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その14
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「お前さん……ひょっとして、精霊を呼び出す方法を知らないね???」
それにしても、ポートさんはあまり人と関わっていないという割に、他人の心の中を覗く能力に長けているようでした。私の顔に出やすいのでしょうか。そんなことはないですね。やっぱり、魔法聖者にもなると、人の心なんて、簡単に読めてしまうのですか。
「ええ、恥ずかしながら……」
「お前さんのそう言うウソをつかないところが、私は気に入ったんだ。まあ、お前さんは魔法使いの素質があるみたいだから、私がきちんと教育してやれば……魔法聖者に匹敵するくらいの魔法使いにはなるかもしれないな……」
ポートさんは褒めて育てるタイプでした。お父様とは対照的で、私は、ポートさんのような教育者を好みました。
「ああ、分かった。教えてあげよう。とりあえずは……火の精霊、水の精霊を呼び出せるようになればいいかな?」
「お願いします」
「ああ、簡単だよ。ただ、先ほどみたいに目を閉じて、火や水を想像すればいいんだ。頭の中にね。それで、自分が何に困っているのか、伝えること。例えば、喉が渇いていて水が欲しかったら、それをダイレクトに伝えればいいんだ。なあ???簡単だろう???」
ポートさんの口ぶりでは、確かに簡単そうでした。でも、実際にやるのは難しいのではないかと思いました。
「さあさあ、試しにやってごらんよ。それ、お前さんはいま、何を欲しているんだ???」
そう言われますと、確かに喉が渇いていて、飲み水が欲しいと思いました。
「おっしゃるとおり……私は水が欲しいです」
「それなら簡単だ。さあ、目を閉じて……水を頼むんだ。そしたらば……ほら、出て来たぞ!!!」
私が目を開けますと、そこには小さくて可愛らしい精霊さんがいました。
「やあ、こんにちは!!!水の精霊、アクアです!!!」
「アクア……ちゃん???」
「よお、アクア。久しぶりだな???」
「あら、ポートさんじゃないですか。どうしたんですか???」
「いや、私が呼んだんじゃないんだ。そこのお嬢さんがお前を呼び出したんだ……」
「そこのお嬢さんって言うのは……ああ、あなたですか!!!あれ……どこかで見た顔ですね……」
「それはそうだ。このお嬢さんは、バートンの娘なんだからな……」
お父様の名前を出しますと、アクアちゃんは驚いた様子でした。
「バートン様!!!ああ、なんとなく似ていらっしゃると思ったんですよ。ああ、そうなんですか、バートン様の……あれ、可笑しくないですか???バートン様は確か、ミンコク王国じゃなかったでしたっけ???それなのに……ポートさんのところに、そのお嬢さんがいらっしゃるのですか???」
「ああ、それには深い事情があってだな…………」
ポートさんは、一連の経緯を、アクアちゃんに説明し始めました。
それにしても、ポートさんはあまり人と関わっていないという割に、他人の心の中を覗く能力に長けているようでした。私の顔に出やすいのでしょうか。そんなことはないですね。やっぱり、魔法聖者にもなると、人の心なんて、簡単に読めてしまうのですか。
「ええ、恥ずかしながら……」
「お前さんのそう言うウソをつかないところが、私は気に入ったんだ。まあ、お前さんは魔法使いの素質があるみたいだから、私がきちんと教育してやれば……魔法聖者に匹敵するくらいの魔法使いにはなるかもしれないな……」
ポートさんは褒めて育てるタイプでした。お父様とは対照的で、私は、ポートさんのような教育者を好みました。
「ああ、分かった。教えてあげよう。とりあえずは……火の精霊、水の精霊を呼び出せるようになればいいかな?」
「お願いします」
「ああ、簡単だよ。ただ、先ほどみたいに目を閉じて、火や水を想像すればいいんだ。頭の中にね。それで、自分が何に困っているのか、伝えること。例えば、喉が渇いていて水が欲しかったら、それをダイレクトに伝えればいいんだ。なあ???簡単だろう???」
ポートさんの口ぶりでは、確かに簡単そうでした。でも、実際にやるのは難しいのではないかと思いました。
「さあさあ、試しにやってごらんよ。それ、お前さんはいま、何を欲しているんだ???」
そう言われますと、確かに喉が渇いていて、飲み水が欲しいと思いました。
「おっしゃるとおり……私は水が欲しいです」
「それなら簡単だ。さあ、目を閉じて……水を頼むんだ。そしたらば……ほら、出て来たぞ!!!」
私が目を開けますと、そこには小さくて可愛らしい精霊さんがいました。
「やあ、こんにちは!!!水の精霊、アクアです!!!」
「アクア……ちゃん???」
「よお、アクア。久しぶりだな???」
「あら、ポートさんじゃないですか。どうしたんですか???」
「いや、私が呼んだんじゃないんだ。そこのお嬢さんがお前を呼び出したんだ……」
「そこのお嬢さんって言うのは……ああ、あなたですか!!!あれ……どこかで見た顔ですね……」
「それはそうだ。このお嬢さんは、バートンの娘なんだからな……」
お父様の名前を出しますと、アクアちゃんは驚いた様子でした。
「バートン様!!!ああ、なんとなく似ていらっしゃると思ったんですよ。ああ、そうなんですか、バートン様の……あれ、可笑しくないですか???バートン様は確か、ミンコク王国じゃなかったでしたっけ???それなのに……ポートさんのところに、そのお嬢さんがいらっしゃるのですか???」
「ああ、それには深い事情があってだな…………」
ポートさんは、一連の経緯を、アクアちゃんに説明し始めました。
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