婚約破棄？ならば妹に譲ります～新しいスローライフの始め方編～

その19

食事がすみまして、精霊さんたちにお別れをしました。そして、私は寝る準備を始めました。

「ああ、2階は好きに使ってくれて構わないから。まあ、分かっていると思うが……」

私はペコリとお辞儀をして、そのまま2階に向かいました。部屋は思いのほか広く、そして、ほとんど使われていないはずなのに、綺麗でした。確かに、多少埃クサいとは思いましたが、それは許容できる範囲でした。

「ああ、これからどうすればいいのかしら……」

思い付きで、ポートさんについてきてしまったわけです。まあ、ポートさんにしてみれば、私を追い出す理由なんて、これっぽっちもないのでしょう。私は良き話し相手を演じることができました。ポートさんも、見かけによらず、寂しがりやみたいですので、私がいると、それはそれで、心強いと思ったのでしょう。ありがたい話です。

ベッドに横たわって、何か考え事をするのが、私にとっては大切な時間でした。何かが変わるわけではありませんが、明日を生きるヒントを夢の中で見出すこともできるのです。これもまた、魔法使いの力なのでしょう。

「さて……とりあえず、寝ようかしら……」

考え事をするよりも先に、瞼が重くなってしまいました。私は意図せず、眠りについていました。そして、すぐさま夢の時間が始まるわけでございました……。