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王子のつぶやき(たまには)
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貴族たちの学び舎である国立高等学院の昼休みは長い。第一王子である私は、昼休みを告げる鐘が響くと、すぐさま立ち上がって食堂に向かう。腹ペコになっているというのもあるが、誰かに食事を誘われるのが苦痛なので、自分一人で楽しめるようにしている。
決まった席に着いて、食事を購入する。そんでもって、食べる。何も難しいことはない。このテーブルは私専用なのである。他の人はいない。しかしながら、周りのテーブルには、べちゃくちゃと喋る他の生徒たちがわんさか。私は一人、陸の孤島に取り残された格好である。
「ねえねえ、あそこにいらっしゃる王子様ってさ、いつも一人だよね……」
いつもみたいに噂話が始まる。
「本当だよね……婚約者とかいないのかな……」
エレガントな貴族ほど群れを嫌う。婚約者がいれば、二人で食べるというのもありなのだろう。しかしながら、この学院にそう言った光景は見当たらない。みんな、ほぼほぼ一人ぼっちなのだ。どうしてかって?それは、この世界に蔓延っている婚約破棄が原因だろう。女子貴族の社会進出が進むようになって、発言権が増した分、男が好き勝手に女子を選び婚約できる時代は終わった。いや、下手したら男は潰されるのかも知れない……。
「私はね、この前隣国の王子様と一回婚約したんだけどね、ハーレムだなんだって言いだしてさ、私だけを愛せよ―って怒鳴って破棄されちゃった!」
「えっ、私も似た感じだったよ。本当に。女を何だと思っているんだろうね?聞いてみたいよ……」
「王子様?どうですか?」
……。近くにいるからって、すぐに話題を振るの止めてくれないかなあっ……。私だってよく分からないんだ。婚約したことも破棄したこともないんだから。
「あっ、王子様はまだそういうお年頃じゃなかったんですね!」
ウザイ。でも、本当にそうだ。こいつらの方がよっぽど人生経験豊富だ。
「ねえっ、王子様……」
だから、絡んでくるなって!ああっ、うっとうしい!
「私とか、どうですか?」
「どうですかって……何がだ?」
「何がって……婚約に決まって……」
「断る!」
私は不愉快になったので、とうとう立ち上がり食堂を抜け出した。
「あーあっ、王子様。どこ行くんですかあっ?」
確かに私の地位が高いので、私と婚約しようとする女子は多い。しかしながら、どうせ、婚約だけして、何か名目を付けて、半分くらいの財産や名誉を奪おうって算段なのは知っている。
私よりずるがしこい連中ばっかりだ!貴族女め!
当分、婚約なんてしないんだからな!
決まった席に着いて、食事を購入する。そんでもって、食べる。何も難しいことはない。このテーブルは私専用なのである。他の人はいない。しかしながら、周りのテーブルには、べちゃくちゃと喋る他の生徒たちがわんさか。私は一人、陸の孤島に取り残された格好である。
「ねえねえ、あそこにいらっしゃる王子様ってさ、いつも一人だよね……」
いつもみたいに噂話が始まる。
「本当だよね……婚約者とかいないのかな……」
エレガントな貴族ほど群れを嫌う。婚約者がいれば、二人で食べるというのもありなのだろう。しかしながら、この学院にそう言った光景は見当たらない。みんな、ほぼほぼ一人ぼっちなのだ。どうしてかって?それは、この世界に蔓延っている婚約破棄が原因だろう。女子貴族の社会進出が進むようになって、発言権が増した分、男が好き勝手に女子を選び婚約できる時代は終わった。いや、下手したら男は潰されるのかも知れない……。
「私はね、この前隣国の王子様と一回婚約したんだけどね、ハーレムだなんだって言いだしてさ、私だけを愛せよ―って怒鳴って破棄されちゃった!」
「えっ、私も似た感じだったよ。本当に。女を何だと思っているんだろうね?聞いてみたいよ……」
「王子様?どうですか?」
……。近くにいるからって、すぐに話題を振るの止めてくれないかなあっ……。私だってよく分からないんだ。婚約したことも破棄したこともないんだから。
「あっ、王子様はまだそういうお年頃じゃなかったんですね!」
ウザイ。でも、本当にそうだ。こいつらの方がよっぽど人生経験豊富だ。
「ねえっ、王子様……」
だから、絡んでくるなって!ああっ、うっとうしい!
「私とか、どうですか?」
「どうですかって……何がだ?」
「何がって……婚約に決まって……」
「断る!」
私は不愉快になったので、とうとう立ち上がり食堂を抜け出した。
「あーあっ、王子様。どこ行くんですかあっ?」
確かに私の地位が高いので、私と婚約しようとする女子は多い。しかしながら、どうせ、婚約だけして、何か名目を付けて、半分くらいの財産や名誉を奪おうって算段なのは知っている。
私よりずるがしこい連中ばっかりだ!貴族女め!
当分、婚約なんてしないんだからな!
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