婚約破棄するんだったら、その代わりに復讐してもいいですか?

tartan321

文字の大きさ
3 / 14

その3

しおりを挟む
「なるほど……すると、あんたは、キニーネって言う王子を恨んでいるわけか?」

「当たり前でしょう。勝手に、どこぞの馬の骨とも知らない女に鞍替えしやがって!」

「おいっ!ミクリッツ様のことを悪く言うな!殺すぞ!」

男たちの一人が、短刀をちらつかせた。ああっ、おっかないおっかない。考えてみれば、この男たちが尊敬している姫様こそ、キニーネ様と新たに婚約する女なのだ。だから、変に言うと、この者たちが頭にくるのは、理解できた。

「それで、俺たちに協力したいってことだが?」

「ええ。悪い話ではないでしょう。敵の敵は味方。あなたたちと私は味方なのよ。姫様をキニーネ様に嫁がせたくないんでしょ?」

「当たり前だ!」

男たちのガッツに、私も突き動かされた。

「だったら、やってやろうじゃないのさ!」

私は同時に、かなり震えていた。確かに内情はよく知っている。しかしながら、この数の人間で、キニーネ様たちと戦えるわけない。あまりにも非現実的だ。謀反を起こしたとなれば、最悪の場合、死罪になる。それだったら……大人しく修道院行になったほうがいいかしら?

「これもきっと、神様が与えてくださったチャンスだ!俺たちは戦いに勝つ!そして、ミクリッツ様をお助け申し上げる!!!」

今さら止めます、とはとても言えなかった。

キニーネ様と戦うのなら、それなりの作戦が必要だ。何かいい手はないのだろうか?


「ちょっと…よろしいか?」

血気盛んな男たちとは打って変わり、石橋を叩いて渡りそうなな青年が、服の裾を引っ張った。

「何かしら?」

「戦いの上で最も重要なこと、それは、情報だ。君はこの国の内情に詳しい。だが、それだけでは不十分だ」

男は何やら、私の耳元で話し始めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

婚約破棄寸前だった令嬢が殺されかけて眠り姫となり意識を取り戻したら世界が変わっていた話

ひよこ麺
恋愛
シルビア・ベアトリス侯爵令嬢は何もかも完璧なご令嬢だった。婚約者であるリベリオンとの関係を除いては。 リベリオンは公爵家の嫡男で完璧だけれどとても冷たい人だった。それでも彼の幼馴染みで病弱な男爵令嬢のリリアにはとても優しくしていた。 婚約者のシルビアには笑顔ひとつ向けてくれないのに。 どんなに尽くしても努力しても完璧な立ち振る舞いをしても振り返らないリベリオンに疲れてしまったシルビア。その日も舞踏会でエスコートだけしてリリアと居なくなってしまったリベリオンを見ているのが悲しくなりテラスでひとり夜風に当たっていたところ、いきなり何者かに後ろから押されて転落してしまう。 死は免れたが、テラスから転落した際に頭を強く打ったシルビアはそのまま意識を失い、昏睡状態となってしまう。それから3年の月日が流れ、目覚めたシルビアを取り巻く世界は変っていて…… ※正常な人があまりいない話です。

今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。

有賀冬馬
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。 特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。 けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。 彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下! 「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。 私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。

くだらない冤罪で投獄されたので呪うことにしました。

音爽(ネソウ)
恋愛
<良くある話ですが凄くバカで下品な話です。> 婚約者と友人に裏切られた、伯爵令嬢。 冤罪で投獄された恨みを晴らしましょう。 「ごめんなさい?私がかけた呪いはとけませんよ」

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

王太子に婚約を破棄され、王国を追放されたので、皇都に行ってパン屋さんを始めました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

[完結]裏切りの学園 〜親友・恋人・教師に葬られた学園マドンナの復讐

青空一夏
恋愛
 高校時代、完璧な優等生であった七瀬凛(ななせ りん)は、親友・恋人・教師による壮絶な裏切りにより、人生を徹底的に破壊された。  彼女の家族は死に追いやられ、彼女自身も冤罪を着せられた挙げ句、刑務所に送られる。 「何もかも失った……」そう思った彼女だったが、獄中である人物の助けを受け、地獄から這い上がる。  数年後、凛は名前も身分も変え、復讐のために社会に舞い戻るのだが…… ※全6話ぐらい。字数は一話あたり4000文字から5000文字です。

処理中です...