悪役令嬢の終わらせ方~1年の恋物語~

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その1

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私の名前はパミーナと言う。どこぞの夜の森からやって来たならず者の娘である……大体の説明は本当にこんな感じなのだ。

もう少し正確に説明すると、私の両親は共に神官である。つまり、神様に仕え、神様の詔を広く世界に伝承する仕事である。私の世界では、いまだに宗教が絶対的権威であるため、私の両親の格付けは、神様と皇帝の真ん中、つまり、人間世界の頂点に君臨する。

聞こえはいいが、要するに、巨大帝国ランクシャーの皇帝が我が家にやってきて、色々物を貢ぐ。私なんかは、王家から献上される高価な調度品や食料が目当てだった。両親も、本音はそうだったのかもしれないが、建前上はそうもいかない。一応、神様に対する献上品ということになっている。

「確かにちょうだいした……」

両親は皇帝から献上品を授かって、神殿に備える。この神殿だって、過去の戦争で何回も壊れているから、精々500年くらい前の姿だ。それなのに、古来1万年前から云々などと、両親は言い始める。私はと言うと、両親の後ろで欠伸でも浮かべている。そんな姿を見た皇帝は、

「パミーナ様。あなたのような方には少し退屈でしょうな。しかしながら、これは非常に大切な儀式でございますから……」

などと私を軽くお説教した。実を言うと、皇帝は私にとって、親しいおじさんだった。両親には内緒で、色々相談をしたこともある。つまり、神官の職を離脱して、普通に人間と恋がしたいということである。これについて、皇帝は、

「万が一の話ではございますが……」

と、一度釘を刺して、

「パミーナ様の伴侶ともなれば、ただの貴族では無理ですな」

と答えた。つまり、ただの貴族でなければいいと。私はそう解釈した。

「つまり、おじさんの関係者、つまり、王家の人間ならばいいということかしら?」

私がこう言うと、皇帝はただニコニコと微笑んだ。
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