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その8

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結果として、俺は新しい旅を始めることになったわけであるが、常に後ろめたさを感じていた。そして、そのうち皇女様が私を追いかけてやってくるのではないかと、少し不安になっていた。空耳に違いないが、皇女様が、私の名前を呼んでいるように感じたのだ。

「シエル様シエル様シエル様!!!!!!!!!!お待ちになってくださいまし。どうか私のことを置いていかないでください!!!!!本当に私のことが嫌いになってしまったのですか??????だとしたら、私はあなたのことを許すことができません。この場で潔く死んでください!!!!!」

といった感じで、皇女様は私に語りかけているようだった。

そんなことを頭のどこかに浮かべつつ。俺はこの国を離れることができた。道はいろいろな方向へつながっている。どの道を選択すれば良いのか、正直わからなかった。通行人がいたので、それとなく事情を聞いてみた。

「1つお尋ねしたいことがあるのですが……」

「はい、なんでございましょうか……」

「私は旅人なのでございます。そして、これからどちらに行けばいいのか、迷っているわけでございまして……」

俺がこう言うと、通行人は、

「恐れながら、あなたはこの世界の勇者様でございますか??????」

と尋ねてきた。私は確かに騎士ではある。だが、勇者と言えるほどの人間なのだろうか。それに関してはよくわからなかった。

「だとしましたら、ぜひとも私の国にいらっしゃってください。私の国では今、非常に大きな内戦が起こっているわけでございます。あなた様の力がありましたら、もしかしたら、この内戦を収めることができるかもしれません!!!!!」

通行人は1人で盛り上がっていた。そして、俺の手をとった。

「お待ちください。まだ行くとは言っていませんよ。1つ聞きたいことがあるのですが……」

「なんでございましょうか??????」

「あなたの国には、美しい姫様がいらっしゃいますか??????」

俺がこう質問すると、通行人は、

「それは、もちろんでございますとも!!!!!勇者様にピッタリな姫様がたくさんいらっしゃると思います!!!!!」

それを聞いて、俺は興味を持った。もちろん最終的にはハーレムを作るのが目的であるが、その途中経過として、様々な戦争に関わると言うのも興味深い。これによって名声を得れば、より強大なハーレムを作ることができるかもしれないと思った。

「わかりました。あなたの国に行きましょう。ぜひとも案内してください!!!!!」

こうして俺は、通行人の招きによって、新しい国の旅を始めることになった…………。



(続く)
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