親友に婚約者を寝取られて〜婚約破棄は辛くても仕方がない〜辺境に移り住んで自由気ままなスローライフを満喫します

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その9

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細やかな祝宴会が終了して、私はさよならを告げた。

「ウエディングのときは、もう少し女の子らしい顔するのよ!!」

なんて、カーチャに言われた。

女の子らしく、と言われても、それが分からないので仕方がなかった。まあ、なんとかなるだろう……そう高をくくっていた。



   ……………………………………………………………………………………



「マリアはもう帰りましたか?」

「ええ、とっくに帰ったわよ。それよりも、カーチャ。驚いたわねえっ!まさか、マリアが王子様と婚約するだなんて。ああ、あなたも早く誰かに嫁ぎなさいよ?女の子たちがこうして旅立っていく姿、昔の私を思い出すわ!」

「それは結構なことですわね」

お母様が何を考えているのか、そんなことは分からない。

それにしても……不思議なことが起きるものだ。どうして、あのマリアが王子様と?

理解できないわねえ。あれほど釘を刺しておいたと言うのに、王子様はどうして、あのマリアに鼻をのばすのかしら?

そんなに私のことが嫌いなのかしら?

バカらしい……。男は黙って女の身体だけ求めればいいって言うのに……。そうじゃないと、この私が存在する理由なんてないでしょう?

ならば、いっそのこと、ばらしてしまおうかしら?私と王子様の関係を、マリアに?

そしたら、マリアは一体どんな顔をするかしら?

「カーチャ!さあ、佇んでないで、仕事をしてちょうだいな!」

「はーい、いま行きます!」

こんな疑問を誰にぶつけることも出来ずに、私はただ年老いていくのかしら?これほど美しく磨かれた女がいると言うのに、見向きするのは下世話な男ばかりなのかしら?

毎日毎日舞い込んでくる求婚の手紙を、いちいち読まずに破り捨てる快感。そう、私の相手になるのは、もはや神の血筋を引く王子様しかいないのよ。

王子様は他にもいるけれど、大体クズよね?鼻たらしのガキか、世間体だけ気にするキザ野郎か、後は……女を金勘定する遊び人か……。


とにかく、このままでは色々まずいから……一度王子様に会いましょう。


お話しないといけないことが山ほどあるし……それでも、マリアと婚約するって言いだすんだったら、その脳天をぶち抜いてやるわ。



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