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その5
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私はつい言ってしまいました。いや、これはある意味本心でした。
ブスというわけではありませんが、とにかく私と同じくらいのルックスであるにも関わらず、家柄がいいというだけで、簡単に王子様と婚約することができるのですから。それはそれは、羨ましいというか、殺したいほど憎たらしいというか……まあ、これが私の本性でした。
「誰かに罵られるのって、すごくいいのよねえっ!」
「はいっ?」
「いや、だってさ、それだけあなたは正直な人間ってことなのよ。私たちの常識は嘘つき、知っての通りよね?」
キムリア様のおっしゃることは、たしかに正論でした。貴族世界において、うまく生きるための方法は、嘘をつくことでした。自分よりも身分の高い令嬢様と挨拶をするときは、
「これはこれは麗しき令嬢様!」
と言います。相手がどれだけ醜い顔をしているとしても、きちんと嘘をつかなければならないのです。
「こんな社会はもううんざりなの!でもね、ラクナさん。あなたの心の声は、どの令嬢よりも強いということが分かった。随分と苦労したのね……」
キムリア様は私を労っているのでしょうか?それとも、何かの皮肉でしょうか?
ブスというわけではありませんが、とにかく私と同じくらいのルックスであるにも関わらず、家柄がいいというだけで、簡単に王子様と婚約することができるのですから。それはそれは、羨ましいというか、殺したいほど憎たらしいというか……まあ、これが私の本性でした。
「誰かに罵られるのって、すごくいいのよねえっ!」
「はいっ?」
「いや、だってさ、それだけあなたは正直な人間ってことなのよ。私たちの常識は嘘つき、知っての通りよね?」
キムリア様のおっしゃることは、たしかに正論でした。貴族世界において、うまく生きるための方法は、嘘をつくことでした。自分よりも身分の高い令嬢様と挨拶をするときは、
「これはこれは麗しき令嬢様!」
と言います。相手がどれだけ醜い顔をしているとしても、きちんと嘘をつかなければならないのです。
「こんな社会はもううんざりなの!でもね、ラクナさん。あなたの心の声は、どの令嬢よりも強いということが分かった。随分と苦労したのね……」
キムリア様は私を労っているのでしょうか?それとも、何かの皮肉でしょうか?
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