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その13

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人気のない城の門が開き、その中から男性がやってきました。私と同い年、あるいは私より少し年上の男性でした。容姿は、そこそこ優れている方だと思いました。地方貴族としては非常に優良だったのでしょうか。

「お待ちしておりました。あなたがマリアさんですね?」

話し方は非常に丁寧でした。まぁ確かに、私は公爵令嬢で、この方は伯爵でありますから、当然と言えば当然なのでしょう。ともあれ、私はもはや貴族では無いような感じはしましたけど。

「風の便りに聞いていた通りの方ですね……」

風の便りとは一体何でしょうか。私が婚約破棄されたことでしょうか。伯爵はそのことをご存知なのでしょうか。まぁ、知っていても不思議ではありませんけれど。世界中を駆け巡ったスキャンダルでありましたから。

「容姿の面に関しては、サリーさんに及ぶべくもなく、それ以外の全てに関しても、サリーさんに全く及ばない中途半端な令嬢だと言うことですよ」

ああ、なるほど。そんなことまで知っていましたか。確かに全て事実なんですが、ここまで直接言われた事は、今までなかったと思います。

一言で申し上げれば、この伯爵は非常に失礼な人間だと言うことです。

「挙げ句の果てに、偉大なる王子様から婚約破棄される始末、本当に仕方のない話ですね」

私はだんだん腹に立ってきました。いくら事実のことを言われているとしても、さすがにここまで初対面でいう人はいないでしょう。

「そんなあなたと婚約しなければならない、この私の身にもなってくださいよ……」


伯爵は今、婚約すると言いました。一体誰と婚約するのでしょうか?ひょっとして、私と婚約すると言う意味でしょうか?

「あの……それって、私と婚約するってことですか?」

私がこう質問しますと、伯爵は目を丸めました。

「どうしたんですか。急に人ごとみたいになって。あなたのお父様は何も説明していないのですか?」

もちろん、私はお父様から何も聞いていません。婚約破棄されてすぐに、新しい貴族と婚約することになるんですか?そうだとしたら、今回に関しても、私の許可を取らないんですか?大体、この婚約に何かメリットがあるんですか?

私はもう何が何だかさっぱりわかりませんでした。






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