妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

その43

「私には、妻の権威を保持する勤めがあるのです！！！！！！！！！」

ゲルストマンはこんなことを言い出した。

「それが貴族なる忠誠心でございましょう。あなた様は……恐れながら、その忠誠心をお忘れになっていらっしゃるようでございますな！！！！！！！！！」

「なんだと？？？？？？？？？？」

「あなた様も……ご自分の伴侶が傷つけられそうになっているのだったら……その手でこの私を殺しなさい！！！！！！あなた様にはそんな勇気もないのですか？？？？？？？？？」

ゲルストマンは叫んだ。ストークスは怯んでしまった。

「自分の最愛の伴侶一人も助けられない人間が……この世界の王になることなんて……そんなのはできないでしょう？？？？？？」

ゲルストマンは最後にこう言った。そして、窒息しかけたマリーを放した。

この時、ソフィアはますます、ゲルストマンと一緒になった人生をありがたく思った。時には不器用だけど、お互いに思いやることのできる夫婦……ゲルストマンはそう言う男だったし、ソフィアもそう言う女だった。他方、ストークスとマリーの間に夫婦の絆はなかった。お互い、単なる欲求と名誉に感けて、なし崩し的に進んだ話だった。

だから、ゲルストマンの言葉が、余計痛烈に響くのだった……。

「ごめんくださいまし…………」

そんないさかいの最中に、新しい客人がやって来た。その瞬間、ストークスを始め、その場に居合わせた者全員が、客人の持参した木箱に注目することになったのだった……。