令嬢のギャンブル

tartan321

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策略

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 卒業式?

 そうそう。私たち貴族の場合、卒業式というのは婚約の場になったりもするのです。かく言う私も、とある王国の皇太子から婚約をしてもらう運びになっている……はずなのですが?


「イロベチ様……」

 その皇太子の横には、同級で悪名だかきブロンテの姿がありました。

 ひょっとして……。

「すまない、リヨン。私はブロンテと婚約することにした」

 皇太子の方が私より大部身分が上なので、私は何も口出しできません。ただ、あの売春女に婚約者候補を乗っ取られたのだと思うと、いてもたってもいられませんでした。

「ブロンテ……あなたという人は……」

「リヨン……皇太子様の選択にケチを付けようってわけ?」

 下品な鼻笑いを浮かべ、ブロンテはそのまま皇太子の手を取り、会場を去っていきました……。


 さて、皇太子レベルの殿方と婚約することだけを考えていた我一族にとって、今回の事件は大失態というわけです。私は勘当され、一人、彷徨いの身となりました。

 こんな私を救って下さった賢者がいました。

 貴族というステータスを失うと、人生はギャンブルみたいになります。その分、熱いハートを持った男性というのは、どうも魅力的に感じます。このまま茫然と生き続けるくらいなら、命を賭けてもいい。私を葬った一族はもとより、全ての貴族を消し去るほどの力を持った男性の伴侶になる。

 彼は戦いを続けました。

 我一族をことごとく滅ぼし、あの裏切り皇太子を、ブロンテを……私の前に連れてきてくれました。

「ブロンテ……今の気分はどう?」

 賢者というのはつまり悪魔です。

 人々が哀れに滅んでいく様を私は愉しんでいました。

 ギロチンから飛んできたブロンテの頭を何度も踏みつけました。最初は固いのですが、やはり、私の恨みが強いのでしょう、パキパキと骨の折れる音がして……後は簡単に壊れました。

 賢者が世界を統一し、私はその正妻となりました。賢者の不倫を許可しましたが、彼と交わった女は一人残らず処分しました。

 いつかブロンテのように、首をはねられるのだろうか、なんて、薄っすらとは心配しています。

 ギャンブルにはいつか負けがやってきますから。

 まあ、最大の負けは死後の世界、つまり、賢者と共に地獄へ行くということでしょう。これはもう確定。

 だから……。

 せめて今だけは……。

 あまい夢を見させてくださいね?
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