1 / 1
幸せ?
しおりを挟む
「君とは上手くいかないようだ……」
「そう……分かった」
令嬢は一人歩き始めた。間もなく夕日が完全に海へ沈む。ただ一人、明日の空へ向かって歩き出す。
「もうゴールしてもいいよね?」
令嬢は叫んだ。王子様に聞こえるように。
「……………………」
王子様は何も答えなかった。
「意気地なし!」
令嬢は怒鳴り散らした。このままカモメにでも連れられて、空まで登っていきたかった。
私の人生ってなんだったの?
親の言いなりになって、王子様と結婚して、それがこういう形で終わって……。
それでもあなたは生きろって言うの?
生き恥を世間に曝せと言うの?
もう、止めよう。こんなこと。
一歩ずつ海へ足を進める。
冷たい。心地いいくらいだ!
私は泳げないから……このまま潮が満ちれば……月の光に導かれ海洋を流離う。誰もいない、私だけの世界。次の旭が昇る頃、私は空に向けて旅立つ……。遥か高い世界に誘われる。
「さようなら、をする人なんて……いないじゃない……」
ここまでくると、開き直るしかなかった。間もなく潮が満ちる。あごの真下まで塩気がやってくる。
「大丈夫……このまま天を見上げて……お星さまが見つけてくださるわ……」
瞳を閉じた瞬間、満天の星空が映った。
「やっと見つけた……ここにいたんだね?」
この声は…………えっ、王子様?
「おっ……王子様?そんなはずは?」
「随分と遠くに来たね?探したよ」
「だって……どうしてここにいらっしゃるの?」
「僕は空の上の住人だよ?君が死のうとしているから止めに来たんだ」
そんなはず……。
「ごめんね。一足先に旅立ったんだ。君の元を。僕は……先にゴールしちゃったから……」
王子様が婚約破棄したのって……?
「いつまでも僕が引き留めちゃまずいだろうと思ってね……」
「そんな……王子様……」
王子様は今でも私のことを愛して下さっているんだ……。
「王子様……私は今でもあなたのことを愛しております!このままご一緒に!」
「しかし……君には君の人生があるじゃないか?」
「私の人生は王子様の人生の一部なのです。王子様が人ではなく……神様になったとしても……私は神様に付き従っていきますっ!」
「僕も……君のことを愛しているよ。ずっと、これからも」
「だから、ずっと一緒にいましょう?一緒に、とはいきませんでしたが、私も早くゴールしたいのです。神様の住む空の上に参りたく思います」
「そうか……そうか……分かった」
「ああっ……私の王子様!」
「君との婚約を破棄する。神に誓って」
「謹んでお受けいたします!」
令嬢は王子様と共に人生を終えた。
「そう……分かった」
令嬢は一人歩き始めた。間もなく夕日が完全に海へ沈む。ただ一人、明日の空へ向かって歩き出す。
「もうゴールしてもいいよね?」
令嬢は叫んだ。王子様に聞こえるように。
「……………………」
王子様は何も答えなかった。
「意気地なし!」
令嬢は怒鳴り散らした。このままカモメにでも連れられて、空まで登っていきたかった。
私の人生ってなんだったの?
親の言いなりになって、王子様と結婚して、それがこういう形で終わって……。
それでもあなたは生きろって言うの?
生き恥を世間に曝せと言うの?
もう、止めよう。こんなこと。
一歩ずつ海へ足を進める。
冷たい。心地いいくらいだ!
私は泳げないから……このまま潮が満ちれば……月の光に導かれ海洋を流離う。誰もいない、私だけの世界。次の旭が昇る頃、私は空に向けて旅立つ……。遥か高い世界に誘われる。
「さようなら、をする人なんて……いないじゃない……」
ここまでくると、開き直るしかなかった。間もなく潮が満ちる。あごの真下まで塩気がやってくる。
「大丈夫……このまま天を見上げて……お星さまが見つけてくださるわ……」
瞳を閉じた瞬間、満天の星空が映った。
「やっと見つけた……ここにいたんだね?」
この声は…………えっ、王子様?
「おっ……王子様?そんなはずは?」
「随分と遠くに来たね?探したよ」
「だって……どうしてここにいらっしゃるの?」
「僕は空の上の住人だよ?君が死のうとしているから止めに来たんだ」
そんなはず……。
「ごめんね。一足先に旅立ったんだ。君の元を。僕は……先にゴールしちゃったから……」
王子様が婚約破棄したのって……?
「いつまでも僕が引き留めちゃまずいだろうと思ってね……」
「そんな……王子様……」
王子様は今でも私のことを愛して下さっているんだ……。
「王子様……私は今でもあなたのことを愛しております!このままご一緒に!」
「しかし……君には君の人生があるじゃないか?」
「私の人生は王子様の人生の一部なのです。王子様が人ではなく……神様になったとしても……私は神様に付き従っていきますっ!」
「僕も……君のことを愛しているよ。ずっと、これからも」
「だから、ずっと一緒にいましょう?一緒に、とはいきませんでしたが、私も早くゴールしたいのです。神様の住む空の上に参りたく思います」
「そうか……そうか……分かった」
「ああっ……私の王子様!」
「君との婚約を破棄する。神に誓って」
「謹んでお受けいたします!」
令嬢は王子様と共に人生を終えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
13
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる