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その7
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「待ちなさい!!!シャルコー!!!」
皇帝陛下は、すぐにこの考えを改めさせようと試みました。
「シャルコー!!!お前の一存で決められる問題ではないのだ!!!」
「いいえ、私の一存ではございません。あちらがそう言うのですから、仕方ないじゃないですか。双方の合意が成立しているのだから、もう何も文句はありますまい……」
私も頷きました。すると、お父様が謝り出しました。
「皇帝陛下!!!申し訳ございません!!!今すぐ、この話は撤回いたしますゆえ……」
しかしながら、私たちの意志はもう固まっていました。
「お父様???恐れながら、私はもう、シャルコー様と婚約することなんて、何も考えておりません」
私は言ってやりました。
「お前……この期に及んで、私に逆らうつもりか???」
お父様は鬼の形相で、私のことを睨み付けました。
「ええ。私はこれ以上、お父様の言いなりにはなりたくありませんわ。私は……そうですね、この度の婚約が上手くいきましたら、お父様に感謝申し上げるつもりでございましたが、それはもはや、無意味なようでございますからね……」
「なんだと???」
「もう決まったことなのです。お父様、これ以上の口出しはご無用ですわ。シャルコー様が、婚約破棄を宣告なされた以上、私の意志がどうこう、そう言うことではないでしょう????」
私がこう言いますと、お父様は少しずつ諦めムードに入ったようでございました。これに対して、皇帝陛下は、
「お待ちください。アマネ殿!!!」
と、私を呼びました。
「あなたのお気持ちはよく分かります。倅が……無礼を働いたことにつきましては、私の方からお詫びさせてもらいます。ですから、どうか、婚約破棄は撤回してもらえませんか???」
皇帝陛下、そして、お父様は、やはり、私たちの婚約を非常に重視しているようでございました。それはそれで、一定の理解は示すつもりでしたが……やはり、シャルコー様のことを許せませんでした。というか、二度とシャルコー様の顔を見たいとは思いませんでした。
「父上……私どもとて、このような令嬢を王家に招き入れるのは不味いでしょう。何たって、そこらのバカ者となんら変わりがないのですから」
シャルコー様が相変わらずこう言いますと、
「そんなことはないだろう!!!」
とおっしゃって、皇帝陛下が宥めようとしました。
「ああ、そんなに優秀な人間をご希望でしたら、その方と婚約し直せばいいのでは???」
私は大声で、シャルコー様に提案しました。
「おお、なるほど……父上、それはいい考えではございませんか????」
シャルコー様は乗り気でした。
「ところで……その人間とは、一体誰なのか???」
テレポート……私はこの技術を使おうとしました。つまり、自室に籠って何かを妄想し続ける妹のイザベルをこの場に呼び出そうとしたのです。私は一瞬目を瞑りました。そして、イザベルのテレポートを考えました。
頭にイザベルの姿が浮かび、あと少しのところ……そこで、やはり邪魔が入りました。
「アマネ!!!お前のテレポートくらい、この私が見破っているわ!!!」
そう言って、お父様がテレポートを中断してしまいました。お父様としては、この場にイザベルを招集することが、大変気に食わなかったようでした。私としては、ここにイザベルが現れて、それで、シャルコー様と婚約しますと、それは非常にいいことなのではないか、そんなふうに思うわけでございましたが。現実は違うようでございました。
皇帝陛下は、すぐにこの考えを改めさせようと試みました。
「シャルコー!!!お前の一存で決められる問題ではないのだ!!!」
「いいえ、私の一存ではございません。あちらがそう言うのですから、仕方ないじゃないですか。双方の合意が成立しているのだから、もう何も文句はありますまい……」
私も頷きました。すると、お父様が謝り出しました。
「皇帝陛下!!!申し訳ございません!!!今すぐ、この話は撤回いたしますゆえ……」
しかしながら、私たちの意志はもう固まっていました。
「お父様???恐れながら、私はもう、シャルコー様と婚約することなんて、何も考えておりません」
私は言ってやりました。
「お前……この期に及んで、私に逆らうつもりか???」
お父様は鬼の形相で、私のことを睨み付けました。
「ええ。私はこれ以上、お父様の言いなりにはなりたくありませんわ。私は……そうですね、この度の婚約が上手くいきましたら、お父様に感謝申し上げるつもりでございましたが、それはもはや、無意味なようでございますからね……」
「なんだと???」
「もう決まったことなのです。お父様、これ以上の口出しはご無用ですわ。シャルコー様が、婚約破棄を宣告なされた以上、私の意志がどうこう、そう言うことではないでしょう????」
私がこう言いますと、お父様は少しずつ諦めムードに入ったようでございました。これに対して、皇帝陛下は、
「お待ちください。アマネ殿!!!」
と、私を呼びました。
「あなたのお気持ちはよく分かります。倅が……無礼を働いたことにつきましては、私の方からお詫びさせてもらいます。ですから、どうか、婚約破棄は撤回してもらえませんか???」
皇帝陛下、そして、お父様は、やはり、私たちの婚約を非常に重視しているようでございました。それはそれで、一定の理解は示すつもりでしたが……やはり、シャルコー様のことを許せませんでした。というか、二度とシャルコー様の顔を見たいとは思いませんでした。
「父上……私どもとて、このような令嬢を王家に招き入れるのは不味いでしょう。何たって、そこらのバカ者となんら変わりがないのですから」
シャルコー様が相変わらずこう言いますと、
「そんなことはないだろう!!!」
とおっしゃって、皇帝陛下が宥めようとしました。
「ああ、そんなに優秀な人間をご希望でしたら、その方と婚約し直せばいいのでは???」
私は大声で、シャルコー様に提案しました。
「おお、なるほど……父上、それはいい考えではございませんか????」
シャルコー様は乗り気でした。
「ところで……その人間とは、一体誰なのか???」
テレポート……私はこの技術を使おうとしました。つまり、自室に籠って何かを妄想し続ける妹のイザベルをこの場に呼び出そうとしたのです。私は一瞬目を瞑りました。そして、イザベルのテレポートを考えました。
頭にイザベルの姿が浮かび、あと少しのところ……そこで、やはり邪魔が入りました。
「アマネ!!!お前のテレポートくらい、この私が見破っているわ!!!」
そう言って、お父様がテレポートを中断してしまいました。お父様としては、この場にイザベルを招集することが、大変気に食わなかったようでした。私としては、ここにイザベルが現れて、それで、シャルコー様と婚約しますと、それは非常にいいことなのではないか、そんなふうに思うわけでございましたが。現実は違うようでございました。
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