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その15

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「そうだったんですか……それはお辛いでしょうねえ……」

アクアちゃんは、ポートさんから全ての事情を説明してもらいました。そして、私に同情してくれたのです。

「それにしても……自身の力で私を呼び出すことができるのですから、アマネさんも相当な魔法使い、ということですよね???」

「ああ、私もそう見込んだから連れてきたんだ。バートンのやつ、自分の娘だというのに、随分と酷い仕打ちをしたみたいだな。全く……とんでもない奴だぜ……」

ポートさんは、私のお父様を随分と低く評価しているようでした。もちろん、私にとっては、そんなのはどうでもいいことでした。お父様が貶されて怒るのが息子や娘の役割なのでしょうが、私の場合、そうはなりませんでした。いや、むしろ、ポートさんの方が、本当の親のような温かさを感じるくらいでした。素顔はややとっつきにくいのですが、その内面は非常に優しい性格で、私は心から安心することができたのです。

「それはそうと……アマネさん???私を呼び出したのは……」

アクアちゃんにそう言われて、ようやく思い出しました。

「ああ、そうだった!!!ごめんなさいね。私、忘れっぽくて。えっと……喉が渇いたから飲み水が欲しいなって思って……それで、呼んだの」

「ああ、そうだったんですか。承知しました、それでは、聖なる水をコップにお注ぎしますね!!!」

「聖なる水???おいおい、随分とサービスいいじゃねえか???私には普通の川の水しかくれねえって言うのによ!!!」

ポートさんは笑い出しました。

「ポートさん、まあ、そんなことは言わないでくださいよ。アマネさんが可哀想じゃないですか。実のお父様から迫害されて、国にもいられなくなって……そんなお嬢さんの心を少しでも癒してあげたいと思うから、ですよ」

「ああ、分かってる分かってる。冗談だよ。だがな……聖なる水ってのは、どんな味がするんだ???私にも少しだけでいいから分けてくれないか???」

「もう、仕方ないですね。それじゃ、今回だけですよ…………」

そう言って、アクアちゃんは、聖なる水と呼ばれし液体を、コップに注いでくれました。

「さあ、アマネさんからどうぞ。これを飲んで、少しでも癒されてくださいね???」

「ありがとう」

それにしても、アクアちゃんの可愛さというのは、本当に天使ですね。アクアちゃんを見ているだけで、心が浄化されると言いますか、本当に小さくてお人形さんのように可愛いのです。そう、こんな精霊さんから物を恵んでもらえるだけで、感謝しなくてはいけませんね……。
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