた。
「当たり前でしょう。勝手に、どこぞの馬の骨とも知らない女に鞍替えしやがって!」
「おいっ!ミクリッツ様のことを悪く言うな!殺すぞ!」
男たちの一人が、短刀をちらつかせた。ああっ、おっかないおっかない。考えてみれば、この男たちが尊敬している姫様こそ、キニーネ様と新たに婚約する女なのだ。だから、変に言うと、この者たちが頭にくるのは、理解できた。
「それで、俺たちに協力したいってことだが?」
「ええ。悪い話ではないでしょう。敵の敵は味方。あなたたちと私は味方なのよ。姫様をキニーネ様に嫁がせたくないんでしょ?」
「当たり前だ!」
男たちのガッツに、私も突き動かされた。
「だったら、やってやろうじゃないのさ!」
私は同時に、かなり震えていた。確かに内情はよく知っている。しかしながら、この数の人間で、キニーネ様たちと戦えるわけない。あまりにも非現実的だ。謀反を起こしたとなれば、最悪の場合、死罪になる。それだったら……大人しく修道院行になったほうがいいかしら?
「これもきっと、神様が与えてくださったチャンスだ!俺たちは戦いに勝つ!そして、ミクリッツ様をお助け申し上げる!!!」
今さら止めます、とはとても言えなかった。
キニーネ様と戦うのなら、それなりの作戦が必要だ。何かいい手はないのだろうか?
「ちょっと…よろしいか?」
血気盛んな男たちとは打って変わり、石橋を叩いて渡りそうなな青年が、服の裾を引っ張った。
「何かしら?」
「戦いの上で最も重要なこと、それは、情報だ。君はこの国の内情に詳しい。だが、それだけでは不十分だ」
男は何やら、私の耳元で話し始めた。
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