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その44
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怒りの源になっているこの私を消して……二人は幸せになる。
それが一番だと思いました。
結局、伯爵の心を掴むことはできず、そして、何が何だか分からない内に、第二の物語を終わらせてしまうことが、自分にとって情けないことだと分かっています。
ですが、少なくとも、これ以上良い手と言うのが、私には思いつかないのでございます。
この話を最後に、マイマイにだけ打ち明けました。
「つまり……マリア様はこの屋敷を出ていかれるのですね?」
「ええ、そう言うことになるわね」
「マリア様……私はあなた様がこれから何をなさりましょうと、それをとやかく言うことはできません。しかしながら……いいえ、この辺りで止めておきましょう」
「そう、ありがとう。あなたは私にとって、最初で最後の友人だったわ。あなたがいたからこそ、私はここを去る決心がついたのよ。ありがとう……」
私はマリアにだけ挨拶をして、伯爵の屋敷を抜け出しました。
ゆく宛てのない旅が、しかも今度は長い長い旅になることが想像出来ました。でも、私は元々空中を漂う鳥としか、世間の人々は認識していないのでございますから、これからどんなことがあっても、きっとやっていけるだろうと思いました。
そうしないといけない環境に無理やり追いやられた、と言えなくもないでしょうが。
「……………………アさま!!!!!」
そんな最後の旅路に、私の名前を呼ぶ、どこかの誰かの声が聞こえました。私はやっぱり有名みたいです。一体、だれがこれほど離れた辺境まで、その便りを届けると言うのでしょうか?
道を選ぼうとすると、自然に、故郷の方へ向いてしまいます。いくら、強がっても、やっぱりホームシックになったのでしょうか?そんな自分が情けない……そう思いながらも、とりあえず、故郷の方へ向けて歩き出しました。
寂しさを忘れて……全くの別人として……新たな人生を始める覚悟はできておりました。
後は、それを実行に移すだけでした。
「お姉様!!!」
ふと、私のことを呼ぶ声が、もう一度聞こえてきました。ちょうど、国境に差し掛かった辺りでございました。
私のことをお姉様、と呼ぶのは一人しかおりません。それは、私の妹であるローズだったのです。
それが一番だと思いました。
結局、伯爵の心を掴むことはできず、そして、何が何だか分からない内に、第二の物語を終わらせてしまうことが、自分にとって情けないことだと分かっています。
ですが、少なくとも、これ以上良い手と言うのが、私には思いつかないのでございます。
この話を最後に、マイマイにだけ打ち明けました。
「つまり……マリア様はこの屋敷を出ていかれるのですね?」
「ええ、そう言うことになるわね」
「マリア様……私はあなた様がこれから何をなさりましょうと、それをとやかく言うことはできません。しかしながら……いいえ、この辺りで止めておきましょう」
「そう、ありがとう。あなたは私にとって、最初で最後の友人だったわ。あなたがいたからこそ、私はここを去る決心がついたのよ。ありがとう……」
私はマリアにだけ挨拶をして、伯爵の屋敷を抜け出しました。
ゆく宛てのない旅が、しかも今度は長い長い旅になることが想像出来ました。でも、私は元々空中を漂う鳥としか、世間の人々は認識していないのでございますから、これからどんなことがあっても、きっとやっていけるだろうと思いました。
そうしないといけない環境に無理やり追いやられた、と言えなくもないでしょうが。
「……………………アさま!!!!!」
そんな最後の旅路に、私の名前を呼ぶ、どこかの誰かの声が聞こえました。私はやっぱり有名みたいです。一体、だれがこれほど離れた辺境まで、その便りを届けると言うのでしょうか?
道を選ぼうとすると、自然に、故郷の方へ向いてしまいます。いくら、強がっても、やっぱりホームシックになったのでしょうか?そんな自分が情けない……そう思いながらも、とりあえず、故郷の方へ向けて歩き出しました。
寂しさを忘れて……全くの別人として……新たな人生を始める覚悟はできておりました。
後は、それを実行に移すだけでした。
「お姉様!!!」
ふと、私のことを呼ぶ声が、もう一度聞こえてきました。ちょうど、国境に差し掛かった辺りでございました。
私のことをお姉様、と呼ぶのは一人しかおりません。それは、私の妹であるローズだったのです。
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