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その18

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さて、和んだところで、私の仕事はほとんど終わったも同然でした。これからは、精霊さんたちの出番でした。

私やポートさんのために、様々な食事を用意してくれました。私は一つ心配になりました。ですが、精霊さんたちはその不安を払拭してくれました。

「ああ、大丈夫ですよ。私たちは、無碍に命を奪っているわけではありません。つまりね、死に絶えた動物や植物たちの魂は天に返して、そこから恵んでくれたものを、私たちの手で蘇らせているんです。それで……こうして、食材になるんです!!!」

「よかった。それを聞いて安心したわ。それにしても……見たことのない食材ね???」

「はい、これはね、神様に仕えると言われる伝説の鳥や魚なのです。そして、植物の方は、これまた、神様が初めて地上に降り立ったとき、その地に繁殖した伝説の草花を集めたものなんです!!!」

想像すると愉快でした。でも、実際に食べてみると、これまた、天然の恵みだけあって、非常に美味でした。

「ああ、素晴らしいね!!!こんなもの、一度も味わったことなんてなかったわ!!!」

「お前さん、バートンの世話になっていたときは、一体どんな物を食っていたんだ???」

ポートさんがこのような疑問を感じるのは最もだと思いました。

「ああ、そうですねえ……。私は大したものを貰っていなかったので。そう言う豪華な食事は妹のイザベルが占有していましたから……」

「そうなのか???」

「ええ、私の場合は、お父様の教育なのか分かりませんでしたが、平民と同等の食事だったんですよ。まあ、それに関して、文句なんて言ったことはありませんが…………」

私はこう言いました。

「ああ、そうだったのか……。随分と大変だったんだな」

「はあ、どうも、ありがとうございます……」

ポートさんや精霊さんたちの同情をますます引き付けるものになりました。
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